第二十二話
扉は、ギィィ…と音を立て、開いた。中は、外装とは打って変わり、意外にも、綺麗な感じだった。
「なんか、ずいぶんと見た目と違うな……」
一番最初に入った清雅がそういうと、その後ろにぴったりとくっ付いていたフィアが、
「な、何も出ないよね?」
と、若干震えた声で言う。
「出るって……一体何が出るんだよ」
「ほ、ほら、幽霊とか、そんな感じの何かとか――――」
「こんなのとかですか~?」
その声を聴いた瞬間、フィアがビクッ!と震え、数センチ飛び上がり、カタカタと震えだす。その声は、女性のものだが、清花とも優奈とも違かった。 むむ?と思いながら清雅が振り向くと、髪で顔が隠れている、女性と思われる人物がいた。
「誰だ?」
清雅がそう言うと、女性は髪を後ろに持っていき、
「私ですか?私はここの主人ですよ」
という。その後ろから、優奈と清花が出てくる――――というより、入ってくる。
「そうか、主人さんか……一応、あんまり驚かせないでくれよ?こいつが怯えちゃうからさ……」
呆れたように清雅が言う。それに対してフィアが何か言おうとしているようだが、声が出てない。その代わりに清雅のことを力無く叩く。それを見た主人は、
「あぁ、またやり過ぎちゃったかな?ごめんなさいね。えっと、君たちはここに泊まりに来たんだよね?」
「あぁ、そうだけど……」
「よし、じゃあ、驚かしちゃったお詫びに宿代をタダにしてあげよう!」
胸を張って言う主人。そんなんでやっていけるのか?と思う清雅だったが、タダにしてもらえるならそのままでいいや。という結論に至り、一人で納得し頷く。すると主人が、
「じゃあ、これが部屋の鍵だよ」
と言って、鍵を投げて来て、それを清雅は受け取る。
「ん、鍵は二つか」
「別に問題ない――――というより、その方が良いでしょ?6人もいるんだし」
「あ、あぁ、うん、まぁな……ありがたく使わせてもらうよ」
清雅は6人?と思いつつ、返事をする
「要らなかったら良いんだよ?」
「いや、使う……から」
清雅は微妙な間を開けて言う。
「何よその間は……」
清雅に突っ込む様に、優奈が言う。
「……いや、ちょっとな」
その言葉に疑問を覚えつつも、皆は部屋に向かう。その間、フィアが動けなくなっていたので、清雅がおぶっていった。
部屋にたどり着き、部屋を、清雅と、フィア、優奈、清花に分けた。一人になった清雅は、
「ふぅ、何か疲れたな……」
と呟き、ベッドにうつ伏せになるように倒れる。そして、寝返りを打つと同時に、魔剣の存在に気付く。
「……そういや、これ、形状変化ができるって言ってたな……ちょっと試してみるか」
そう言って魔剣を右手で取ると、少し魔力を込めてみる。すると、少し形が不安定になり、その時に変化させる形状を思い浮かべてみる。すると、不安定だった形が、あっという間に元の剣の1.5倍位まで伸びた。
「このくらいはできるか……じゃあ、これはできるか……?」
再び清雅は魔力を込め、形を変える。その形状は槍だった。
「へぇ、剣じゃなくても良いのか……じゃあ次は……」
と言いつつ変えた形状は銃。
「これも出来た……か。最後はこれだな」
清雅がそう言うと、銃は、清雅の右腕を飲み込む様にくっつく。そして、それはガントレットの形状に変化する。
「よし、正直これが出来るならいいや」
清雅がその結果に満足し、再び元の剣の形に戻し、鞘に入れる。
「さってと、次に魔法かな。まずは光魔法……光を生み出してみるか」
手を前方にかざし、光る玉を思い浮かべつつ目を閉じ、魔力を込める。そして、再び目を開けると、光り輝く玉が出現していた。
「ふむ、これが光魔法かな?……エンチャントも出来るって言ってたが……やってみるか」
清雅は一度光の玉を消してから、もう一度剣を抜く。そして今度は剣が光るような想像をしつつ、魔力を込めて目をつむる。そして、先ほどと同様に目を開けると、光り輝く剣が出来ていた。しかし、結構光が強く、直視できない。
「むぐぐ、目がいてぇ……」
目を背けつつ、急いで清雅は剣の光を消す。
「ふぅ、とりあえず出来たけど、使い所がねぇな。俺自身が目を開けられないほどの光なら使えないからな。後は闇属性かな。影とか面白そうだし」
そう言いつつ清雅は、実験材料のようにそれなりの大きさを持った氷を生成する。そして、次に影に魔力を込めてみる。すると、影が波打ち始める。そして、そのタイミングで、影が氷を攻撃するように考える。すると、影は清雅の足元から伸び、氷に突き刺さったり、ザクザクという音をたてながら切り刻んだりする。そして、ある程度削った所で、影を止める。清雅は特に何も考えず氷を削っていたため、止めた時にはすでにボロボロになっていた。
「何というか、結構威力があるもんだな……知ってるか?これ、数秒の出来事なんだぜ?」
と、誰に言ってるのか分からない言葉を呟きつつ、氷を撤去する。
「さてと、とりあえず腹減ったからこのくらいにしておくかな。あいつらに声かけて下に行くか」
清雅はそう言って、部屋を出ていく。




