第三十話
結局、出口まで照明は見つからなかった。そこに行ってから清雅は、本当に見える範囲だけを壊したんだよな?と、不安になるのだった。まぁ、フィア達には全く被害が無かったのだからもういいや。と考えることを放棄し、とりあえず階段を上がっていく。
階段を上がると、集まってくる傭兵達を蹴散らしながら清雅を待っているフィア達がいた。良く見ると、優奈は先ほどまで持っていなかった剣を持っていた。
「スマン。待たせたな」
清雅がそう声をかけると、フィアが、
「遅い!どれだけ待ったと思ってんの!」
と、叫んで文句を言ってくる。
「っていうか、その子は?」
文句を言った時に気付いたのか、清雅の影に隠れている少女について聞いてくる。
「マジでごめんって。反省してるから。とにかく逃げてから説教を続けることにしてくれ。後、説明も後でするから」
「そうだよフィア。ここだとちょっと疲れるから後にしようよ」
清雅の言葉に、優奈が賛同する。さすがにフィアも清雅だけの反対ならまだしも、優奈の事は無視できず、渋々、
「分かったわよ……宿屋までは何もしないであげる」
と言う。それを聞いた清雅は、少しホッとしつつ、
「じゃあ、さっさと逃げようぜ」
と言い、今度はルーネに先導され、脱出しようとする。
その後も、何度か傭兵が襲ってきたが、清雅が一人で叩き潰していく。しかし、清雅の連れてきた少女は、清雅にくっついて離れなかったため、清雅は少女を守りつつ戦っていた。
「ったく、どれだけ雇ってんだよ。つか、よくこれだけ集められたな。っていうか、コレ、ゲームならボスとか出てきそうな雰囲気じゃね?」
「清雅。それ言っちゃいけないやつ」
清雅がぼそりと呟いた一言に、苦笑いをしつつ突っ込む優奈。そして、その発言は、現実になるのだった。
あと少しで出れる。という所で、すぐ横の部屋から、身長の高い屈強そうな男が出てくる。そいつは、自身の背丈より少し高い、幅広いの剣を持っていた。
「貴様らが手配書の奴らで間違っていないな?」
男は、低い声でそう聞いてくる。それに清雅は、少し疲れた様に、
「正直言って違ってほしいが、残念ながらそれが真実なんだよな。それ」
と答える。
「そうか。ならば、ここで貴様らを倒す。我が名はアルベルト・ソード。いざ。参る!」
気合いを入れて剣を抜きこちらに向かって襲い掛かるアルベルト。清雅がそれに対処をしようとした時、背後から瞬時に誰かが出てくる。ガキィンッ!という音と共にアルベルトの剣は弾かれる。清雅はそれに戸惑いつつも、出て来た人物を見てから、
「優奈?どうして出て来たんだ?」
と、出て来た人物――――優奈に問う。
「そりゃ出てくるわよ。だって清雅はその子を守ってるじゃないの。こいつは私にやらせて」
優奈はそう言い、更にアルベルトに追撃を仕掛ける。それを聞いた清雅は、
「分かった。そいつはお前に任せる。しっかり倒せよ!」
「任せておきなさい!さっさと片付けてやるわ!」
優奈がそう言い素早く振った剣は、アルベルトの剣によって防がれてしまう。その勢いで二人は一度距離をとる。
「貴様が始めに狩られたいのか?」
「狩られるつもりは全く無いわ。むしろあなたを狩るのよ。さぁ、さっさと終わらせましょう?」
「そうだな。では行くぞ!」
二人は言い終わると同時に前に出る。先に剣を振ったのはアルベルト。袈裟懸けをしてくるが、しかし、優奈は軽く左回転を加えた跳躍をして回避しつつすれ違いざまに浅くだが背中に一撃くらわせる。
アルベルトはくらった直後に素早く後ろを向きつつ逆袈裟をするが、すでに優奈はアルベルトの間合いから離れていた。
「貴様……中々やるな……」
「そりゃどうも。でも、あなたも中々やるじゃない」
「そんな気休めはいらん。続けよう」
そう言い、アルベルトは走り出す。次は横薙ぎに払って来るのだが、その剣よりも低くしゃがみ、アルベルトの足を払う。アルベルトは転びはしなかったものの、少しよろける。しかし、この場は堪えずに転んでしまった方が良かったかもしれない。なぜなら、優奈はその足を支えにして勢いをつけて横回転して起き上がりつつ、下から切り上げる。その斬撃はアルベルトの脇腹を裂く。アルベルトは少し苦しい表情をするが、即座に刃を返し、優奈に向かって突きを放つ。
優奈はそれを見た瞬間に思いっきり足に力を入れその場から跳ぶことで離れる。そして、
「水よ。我が前に立ちふさがるモノを切り裂く刃となれ!」
と叫ぶ。すると、優奈からアルベルトに向けて透明な水の刃が飛ぶ。アルベルトは、その攻撃を突き刺さった剣を盾にして回避を試みる。そして、水の刃はアルベルトの剣に当たると、パァァン!という音と共に弾けて、アルベルトの視界をふさぐ。
「くっ!」
という声を上げながらアルベルトはすぐさま視界を取り戻そうと目の辺りを拭う。そして、視界を取り戻し相手の居場所を確認しようと前を見ると、眼前に迫って来ている優奈の姿があった。その次の瞬間には、鳩尾に鈍い痛みが走り、アルベルトの視界は暗転した。
アルベルトの意識を狩り取った優奈は、剣を鞘に収めつつ、
「まぁ、それなりには楽しかったわよ。次はもっと強くなってることを祈っておくわ」
と、笑みを浮かべつつ誰に言うでもなくそう呟くのだった。




