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第二十五話

 清雅が外に出ると、一瞬、村の人たちが清雅を見る。清雅はその反応に一瞬ビクッ!となる。その後ろから優奈がそろりと顔を覗かせ、


「うわ~……何あの目。まるで野獣ね。これがあの手配書の効果なの?」


「あ~……信じたくないけど、たぶんな。はぁ、これはちょっと想定外だ。このまま散歩に行くと色々ありそうだが……それはそれで楽しそうでもあるな」


「え、行くの?マジで?本気と書いてマジで?」


「もちろん。当たり前だろ?こんな面白そうな状況、逃してたまるか!」


 清雅が目を輝かせながら言うと、優奈は呆れたように、


「……たまに清雅が何考えてるのか分からなくなるんだけど、とりあえず今清雅がバカなんじゃないかと思い始めた」


「お前、結構酷い事言うのな。まぁ、昔同じようなことを言われた気がするんだけどな……」


 諦めたように清雅は言いつつ、普通に歩きはじめる。優奈はその後ろをついて行き、


「えっと、どこに行くとかは考えてるの?」


「いや、ある訳無いだろ。散歩ってのは基本行先を決めないでふらふら歩くもんだろ?まぁ、これは俺の考えだけどな」


「ふぅん。まぁ、それはそれでいいかな」


 ただ、この時清雅たちは気付かなかった。清雅たちの後ろを、ひっそりとついてくる人たちに。




 清雅は自分で言った通り、ふらふらとあっちの店を見たりこっちの店を見たりする。たまに物を見て、


「これ買おうかな……でもなぁ……」


と渋った結果、何も買わないでまた歩き出す。というのを繰り返す清雅と、その後ろを少し辺りをキョロキョロと見渡しながら歩く優奈。


 どうやら、清雅は店の物を見て回っているよう。だが、今はまだ買わないでおこう――――そう考えているようだ。優奈は、さっきの手配書のせいで、ゆっくりと物を見れるだけの精神は無い様だ。清雅はたまに優奈のその姿を見て、


「大丈夫か?無理っぽい様なら宿に戻るけど」


と声を掛けるが、優奈は


「大丈夫大丈夫。何も問題ないよ!」


と言い返してくる。が、清雅から見ると、どう見ても大丈夫そうではなかったので、早めに帰るか。と考え、取りあえず宿の方に向かって、だがしかし遠回りをするように歩く。




 それから数分が経ち、宿が見え始める。その時、


「かかれぇ!」


という声が響いたと思ったら、背後からたくさんの足音がする。清雅は瞬時に振り返ると、村人が物凄い速度で迫ってくる。


「ちょ!何!?」


「マジかよふざけんなぁ~~!!」


 清雅たちが反応するよりも早く村人の波に襲われ、気を失うのだった。



――――カツ、カツ――――


 そんな足音が聞こえて来た時、清雅は目を覚ます。


 ひんやりとした感覚が半身を支配している。どうやら石畳の上に寝かされているらしい。辺りは暗いが、ランタンのような物で照らされて、一応何が何かは判別がつく状態で、更に手足を縛られ、口は布でふさがれていた。清雅は、とにかく辺りを見渡そうと首を動かす。


「(鉄格子……てことは、ここは牢屋?見た目的にもそんな感じか。で、俺の他には――――)」


 清雅はそう考えながら振り向くと、


「(優奈!やっぱ俺と同じように捕まってるか。そんでもって状況は俺と同じ、両手両足縛られて口もふさがれてるな。でも、両手足は分かるが、なんで口もふさぐ必要があるんだ?)」


 そのことを清雅が考えていると、


「ん~……んぐ?むぐぐ!?」




と声をあげながら優奈が目を覚ます。清雅はさっきの足音を思い出し、静かにさせた方が良いか?と思ったが、さすがに殺されはしないだろう。という考えに至り、とりあえずこっちに気付くまで放置することにした。


 そして、優奈は数分――――といっても、実質一分くらいだが――――騒いだ後、清雅に気付く。そして、何か言っているのだが、布のせいでうまく聞き取れない。さすがに会話が出来ないのは不味いかな……でもばれたら何かあるか?いや、それくらいなら誤魔化せるか。と思った清雅は、影を操作して口をふさいでいる布を結び目部分だけ切る。


「ふぅ、これでいいか?」


 清雅は小声でそう言いながら、手足を縛られている状態でどうにか座る。


「清雅、あんた、口をふさがれて魔法が使えるの?何で?普通口をふさがれたら魔法なんて使えないわよ?魔法使いを捕まえる時に必ず口をふさぐように言われたくらいだし」


 優奈は同じく小声で話すと、清雅は首を傾げながら


「そうなのか?俺はフィアが使えたし使えるもんだと思ってるんだが、もしかして、お前も出来ないのか?」


と聞くと、優奈はう~ん……と悩みながら試す。が、うまく出来ないどころか、そもそも発動しない。


「……出来ない……」


「ううむ、さすがに優奈だけじゃ確信が持てないな……後二、三人に聞いてみるか……」


「私はそんな事をできるのは清雅とフィアだけだと思う」


 優奈は呆れたように言い、清雅はむ~……と悩む。すると、さっきのカツ、カツ――――という足音が聞こえた。その音を聞いた優奈は、


「ちょっと!どうするのよ!布を切っちゃったから何かしでかすところだったと思われるわよ!?」


と、焦ったように言うが、清雅は、


「あぁ、それな。俺が切ったのは結び目だけだからこうすれば――――」


 清雅はそう言いつつ、さっき切った布を影で浮かし、優奈の口をふさぐ。


「――――ばれないだろ?あ、結び目でばれないように壁に頭押し付けとけよ?」


「む~ん……むうぐぐぅ……(う~ん……そうかなぁ……)」


「まぁ、これでだました後どうするか考えてないけどな」


「むぐぅ!(おいぃ!)」


 そして、清雅も優奈と同じように布で口をふさいで壁際まで行き、鉄格子の方を向いたと同時に、先ほどの足音の正体が現れる――――

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