表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/83

第三十三話

 結局村を出るまで奇襲は無かったが、周りから向けられる視線がとても痛かった。原因は確実にフィア達なのだが、なんでライラが待とうとしなかったのかすごい気になる。待ってくれたらこんなに精神的ダメージを受けることは無かっただろうに……と清雅は思うが、もう過ぎてしまった事は仕方ない。と気持ちを切り替える。それと同時にフィア達は我に返る。ちなみに、周りはいつものごとく森である。


「あ、あれ?ここ何所?って、なにこれ!?」


 フィア達が騒ぎ出したのに気付いた清雅は、ライラに絨毯をどかしても大丈夫だと伝える。言われて気付いたライラは、一度絨毯を地面に降ろしてからサッと絨毯を引き抜く。うまく引き抜かれたのか誰も体勢を崩さずにそのまま地面に着地する。


「えっと、セイガ。ちょっと聞いても良い?」


 地面に降りると、すぐさまフィアが質問してくる。それを清雅は歩きつつ受け答えをする。ちなみに、ルーネとシャクナは清雅の影の中へ、オリュは清花の影の中に逃げ込む様に入り、ルーリスは素早く清雅の背中に張り付く。優奈は清花の横にいた。


「なんだ?」


「とりあえず、私たちが意識を失ってた時の事って知ってる?なにかとんでもないモノにあったような気がするんだけど……」


「あぁ、知ってる。まぁ、教えないけどな」


「なによそれ。別に教えてくれたって良いじゃない」


「教えないものは教えない。こういうのは聞かない方が良いんだよ。耐性の無い奴が聞いたら最悪思い出しただけで壊れるからな。まぁ、教えられるとしたら、お前らよりも遥かに強い奴と遭遇しただけだ」


「全く分からないんだけど?その強い奴って誰の事なの?」


「自分で考えろ。それで気付けるかは分からないけどな」


「……ケチ」


 結局清雅はライラの事を言わなかった。この時なんで教えなかったのか清雅自身にも分からなかったのだが、無意識にそうしていた。


 その後ろにいる優奈も清花に同じことを聞いていたが、こちらは本当の事を聞けたようだ。


 すると、先頭を歩いていたライラが不意に振り返り、


「そういえば清雅君。君、お姉さんとかいる?」


と聞いてくる。清雅はなんでそんなことを聞いたのか分からなかったが、とりあえず


「いるよ。まぁ、何年か前に亡くなったんだけどね」


と答える。それを聞いたライラは少し気まずそうな顔をして、


「えっと、悪い事を聞いちゃったね。ごめんね?」


と謝ってくるが、特に清雅は気にしている様子もない。


「別にいいさ。どうせ俺も一度死んでるんだ。もしかしたら俺みたいなことになってるんじゃないかと密かに期待はしてるんだけど、もしそうでなくとも何年も前の事だからな」


 しかし、そういう清雅の目はやはり悲しそうだった。その目を見てライラは、とりあえず聞きたい事は聞きだせたからこれ以上は触れないでおこう。と心に決めた。


「つか、なんでいきなりそんな事を聞いたんだ?」


「え?あ、あぁ、それはぁ……そのぉ……ちょっと知り合いに似たような名前の人が居てね?それでもしかしたらなぁって。名前は教えられないけどね。勝手に教えたら私が消し炭にされちゃうから」


 清雅の質問に目を泳がせながらライラは答えるが、最後の返答だけは本気で震えつつ言っていた。それを見て清雅は、一体誰なんだろうかと考えるが、あまり深く考えるともしかしたら自分も消し炭になるのではないかと思い、考えることをやめることにした。




 しばらく進んだところで、川が目の前に現れた。橋はかかっているのだが、問題が一つ。その橋の上に人が居るということだ。しかも三人。どうやら先ほどの傭兵とか冒険者とかそんな感じ服装。なぜか知らないが川の方を見ており、こちらに気付いていない。正直障害にすらならないのだが、平和的な解決が出来ないのが問題なのである。


「どうする?もう面倒だから吹き飛ばす?」


 ライラが物騒な事を言い出す。


「なんでその結論になったのか、分からなくはないけど却下」


 清雅ははっきりと言い返す。フィア達はライラの吹き飛ばすという言葉の意味を拡大解釈して顔を真っ青に変えて清雅の意見に賛成する。その光景をのほほーんと見ていた清花が、


「じゃあ、あの人たちがいなくなるまで物陰に隠れるとかします?」


と、提案する。しかし、ライラが


「でも、この人数だとばれる気がするんだけど?」


と言い返す。というか、こんな会話をしてたら普通に見つかるよな?とか清雅が思った矢先、灰の上にいた人物たちがこちらを見る。


「……おい、もうあいつらにばれてるぞ?」


 え?と皆が振り向くと、彼らは懐から取り出した紙を見て、再びこちらを見てというのを何度か繰り返すと、三人で少し話し合い、武器を抜いてこちらに向かって来る。


「確定されたよ……結局ライラが最初に出した案になるんだな」


「だから言ったじゃない。さっさと吹き飛ばした方が楽だって」


 清雅は諦めたような口調でそう言い、ライラはブーブーと文句を言う。この二人はどう考えても冒険者の事を見ていない。


「二人とも、前は見た方が良いと思うんだけど?」


「大丈夫だよ。もう罠は張っておいたから」


 フィアが二人を注意するが、清雅は別に大丈夫だという。どういうことだろうと思ったフィアは前をもう一度見る。よくよく見ると、地面に何か黒い糸のようなモノが張ってあった。なんだろう?とフィアが思ったところで件の冒険者たちの一人がその糸に足を引っ掛ける。途端に、上から黒い槍のようなものが降ってきて、冒険者たちを閉じ込める。


「な?大丈夫だろ?」


「確かに大丈夫といえばそうなんだろうけど……まぁ、全員近接系だからこれでも大丈夫かな」


 フィアが納得すると、清雅はドヤ顔をする。はいはい。と面倒そうにフィアは流す。そして、冒険者たちが慌てふためいている横を清雅たちは通り過ぎていく。




「ちょ!ちょっと!置いて行くのか!?無視なの!?え?マジで置いて行くのかよ!?せめてここから出してくれ~!!」


 しかし、彼の叫びは誰にも届かなかった。だが、それから数時間後に槍は消えたという。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ