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第二十八話

 さて、家の中に入ろうとすると、目の前に一人の女性が。


「…………」


「…………」


 今まさに入ろうとしていたフィア達と、服装からしてメイドであろう人物との間に微妙な沈黙が訪れる。 


「えっと……」


 沈黙に耐えかねたルーネが口を開くと、


「あ、そうか、知らない人が勝手に入ってきたら叫ばないといけないんですよね」


……このメイドさん、大丈夫なのだろうか……フィア達はそう思い硬直してしまう。が、フィアとルーネはすぐ我に返りメイドさんの口をふさごうと動くがすでに遅く、メイドさんは


「キャー」


と、叫んだ――――のではなく、棒読みな感じで声をあげる。その気の抜けたような声に逆に驚いたフィアとルーネは勢い余って転んでしまう。


「あの、大丈夫ですか?」


「うぅ、まぁ、大丈夫だけど……」


 メイドさんはなぜか二人の事を心配するので、本当はそのままでもフィア達的には問題は無いのだが、思わずフィアは説教をしたくなってきた。


「あなたのその声は何よ。本当に人を呼ぶ気はあるの?」


と、フィアが言うと、後ろから軽い衝撃を受ける。手刀でもされたのかな?とフィアは思いつつ振り向くと、ちょっと不機嫌そうな顔をしたルーネが、


「何やってんの?」


と、表情と同じくらい不機嫌そうな声を出して文句を言う。それで我に返ったフィアは、


「あ、そうか。今はこの子に時間をかけてられないわね」


「そもそも今じゃなくてもやめといた方が良いと思うけどね」


「そう?私的にはこういう子はもっとしっかり教育するべきだと思うけど」


「いや、確かにそう思うんだけど、それはここの主に任せるでしょ。普通」


「そうかなぁ……私はそのまま言っちゃうけど……」


「まぁ、良いわ。もうこの子は片付けて行っちゃおうよ」


「それもそうね。ちょっと眠ってて貰うね」


 そう言ってフィアは軽くメイドの頭に触れる。すると、メイドはそのまま倒れながら眠ってしまうのだった。


「じゃ、行きましょ」


「そうだね」


 フィア達はそのまま進んでいく。しかし、その中で清花だけは、なぜか視界から消えるまで倒れたメイドをずっと見ていた。




 フィア達が去って行った後、すぐさま先ほどのメイドは目を覚まし、起き上がりつつ、


「――――ふぅ、たぶん清花さん以外にはばれてないね。はぁ、あんな子が魔王になるなんて。全く、今魔界は大丈夫なの?それと、あの男の子も使えるのか分からないわね。ま、あの人が動くまで私も動く気は無いから良いんだけどね。それにしても、最近顔を出してくれないけど……どこに行っちゃったんだろ。そろそろこっちから探しに言ってみるかな――――」


と、ぶつぶつ呟きながら屋敷から出ていく。その時には、その人物はメイドの姿ではなく宿屋の主人の姿に変わっていた。


 


 先ほどの場所から離れ、コソコソと移動しつつとある扉を開けた時である。そこは階段で、どうやら下に続いているようだ。ちなみに、ここに来る間は不自然なまでに誰にも会わなかった。


「えっと、たぶん清雅達はこの下かな」


 そう言ったのはルーネ。それを聞いて、フィアは、


「じゃあ行こう」


と即決。その調子で進むと、牢屋のようなところに出た。


「何ここ。なんでこんな所があるの?」


「知らないけど、たぶんここに清雅たちがいると思うし、探してみようよ」


「それもそうよね」


 そう言って、フィア達は一部屋一部屋のぞきつつ、清雅達を探す。




 数分――――と言っても、ものの二、三分で清雅達を見つける。そして不思議な事にその間も、人の姿は全く見なかった。


「なんであんな事やっちゃったのよ!」


「だから謝ってんじゃん!」


「うるさい!黙って清雅は蹴られてなさい!」


「んな理不尽な!?」


 何か見てはいけないものを見てしまったような気がしたフィア達だがさすがに声を掛けないのも不味いかと思い、声を掛ける。


「優奈?助けに来たよ?」


 その声で優奈はこちらに気付いたのか、フィアの方を向いて、


「あぁ、フィア?ちょっと待ってね。清雅にコレを切って貰うから」


と言い、清雅に縄を切るように文句を言う。清雅は少し諦めたような表情をしつつ、魔法で自身と優奈の手足を縛っている縄を切る。


「ありがと。っと、フィア。ここの鍵は持ってる?」


「あ!忘れてた!」


「駄目じゃん。まぁ、それも清雅にやって貰おうかな……」


 優奈がゆっくりと清雅の方を向きつつそう言うので、また面倒そうなことを頼まれるのかなぁ……と思いつつも、話を聞くことにする。


「えっと、俺に何をしろと?」


「ここの牢屋の鍵を壊してくれる?」


「……はい?」


「だから、ここの鍵を壊すの」


「……」


 何言ってんだこいつは……と思いつつも、そんな事を言ったらまた蹴られるだろうし、とりあえず従ってみる事にした。


「これか。ん~……どうすればいいかな……あ、これでいいや」


 清雅はそう言うと、いきなり炎を生み出して鉄格子を溶かす。そして、そのままだとまだ熱いので今度は氷で冷やし、破壊する。


「意外と脆いなぁ。こんなので閉じ込めるとか、予算不足なのか?」


「いや、清雅の魔力が異常なだけだと思うんだけど?」


 清雅の発言に思わずフィアが突っ込む。


「そうなのか?う~む、未だにここの普通が分からねぇな」


 清雅が悩みつつ牢屋から出てくると、バキンッ!という音がして、周囲の状況が微妙に変わった気がした。それと同時に、突然辺りに気配を感じた。

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