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第三十七話

 あれから数日後のことである。あの後結局特に面白い事は無かった。一日何人か冒険者が襲い掛かってきたが、全てライラとフィアで倒しており、清雅もたまに手伝うが、面倒なのか最終的には飽きてルーリスとシャクナとで遊んでいた。そのたびに毎回シャクナが疲れ果てているのだが、気付いている者は誰も居なかった。


「あぁ、かわいそうなシャクナ。貴方はもう救われないのよ」


「気付いてるなら助けてくれてもいいと思うんだけど。後、その口調は何?喧嘩を売ってるの?今ならもれなく全力の拳もついてくるわよ?」


「いや、遠慮しとくよ。痛いのは嫌だからな」


 ふざけて言う清雅の言葉に本気の怒りを込めてシャクナが言うと、その威圧感に気圧された清雅は一歩引く。ちなみに、実際には清雅は疲れ果てていることには気付いていたが、どうにかしようとは思っていなかった。


 正面を改めて見ると、高くそびえたつ壁があった。ライラや優奈によると、アレはアトランタルを囲んでいる壁なんだとか。おそらくモンスター対策とかなのだろう。


「で、どうやってあそこに入るんだ?」


 清雅が全員に言ったつもりで聞く。その質問にはライラが答える。


「それはね、これを着るのよ」


 そう言いながらライラは全員に布を投げつける。ボロボロだが、フード付きのローブに見えなくもない。しかも顔がほとんど見えない様に作られていた。


「え、こんなので通れるようになるのか?」


 信じられないとでも言いたげに清雅は声を上げる。



「普通そう思うわよね。でも、ここの警備は薄すぎるからフードを脱がせるとかしないのよ」


「雑ってレベルじゃないと思うんだけど!?」


「まぁまぁ。ほら、さっさと着て行っちゃいましょうよ」


 優奈の言葉に清雅は突っ込むが、その背中を清花が押していく。もうどうにでもなればいいさ。と最終的に諦めた清雅は渡されたモノを着て、門が見える所まで来る。


「さて。全員で行くと確実にばれるから少しメンバーを分けるよ。誰と一緒が良いとかある?」


「いや、普通ねぇだろ」


 ライラが言うと、清雅はボソリと呟く。しかし、清雅の考えとは裏腹に、


「私は清雅お兄さんとが良い!」


と元気のよい声が。ルーリスである。ライラはそれを聞いて、


「じゃあ、清雅はルーリスと一緒ね。二人だけじゃ不安だから私もついて行くけど。フィアと優奈で一組。清花は単独ね。最初にフィア組。少し間を開けて清花。最後に私たちが行くから。入って少ししたところで待ってて」


と、メンバー分けと行く順番を決める。普通に会議をしているが、さっきから何人か横を通り過ぎているのだ。聞かれてたらどうするんだよ。と思いつつ清雅はライラの言葉を聞く。


 そして、会議が終わると同時にフィア組はすぐさま行動を始める。そして、姿が視認できなくなってから数分経った辺りで、清花が行く。


「大丈夫かな……」


 思わず清雅は呟くが、その言葉に答える声は無かった。




「さて。私たちもそろそろ行こうか」


 ライラはそう言いながらルーリスの手を引く。それによってルーリスも動くのだが、ルーリスが俺の事をがっしりと掴んでいたため、それに気付かず転びそうになった。


「なにやってるの?」


「なにも……言わないでくれ……」



 結構恥ずかしかったため、清雅は顔をそむけながらそう答える。その時の清雅が少し小さく見えた気がするが、気のせいだろう。


 さて、門の所まで来ると、一人の門番がこちらに近づいてくる。その門番は腰に剣を差し、全身を鎧で覆っていた。だが、パッと見弱そうである。結構ガタイはいいのだが、どうしてそんな印象なのだろうか。清雅がそう思っている間も門番は持ち物を確認してくる。ちなみに、魔剣は鞘も変化したので、指輪に変えておいたため、ばれることは無いだろう。


 ぼんやりとしているうちに、門番から行け。と命令される。俺たちは門番の言葉に従ってそのまま進む。


 門を抜けると、そこはボロボロの石で建てられている家が並んでいた。店などは無く、ライラの渡してくれたボロローブよりひどい服を着ている人たちがいた。


 そして、門番の姿が見えなくなってから少ししたところにフィア達はいた。


「全員無事に抜けられたみたいだな。しかし、本当に抜けられるとか、ここの警備はこれで大丈夫なのか?」


「ここはこれでも良いの。だって、ここは貧困層の集まってる場所だからね。お金を持ってる奴らはこの先にあるもう一つの壁を抜けた所に住んでるの」


 ライラが答える。確かにここにいる人たちはやせ細っていて、健康状態もよさそうには見えない。更には服ももはやただの布にすら見えるモノすらあった。


「なるほどな。そりゃ大丈夫なわけだ。ここの人達がどうなっても壁の向こうの奴らは関係ないんだからな。でも、本当にそれで良いのかね……」


 清雅が呟いた言葉は、吹いてきた風にかき消されてしまった。


「で、これからどうするんだ?奥に行くにはそれなりに条件がいるだろうし、今の俺たちじゃ無理だと思うんだが?」


 改めて清雅は疑問を口にする。ライラは少し考えてから、


「壁の向こうに行く裏口があるんだけど、行ってみる?」


と皆に聞く。清雅達は何の迷いもなく行くと答えたのだが、フィアと優奈は、


「それ、安全な道?」


と聞いてくる。ライラはむ~……と考え、


「たぶんね。城が改装されてない限り大丈夫だとは思うけど……」


「ストップ。ちょっと待って、なんでここで城が出てくるの?」


「いや、だって、裏道は城の庭に出る道だし……」


「おかしくない!?普通城に直行できる道とかないと思うよ!?」


「あ、でも途中で街に出れたかも」


 言い合っている途中にライラは思い出したようにそういう。


「信用ならないんだけど……まぁ、賭けてみようかな」


 優奈は不安を残しながらも同意する。それを聞いてフィアも少し悩んだ後、もうそれで良いわ。と諦めた様に言う。


 全員の了承が得られたところで、ライラはこっちだよ~。と言いながら皆を先導し、清雅達はその後ろをついて行くのだった。

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