第三十五話
料理を食べ終えた後、清雅が食器を片づけるのを手伝おうとしたら断られたため、先に清雅達は外に出る。その後ライラが出てきて、また家を畳む。
「さ、行こうか」
ライラはそう言いつつ前を歩く。それを見ていた清雅がふと、
「……なんでライラに先導されてるんだっけ?」
とライラの後ろを歩きつつ言う。それに対してフィアは、
「別にいいじゃない。先導してるのが誰でも。ちゃんと着けば」
と答える。
「まぁ、確かにな。ちゃんと着けば問題ないよ。ちゃんと着けばね……」
「ちょっと、なんで不安になるようなことを言うの?」
「いや、前にも同じような事にあったような気がして、今回もそんな感じがするだけだから」
「だったら余計言わないでよ!不安を煽ってるの!?迷ったら完全にどうしようもないんだからね!?」
清雅の言葉に必死で反論しているフィアの目はなぜか涙目である。どう言ってなだめようか……と思いつつ助けを乞うように他の仲間を見るが、全員サッ!と目を逸らす。どうやら見捨てられた模様。もしくは自力で頑張れと――――って、どっちも同じじゃね?と清雅は脳内で自分に突っ込みを入れつつ、目の前の涙目魔王の対処を考える。
そして、出た結論は――――
「まぁ、迷ったらその時のノリと気合いでどうにかするさ!」
「出来るか!」
成り行きに任せちゃえばいいさ。という楽観的結論だった。その時、もう駄目かもしれない。と優奈は思ったそうな。
それから数時間が経った時、不意に横の草陰から何かが飛び出してくる。それは背の低い、緑色の身体をした人型の魔物のようなモノが5体位現れる。
何故魔物に見えたか。そんなの簡単だ。普通全身緑の人間とかいるか?それに、なんか目が黄色いし。歯も異常なまでに尖っている。って、俺は誰に向かって言ってるんだろう。と清雅は誰かに語りかけているような言葉を脳内で思い浮かべながらその事に気付く。
「ゴブリン?なんでこんな所に?」
ライラが疑問風にそう呟くと、清花が後ろから、
「アレのせいで住処を追い出されたとかでしょうか?」
と言う。それが少し気になった清雅たちがゴブリンから目を離し、ゴブリンが来た方を見ると――――
「うわお。あれ、ドラゴン?」
全身がパッと硬いと思える甲殻に、その体をより大きく見せている体長の2倍近くあろうかという翼を持ったトカゲのような生物がこちらに向かって飛んでくる。
「嘘でしょ?なんでこんな所にドラゴンが!?だって、アレは北東の大陸にしかいないはず!」
フィアが焦ったようにそういうが、清雅は、かっこいいなぁ!とか思っていた。しかし、ルーリスは清雅に抱き着いて震えているし、優奈も何所か不安そうだった。
清雅はそれを見て、やっぱりこの状況は怯えるべき?と思うが、余裕そうな表情の清花とライラを見て、たぶん平気だろう。とやっぱり楽観的結論に至る。というか、このメンバーを考えると、普通にどうにかなるはずである。
と、そんな事を考えている清雅達の横をゴブリン達は駆け抜けていく。そして、
「さってと、ドラゴン狩りしようぜ?」
「そうだね!今日の晩御飯はドラゴンにしよう!」
「なんでそうなったの!?」
「逃げようよ!?」
清雅とライラのわくわくして来たぞ!!という雰囲気を纏った声を聞いてフィアが思わず突っ込み、ルーリスが震えながら逃走という選択肢を加える。しかし、清雅とライラは迷わず
「「逃げるなんてもったいない!食糧確保じゃあ!」」
とバカっぽく突っ込もうとする。しかし、ライラはそのまま突撃できたのだが、清雅をルーリスとフィアが後ろから抑え、行かせまいとする。
「なんで喧嘩売ってるの!?バカなの!?」
「なんでそれを俺だけに言うんだよ!?」
「仕方ないじゃない!アレを止めるだけの勇気は私にはないんだから!」
「じゃあ俺も止めるな!行かせろぉ!」
必死に清雅は抵抗するが、フィアとルーリスの力――――というより、主にルーリスの力で身動きが取れなかった。こんな小さな体のどこにそんな力があるのか不思議だが、清雅はそれよりもドラゴンと戦ってみたくて仕方が無かった。そして、そのドラゴンもライラの攻撃でボロボロになっている。というかあの杖、武器にもなるんだな。と清雅が少し考えた所で、ドラゴンに止めが刺された。ちなみに最後の攻撃は雷だった。それでライラの魔法属性は雷なんだな。と思うが、それよりもライラが一人で討伐してしまったという事実に打ちひしがれる清雅。
「うおぉ……俺、結局何も出来なかった。というか、攻撃がほとんど見れなかったんだけど……」
絶望一色な清雅の所にドラゴンを引きずりつつライラが戻ってくる。
「いやぁ、久しぶりに体を動かせたわ。でもやっぱり不完全燃焼ね。中途半端に運動したから物足りないわね……まぁ、動かせただけでも良いかな」
そう言いつつ先ほど打撃武器として使っていた杖で家を呼び出す。すると、今までの家とは段違いに大きい扉の家が作られる。そして、その中にドラゴンを放り投げて扉を閉め、また家を畳む。
「これで良し。さて。これで危険も排除されたし食料も入ったしで一石二鳥ね」
そう言うライラのやっていたことに清雅と清花以外は驚くが、まぁ、ライラだものね。というよく分からない結論にたどり着くと、気にしないことにした。
ちなみに、清雅はそれ以上にドラゴンと戦えなかったことにショックを受けてゴロゴロと地面を転がっていたのだった。




