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第二十六話

 時を少しさかのぼり、宿屋にて――――




 ドガ!バキッ!ズガシャァン!という破砕音でフィアと清花は目を覚ます。フィアが辺りを見渡すと、優奈の姿が無い事と、その代わりに清雅の飼い犬――――人化してるけどそういうことにしておく――――であるルーネがいた。


 ルーネはフィア達が起きたのを確認すると話しかける。


「おはよう。それと、寝起きにはちょっと辛いかもしれないけど状況を説明させてもらうよ」


「えっと、それってさっきの物音と関係あるの?」


「そりゃ関係あるよ。そうじゃなかったら言わないし」


 フィアが首を傾げて言うと、ルーネは苦笑いをしながら答える。


「じゃあ説明するね」


「うん、お願い」


 フィアがお願いすると、ルーネは一呼吸おいてから話し始める。


「まず始めに、清雅は散歩に行こうとしたんだ。それは知ってるよね?」


「覚えてるよ。たしか私がまた寝る前だよね」


「そう。で、その後優奈と下に降りて行って散歩に行こうとした時、ここの主人に呼び止められたの」


「ふぅん?何で?」


「それはね、今朝フィア達――――というより、優奈とその他って感じの手配書が配られたみたいなんだよ。そして、主人はそれを教えるために呼び止めてくれたみたい」


「手配書?なんでそんなのが配られたの?」


「さぁ?そこまでは分からないって感じかな」


「う~ん……手配書……」


「あぁ、ちなみに、配ったのは行先だったアトランタルだよ。」


「え……それ、ホント?」


「たぶんね。聞いただけだから確信は無いけど」


「むぅ……まぁ、別に行先は後でセイガ達と相談すればいいか」


「そこは皆で考えてね。私にとってはあんまり関係ないから」


「え?あ、うん。分かった」


「じゃあ、続きを説明するよ」


「ん、お願い」


「えっと、確か手配書まで説明したね。それじゃあ……その後の事だね」


「そうかな」


「うん、じゃあ、その後清雅達は無謀にもそのまま散歩に行ったんだよ。あ、文句は本人に言ってね。私は関係ないから」


 フィアが物凄く不機嫌そうな顔でルーネのことを見るので、ルーネは取りあえず被害が来ない様に一言言っておく。


「で、清雅達が出て行った後、ついさっき。フィアと神様――――清花が起きたあたりで、村の人達がフィア達を捕まえにこの宿屋に突撃してきたみたいだよ?」


 ルーネがそう言った瞬間、フィアは大きく目を見開いて声をあげる。


「ちょっと待って!?それ不味くない?村の人達が突撃して来たなら、主人だけじゃどうにもできないでしょ!?」


「ん?もしかして、フィアは気付いてない?あの人結構強いよ?というか、あの人に勝てる人はそんなにいないと思う。それこそ伝説の勇者レベルじゃないとね。この中で勝てるなら、そこの神様の本気モードくらいじゃない?」


「ふぇ?私ですか?ん~……まぁ、全力じゃなくても勝てるかもですね。あ、一応私以外にも清雅君もあの人に勝てますよ?まぁ、やる気だったらの話ですけどね……」


「そうなの?セイガって意外と強いんだね……」


「う~ん、そんなに強いかなぁ?まぁ、それはいつか見る事にしよう」


「それもそうね――――って、そんなこと言ってる場合じゃなくて、私たちの所に村の人達が突撃して来たなら、清雅達も危ないんじゃないの!?」


「あ、それは気付かなかった」


「でも、放っておいても大丈夫な気がしますけどね」


「そうだけど……一応追いかけようよ。ちょっと心配だし」


「ん~……それもそうか。万が一が無いって訳じゃないしね」


「よし!そうと決まったら行くわよ!」


「う、うん、分かった」


「じゃあ行きましょうか~」


 なぜかとても気合いの入った声で言うフィアにちょっと驚きながら返事をするルーネと、ちょっとぽわぽわした感じで行こうとする清花。そして、三人が部屋を出て下へ行く。


 下に着くと、そこには――――


「うわぁ……なにこれ」


 縄で縛られた数人の村人。そして、椅子に座っている主人。それを見たフィアは驚きを隠せず、思わず呟いてしまう。


「あ、やっと起きて来たね。おはよう。ちなみにこいつらは君たちを捕まえようとしてきて、私の店を荒らそうとしたからしばき倒しただけだからね。後、君達の仲間二人はもう捕まったみたいだよ」


「え?あぁ、ありがとう――――って、捕まっちゃったの!?」


 主人にサラリと清雅と優奈が捕まったと言われ、三人は驚いているが、それぞれ微妙に違う驚き方をしている。フィアと清花は半放心状態。ルーネは呆れ顔。そんな感じの驚き方をしていた。


「そうみたいだよ。ちなみに、二人とも村長さんの家にいるらしいよ」


 それを聞いて我に返った三人は、主人に村長の家の場所を聞いた後、お礼を言ってすぐさま向かうのだった。

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