第十九話
今回は結構短いです。
ここは人間界の王国、アトランタル。そこにある王城の廊下にて――――
「ジョウ・カンドゥノゥ騎士団長!急ぎご報告したい事があるのですがよろしいでしょうか!」
そう発言したのは、おそらく相当急いでいるのであろう、額に微かに汗を浮かべている、鎧を着た男だった。そして、ジョウ・カンドゥノゥと呼ばれた、声を掛けてきた男より白い鎧を着た男は、
「どうした?一体何があったというのだ」
と言い、男の方に振り向く。その言葉を聞き、話しかけてきた男は、一度敬礼を取ってから、
「それが、勇者が別行動をしているという情報が入ったのです!」
その言葉を聞いた途端、ジョウは目に見えて動揺する。
「その情報は誠か!?」
「ハッ!更に、その勇者と行動している者が三人ほどおり、その中には自身の事を魔王と語っているそうです!」
それを聞いたジョウは、少し悩んでから、
「行動を共にしている者たちの姿は分からぬのか?」
「現在分かっているのは、その三人は男が一人、女が二人だそうです。そして、女のうちの一人が魔王と名乗っているそうですが、容姿までは分かりません」
と言うと、報告する男は苦々しい表情になる。ジョウはふむ。と呟いてから、
「そうか、分かった、もう下がっていいぞ」
と言い、男を下がらせる。そしてジョウも、表情を少し強張らせ、廊下を歩いて行く。
「――――という報告がありまして……どういたしましょう、ジウィンスェー神官」
そう報告するジョウの前にいる、ジウィンスェーと呼ばれた人物は、白いゆったりとした服を着ている見た目50歳後半くらいの男だ。そして、その人物は、
「王にそのことは報告したのか?」
と聞く。それに対してジョウは首を振り、
「いえ、まだ報告はしていません」
「そうか……ならば、報告は私がする。そして、騎士団長殿にはもう少し情報を集めてもらいたい」
「分かりました。では、失礼いたします」
ジョウはそう言うと、スタスタと歩いて行く。おそらく、訓練場か休憩室にいるであろう兵士の所へ行くのだろう。
その背中を見送ったジウィンスェーは、王の元へ急ぐ。
「――――とのことなのですが、いかがいたしましょう」
ジウィンスェーの前に居るのは、とても高そうな椅子に座った男。この男が国王なのだろうか、見た目は30歳位だ。
「ふむ、報告御苦労。それにしても、そもそも私は何もしなくても良い気がするのだが?何だかんだと言っても、私自身から命令を下す前にすでに色々と手配されているのだから」
と、国王は微かに不快そうな顔をする。
「そう申されましても……一応報告はしなくてはなりませんので……」
「まぁ、それもそうか……よし、もう下がってよいぞ」
国王がそう言うと、ジウィンスェーは王室を出て行く。ぼんやりとその後ろ姿を眺める国王は、何か疲れたような顔をしていた。
その後、騎士団に再び入って来た情報は、その者達がオスクリダーリョコスに乗ってこちら側へ進行しており、見失ってしまったということだけだった――――




