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第二十三話

「お~い、腹減ったから下に行こうと思うんだが、行くか?」


と、扉の前で清雅は言う。すると、ドタバタと騒がしい音がした後、ガチャリと扉が開き、行くよ~。と言いつつ、フィア達が出て来て、先に下へと行ってしまう。清雅は、あいつら……一体何をしてたんだ?と思ったが、特に何もせずにフィア達の後を追った。




 清雅が下に着くと、何か皆がグダ~ッと机に突っ伏してる。少し気になった清雅は皆に近づいてから話しかける。


「大丈夫か?なんか疲れてるように見えるが……」


「んぇ?あぁ、大丈夫大丈夫。ちょっとふざけちゃって疲れただけだから……はぅ……」


「そ、そうか。まぁ、大丈夫ならいいんだが……嘘は言うなよ?真面目に心配してんだからな?」


 フィアの言葉に、清雅は不安を隠しきれてない声色で言う。


「だから大丈夫だってば……もしかしてセイガって心配性なの?今までそんな気はしなかったんだけど……」


「なんかその言葉、昔も言われたことがある気がするよ……」


 そう言って清雅が首を傾げると、


「あぁ、そうだ。料理はもう頼んである――――というよりも、選択権が無かったから決まってる?よ」


と、優奈が教えてくれる。


「へぇ、料理は選べないのか……まぁ、楽しみに待っておくかな」


 清雅はそう言いつつ、椅子に座り背もたれに寄り掛かる。




 数分後、宿の主人が料理を運んでくる。その料理は、


「……カレー?なんで?」


「何この料理。見たことないんだけど……」


「そうなの?これはカレーって言う……料理のはずよ」


「私もそう思いますけど……って、これは……」


 そう、カレーなのだ。ただ、フィアが不思議に思ったことから、この世界にはカレーがあまり知られてないか、もしくは無いのかもしれない。でも、前者ならまだなるほど。という感じなのだが、後者なら――――。と、清雅がぼ~っと考えてると、


「あれ?君たち、この料理知ってるの?」


「ん?あ、あぁ、まぁな」


「へぇ、そうなんだ……う~ん、基本この料理を出すと『ナニコレ』って反応が返ってくるんだけど……私が思ってた反応は一人くらいしかしてないね……ちょっと残念。それにしても、これを食べた人と私たち以外にこの料理を知ってる人が居るとは……」


 そう店主は言いながら肩を落とす。それを見て清雅は首を傾げる。


「(私たち?食べた客は分かるとしても、まだ何人か知っている人が居る?もしこの料理がこの世界に元々無かったとしたら、そのうちの誰かはもしかしたら異世界――――運が良ければ俺の世界から?いや、そんな事はどうでもいいか)」


 清雅はそう考えるが、最終的にはそんなに深く考える必要もないよな~。と、考えを適当に切り上げ、料理に意識を戻す。そして、改めて料理を見る。その時清雅は、この料理をどこかで見たことがあるような気がした。しかし、もう考えるのが面倒臭くなり、普通に食べ始める。そして、皆は清雅を見て、食べ始める。主人は料理を置き終わると、近くにあったイスを持ってきて、背もたれが前に来るように座り、皆の様子を見ている。


 しばらく皆は黙々と食べ続ける。そして、食べ終わった時、不意にフィアが、


「これ、すごい美味しいわね……」


と呟く。それを聞いた優奈が、


「そうね、確かにこれは私が食べた中で、たぶん一番おいしいカレーね……!」


と、少し力強く言った。しかし、清花と清雅は聞いていないのか、むぅぅ?という声を出しながら悩んでいる。


「(このカレー……昔も食べたことがあるような……何所だっけ?たぶん家だったと思うんだが……誰が作ったんだっけ?)」


「(う~ん、この味……あのこのような気がするんだけど……ここら辺に居るのかな?)」


 そんな感じで考える二人。そんな二人に主人は、


「そろそろ食器片付けるね~」


と言って食器を片づけていく。


「ん、あ、あぁ、ありがとな」


「一応仕事だからね」


「だとしても、一応言うことにはしてるんだ。まぁ、こっちに来てから何度か忘れてたんだけどな……」


 そうなんだ~。と答えて、主人は食器を持って行ってしまった。


「さて、俺たちはそろそろ部屋に戻るか?」


「そうだね、行こうかな」


 清雅がそう言い、フィア達は同意し、皆部屋に戻った。




 部屋に戻った清雅は、もう一度整理して思ったことを考えてみる。


「(あの主人、俺たちのことを6人って言ってたよな?俺たちは表に出てるのは俺含めて4人だ。影の中にいるのはオリュとルーネ――――あとシャクナか。ってことは、たぶんシャクナには気付いてないよな?でも、なんで気付かれたんだ?それに、あのカレー。あの味って、たしか死んだ姉ちゃんが作ってくれた奴に似てた。でも、あの主人は姉ちゃんに似てなかったぞ?じゃあ、どこかにいるのか?それに、清花もアレになんか心当たりがあるッポイ反応をしてたし……気になるな……もしも姉ちゃんがここにいるのなら会いたいんだが……ん~、でももう今日は暗くなってきてるし、諦めるか……というか、どこかにいるなら旅をしてればどこかで会えるよな!よし、もう今日は寝よ~っと)」


 結局最終的には面倒くさくなった清雅は、取りあえず寝るのだった。




「――――――――清花ちゃん、こっちに送って来ちゃったの?でも、清花ちゃんもいるし……ま、また会えるなら良いかな。ふふ、楽しみにしてるからね。清雅」


 暗い部屋の中で独り言のようにそう呟く人物は、そのまま闇の中に消えていくのだった。

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