第二十七話
さて、場所は戻り清雅達。
現れたのは、槍のような物を持った村人だった。
「貴様らが手配書に乗っていた人物で間違いないな?沈黙と言葉になって無い声は是と受け取るぞ」
「んぁ、んうんぃんぁ!」
と清雅は思わず反論する。ちなみに、清雅は、んな、理不尽な!と言っている。それを聞いた村人は、にやりと笑い
「ん?貴様、今言葉を発したのか?そうは聞こえなかったなぁ。つまり、これは本人ということで良いな?」
その言葉にちょっとむかっ!と来た清雅は魔法で縛っていた布を解き、
「俺らとは別の奴だ。ほら、ちゃんとした言葉だ。これで文句あるか?」
と、喧嘩を売るような口調で言う。それを隣で見ていた優奈は、思わず座ったままの状態で清雅の方にから場を向け、蹴りを入れる。それはたまたま清雅の脇腹に当たり、ぐふっ!と言って清雅は倒れた。そして、その蹴りが当たったと同時に、優奈の方の布も解ける。そして、自由に喋れるようになった優奈は、
「清雅!あんた何やってんのよ!今のは答えても答えなくても結果はイエスしかないんだから放っておけばよかったのよ!なのにあんたが変なことやるから面倒くさいことになりそうじゃないの!」
「す、すいません」
本気で怒っている優奈に気圧され謝る清雅。それを見ている村人は、目の前で起こった一連の出来事に一瞬思考が止まっていたが、すぐに我に返ると、一度咳払いをしてから、
「貴様ら、何故布が外れている?まさか、ゆるく縛っていたとでもいうのか?」
「は?そんなの――――
清雅が答えようとした直後、再び優奈の蹴りが飛んでくる。そして、先ほどと同じようにくらう。そして、清雅が黙ると、
「答える気は無いわ。それに、教えた所でこの後起こることは変わらないでしょ?」
「さぁ、どうかな?もしかしたら少しは変わるかもしれんぞ?」
「そんな気ないくせに」
優奈はそう受け答えをしながら、確実に余計な事を言おうとしていたであろう清雅にぐりぐりと踏んで追撃する。そして、槍を持った村人は、ククク……と、不気味に笑いながら去って行くのだった。
「……何あいつ。何しに来たの?」
「お前はいつまで俺を攻撃してんだよ」
「相手に情報を何も考えず言おうとした清雅が悪い」
――――再び場所を移動しフィア達。
「さて。ここが村長さんの家?」
「だと思いますけどね」
「間違っては無いと思うよ。場所的にも見た目的にも」
そう話す三人の前には、通常の家の倍くらいはある家があった。その家の周りには、数人の傭兵のような者がおり、周囲を見張っている。
「……ねぇ、ここ、本当に村?普通傭兵なんか雇えないと思うんだけど」
「知らないよ。もしかしたら元々この村に滞在していた人でも臨時で雇ったんじゃないの?清雅と優奈をアトランタルに連れて行くために。後私たちが清雅と優奈を救出させるのを防ぐためとか」
「むむぅ。なるほど。たしかにそれはありそうね。まぁ、あの人数程度、敵じゃないと思うけどね」
「そんなこと言って負けないでくださいよ?」
「何言ってるの。清花も戦うのよ」
「え?」
「っていうか、正面突破一択?それ、捕まる理由増えない?」
「あ、それもそうか」
「じゃあ裏口でも探します?」
「ん~……そうしようか」
結局、正面突破はやめ、裏口を探して侵入することにした。
家の裏側まで遠回りをしながら見つからない様に行くと、裏にも二人ほど配置されている。そして、その後ろには裏から入る扉がある。
「フィア、あの二人はどうする?」
「もう見つからない様にサクッとやっちゃおう。あ、もちろん気絶だよ。殺すのはダメ。そんなことしたら確実に地の果てまで追われるはずだから」
「了解。じゃ、私が一人でやってくるからここで待ってて」
「いいの?」
「いいのいいの。大勢で行った方がばれやすくなるんだからさ」
「じゃあ、任せた。しっかり倒してきてね」
「ん、じゃあ行ってくるね」
ルーネはそう言うと同時に、素早く移動し、監視の視覚を掻い潜って背後にまわり、気付かれる前に強烈だが、決して死なない程度の一撃を浴びせ、気絶させる。その一連の動作に、移動から計り5秒前後で終わらせた。そして、ルーネはその場からフィア達に手招きをする。
「本当にサクッとやっちゃったわね……ちょっとルーネの事見くびってたわ」
「まぁ、私今まで全く戦わなかったからね。そんな強くないって思われてるかなとは思った」
「あの、他の見張りが来る前にこの人達を片づけてから早めに入っちゃった方が良くないですか?」
「ん、それもそうだね。でも、これ、どこに置いておこうか」
「どこって、ほら、そこに入れ物としてちょうど良い物があるじゃない」
「へ?」
ルーネが指さす方を見ると、人が何人か入れそうなくらいのごみ入れが――――
「……確かに入れ物的にはピッタリかもだけど……ちょっとねぇ?」
と言いつつ再度フィアの方を見ると、すでにのびてる二人を持って本気で突っ込むつもりなのか、どんどんごみ入れの方に進んでいく。
「あ、今のは冗談じゃ無かったのか」
「え?冗談のつもりは全くなかったんだけど?」
ルーネは軽く答えつつ、ごみ入れに二人を詰め込む。そして、詰め込んだ後、扉の鍵を音をたてずに強引に破壊し、三人は入って行こうと扉を開けるのだった。




