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第四十話

 ザリッザリッザリッと足音を立てながら清雅達は進む。照明が無かったため清雅が魔力で光を生み出し、辺りを照らす。抜け道だから整備されていないのだろう、地面には外から舞い込んだであろう乾いた土や砂が多くあり、そのせいで足音がどうしてもしてしまう。しかも、音をたてるたびに反響して聞こえるため、外で聞くよりもいくらか音が大きく聞こえる。


「なぁ、こんなに音立てても大丈夫なのか?」


 清雅が不意に疑問を口にする。清雅ってこんなに心配症だったっけな?と優奈は思うが、確かにそこは自分も気になっていた所だったので、突っ込まないことにする。


「大丈夫だよ。ここって意外と防音性能高いし、一度階段を下まで降りちゃえば外に声なんて届かないからね」


 もはやいつもの事になりかけてるライラの返答。誰かほかに答えてくれる者はいないのだろうか。と思わなくもないが、ここら辺の事に関して、今一番詳しいのはライラだけなので、仕方がないと言える。


「ふうん。壁が厚いのか?」


「まぁそれもあるけど、この石も原因の一つかな。なんだっけ。確か反音石だっけ?文字通り音を跳ね返すんだけど、同時に音を全く通さないの。この石の壁を挟んだ向こう側にいると、反対側にいる人の声が聞こえなくなるから、防音性も抜群だよ。代わりに反射した声が普通に聞くよりも大きいけどね」


 なるほど。と清雅は納得する。音を完全反射する石なんて物があるのか。と思いつつ、他にもこんな感じの鉱石とかがあるのだろうか。とこの世界に密かに期待をする。




――――そう思ってから、ふと何かに気付く。




「なぁ、足音が聞こえないか?」


「自分の出してる足音を聞き間違えたんじゃないの?」


 清雅の言葉に即座に優奈が言い返す。


「そうだよ!気のせいだよ!」


「他に人が居るわけないよ!」


 優奈の言葉に乗っかるようにフィアとルーリスが自分に言い聞かせるかのように言う。


「ん~……俺たち以外の足音が聞こえた気がするんだけどなぁ……?」


「別にいいじゃない。気のせいで。そういう事にしておきなさいよ」


「う~ん……皆がそういうならそういう事にしておくよ。もし誰かに会ったとしても、その時に考えればいいか」


「それでいいよ!取りあえずさっさとここを抜け出すのだー!」


「おー!」


 清雅が納得しきらず悶々と悩むが、優奈の言葉を聞きその考えを保留にする。それに落ち着いた時にフィアとルーリスが妙にハイテンションそうな声をあげる。


「お前ら、元気だなぁ……」


「確かにね。どうしてここまでテンションが高いのかしら?」


「いや、それはテンションが高いんじゃなくて、空元気なんじゃないですか?」


「あぁ、なるほどね」


 なんとなく思った疑問に清花が答えてくれ、清雅達は納得する。


「あまりにも怖すぎてこうなったのか。いや、普通そこまでならないだろうが」


「どうしてこんなに怖がれるのよ。ていうか、怖がり過ぎでしょうが。どんだけビビリ?」


「あはは……。まぁ、清雅君。ご愁傷様です」


「なんで俺同情されてるの!?」


 苦笑いでそういう清花に清雅が全力で突っ込む。


「ほら、その子たちの被害をこの中で一番受けるのは清雅だからね?」


「なん……だと……!?」


 衝撃の事実を知ったような雰囲気を出しているが、話題の中心である二人に両腕を掴まれているのだから普通気付くでしょう?と言わんばかりの表情で優奈が清雅の事を見る。と、そこで前を歩いていたライラが立ち止まる。


「うおっ!?ふぅ、びっくりした。いきなり止まってどうした?」


 数瞬気付くのが遅かったらライラにぶつかっていた清雅は少し焦りながら数歩下がる。

「ん?あ、えっとね?すぐそこが出口なんだけど……前から誰か来てるっポイんだよね。で、どうしようかなって思ってさ」


 言われて前を見ると、左側が周りよりも若干明るく感じる。それに、全員が立ち止っているにも関わらず、足音も聞こえた。


「ん~……魔力の光を消して通り過ぎるのを待ってみるか?」


「やっぱりそれで大丈夫だと思う?」


「むぅ……取りあえず一応消してみるよ」


 言って、清雅は光を消す。約二名ほど悲鳴をあげそうだったので、先回りして口をふさぐ。ムグムグとなにか叫んでいるが、口をふさがれているため、よく聞こえないので、今は無視する。


「……松明の光は見えないな。ならこのままでも大丈夫かな」


「そうだね。じゃあ、少し下がってしゃがんで待機で」


 ライラの声に従い、清雅達は後ろに下がって音を立てない様にゆっくりとしゃがむ。これまた二人ほど暴れるが、清雅が無理矢理抑え込み、静かにさせる。




 数分後、近づいて来ていた足音がすぐそこまで来て、左側からわずかに差し込む光により、こちらへ来ていた人物の影が見えた。フィアとルーリス以外はその人物が次にどう動くかをじっと見ていた。そして、その黒い影は、清雅達が思っていた方向――――光の差している通路に向かって歩き出す。


 音が遠く離れて行ったのを確認すると、そろり……とライラが左の道を覗き込む。数秒後、ライラが光を作ったことから、どうやら先ほどの人物は行ったようだ。ライラは、ふぅ。と安心したように行きを出した後、


「行ったみたい。はぁ、まさかこの道を知ってる奴がいるとは思わなかったな。……ん?いや、私以外に知ってる人は居るにはいるか。でも、ここにいるような奴はいなかったような……」


 途中からボソボソと言っていたため清雅達には聞こえなかった。


 清雅はフィアとルーリスを抑えつけていることをやめ、


「なぁ、さっきの奴が行ったなら、俺たちも早く行かないか?」


と提案する。


「今すぐ行って追い付いちゃったら本末転倒でしょうが」


 清雅の言葉に即座に突っ込む優奈。ビシッ!と良い音が鳴りそうな一撃が清雅の後頭部に当たる。


「あぐっ。そ、それもそうか。じゃあ、もう少し待ってから行くって事だな?」


「ん?あぁ、うん。そういう事だよ」


 意外とダメージが大きかったのか、後頭部を抑えつつ清雅はライラに言う。ライラは言われてハッ!と我に返り、そう答える。


「まぁ、待つって言っても、そんなに時間は取らないけどね」


「了解。じゃあ、適当に休むか」


 清雅はそう言い、壁に寄り掛かるのだった。


「うがー!」


「がうー!」


と怒った子供の様な意味のない言葉を発しているフィアとルーリスに噛みつかれながら。

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