第三十四話
川を渡り、少ししたところでルーリスが、
「お腹空いた……」
と呟く。それを聞いて、清雅はういえば俺たちも朝飯を食っていないな。という事に気付く。そして、少しむぅ、と悩んだ後、フィア辺りに相談してみる。
「え?お腹が空いたって?ん~……そういえば朝ご飯食べてないわね……あぁ、なんかそれを思い出したら私もお腹が空いてきたじゃない。はぁ、ていうか、それを言う相手が間違ってると思うんだけど。絶対私よりも前を歩いているライラに言いなさいよ。あ、私に言わせようとしないでよ?正直私はライラが怖いから。……何よその目。馬鹿にしてんの?仕方ないじゃない。あんなことされた後何だから……あれはもうトラウマだから!分かった!?」
思わずその必死の形相にびびって、清雅は反射的にはい!と言ってしまった。まぁ、ライラにも言うつもりだったし良いか。と思いつつライラにも同じ事を言ってみる。
「え?あぁ、そういえば君たちは起きてすぐにあれがあったんだっけ。じゃあ食べてなくても不思議じゃないか。しょうがない。じゃあ、ここら辺で少し早いけど昼ごはんにしよう」
昼?と思い空を見上げると、もう太陽は真上に着きそうだった。なるほど。と納得している清雅の横で、ルーリスが目を輝かせて、おっひるっごはん♪おっひるっごはん♪ととても嬉しそうに声をあげていた。
「じゃ、ちょっと待ってて」
ライラはそう言いつつ、先ほど家を畳んだ(?)杖を出し、地面に刺してから
「建造」
と言う。すると、先ほど畳んだ時と逆再生の様な事が起こり、畳む前の、やはりボロボロな外見の家が出来る。清雅は、
「この外見、どうにか出来ないのか?」
とライラに聞いてみると、
「う~ん……出来なくはないけど私はこれが気に入ってるから。まぁ、要望があれば次くらいには変える事にするかもしれない」
ライラはそういうと、その家の中に入っていく。たぶん言っても変えないんだろうな。と清雅たちは思いつつその後ろをついて行く。
「とりあえずそこら辺に座っててよ」
ライラは清雅達が入ると、そう言ってカウンターの裏へ入っていく。
「つか、これってすごい便利じゃんか。言葉一つで即座に家が出来る。中には色々揃ってる。もう、なんか、言う事無しかもしれない」
清雅は椅子に座るなりそんな事を言い出す。
「いきなり何言いだすの?」
「あぁ、いや、ふと思ったことを言っただけ」
フィアが少し驚いたように言うので、清雅はそう答える。と、そんな事を話していると、なぜかルーリスが清雅の上に座る。
「……ルーリス?何やってるの?」
「セイガお兄さんの膝の上に座ってるだけだよ?」
オニイサン?と全員が思うが、清雅はそれだけでなく、周りからの謎の威圧感で動けない。
「(なんでルーリスがお兄さんと言った途端に空気が一気に重くなったんだ?)」
と考えたところで、ライラが戻ってくる。
「えっと、なんでここはこんなにギスギスしてるのかな?少し気になるんだけど」
やめてくれ。それを聞くんじゃない!とか清雅が祈るが、そんなものが届くはずもなく、あろうことか、この空気を作り出した本人が、
「私がセイガお兄さんって言ったらこうなったの」
確信犯か!?と清雅が思うが、ルーリスはハテナマークを浮かべているように見える態度である。
「へぇ、清雅ってそういう人なの?」
「それってどういう意味!?」
優奈の言葉に少しビクッ!としつつ突っ込む。
「それは……まぁ、色々と?」
「意味分からないんだけど!?」
「そうですよ。清雅君はきっと年上に弟扱いされるのがいいんですよ」
「もっと分からないんだけども!!?」
清花もなぜかノリに合わせてくる。というか、この役目は逆だろ!?と清雅は心の中で突っ込む。
「あぁ、そういう話か」
「ちょっと待って!ライラさん!?今ので何を納得したの!?」
「何をって、セイガ君の好みの話じゃないの!?」
「マジで!?そんな話だったの!?」
「じゃあ逆に何の話だと思ってたのよ」
「分からないから突っ込んでたんだけども……はぁ、もうなんか疲れたよ」
この話の内容は清雅には分からなかったのだが、言われてなるほど。確かにそんな感じの内容だったような――――
「って、いや、俺の好みはお姉さんタイプでも妹タイプでもない……ぞ?」
「ねぇ、その間についてすごく聞きたいんだけど。ねぇ、その間はなんだったの?」
なぜかフィアがしつこく聞いてくる。
「いいだろ?別に。間くらいあっても。逆になんでお前がそんなに聞いてくるのかが謎だよ」
もう疲れた。というのを前面に出して清雅はそういう。
「なんで聞くのかって言われたら、気になったからじゃないの?それ以上の理由は特にないわ」
「そうか。じゃあこう答えるよ。自分で考えてくれ」
「どういう結論に至っても文句は無しだからね?」
「分かった分かった。それで良いよ」
清雅はぐだ~っと椅子の背もたれに寄り掛かる。直後、
「っと、ほら、ご飯が出来たからシャキッとしなさい」
と言う言葉と同時にライラに椅子を蹴られる。
「へぐぅ!?ちょ、少しは休ませてくれよ!」
「そう?じゃあ料理をさげちゃうわよ?」
「すいません。何でもないです」
「よろしい。ほら。さっさと食べちゃいなさい」
ライラはそう言いつつ料理を出してくれる。清雅たちはその料理をとてもおいしそうに食べるのだった。




