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第十七話

「くぁぁぁ……っと、あれ?ここ、部屋じゃない?」


 そう言う清雅は、何故か部屋の前の廊下に転がっていた。すると、部屋のドアがガチャリと開き、フィアが出てくる。


「あれ?何で外にいるの?」


と、フィアが聞いてくるのだが、清雅自身も分からないため、何も言えず黙ってると、部屋の中から優奈が出てきて、


「あぁ、それ、私がやったのよ」


「なんでだよ!」


と、全力で突っ込むと、優奈は少し悩んでからため息をつき、


「あんた、女子しかいない部屋に入りたい?」


 そう言われ清雅は、


「なるほど、確かに入ったら不味い気がするな……」


 そう本気で悩みながら言うと、


「でしょ?」



と、優奈がドヤ顔で言ってくるが、追い出すの遅くね?だって、昨日は部屋の中でルーネに寄り掛かって寝てたんだぞ?ってか、どうやって俺を出したんだよ。あと、ルーネは?と思ったが、その考えを頭の隅に投げ、


「まぁいいや、で?出発すんのか?」


と、清雅は立ち上がりながらそう聞く。


「いや、後一名起きてないわね」


 確実に清花だな。と確信すると、


「わかった。そいつは俺がたたき起こすから、先に行ってろ」


「了解」


「分かったわ」


 そう言って、二人とも下に降りて行く。そして、二人が下りて行った後に、清雅は一人怪しく、


「さて、あいつには色々と恨みがあるからな……どう起こすかな」


と、不気味な笑みを浮かべながら呟く。そんな感じで部屋の中に入ると、清花がルーネを枕にして寝てた。


 なるほど、俺が追い出される一番の原因はこいつか……そう思った俺は、思わず清花をバックドロップの要領で投げる。ドゴォッという音と共に、清花が「グフッ!」と声を上げ、今度は別の意味で寝てしまう。


「ありゃ、やり過ぎたか」


 清雅はそう言うと、ルーネを起こし、影の中に戻してから清花を背負っていく。




 下に降りると、フィア達が料理を注文しながら待っていたため、清雅が席に着いたタイミングで料理が運ばれてくる。内容については割愛。途中で清花が起き、普通に飯を食っていたので、まぁ特にダメージは無かったんだろうなぁ。と思いつつ清雅は食べ進める。


 そして、食事が終わった後宿をチェックアウトし外に出ると、優奈の仲間(見張り?)がいた。そいつらを見て、清雅は優奈に耳打ちをする。


「おい、どうするんだ?」


と清雅が言うのだが、優奈はそいつらに近づいていき、何かを話すと、奴らはスタスタと去っていく。そして戻ってきた優奈に、何を言ったのか清雅は聞くのだが、優奈は内緒よ。と言って話さなかった。清雅は不思議に思ったが、まぁいいか。と考えることを放棄して、今日一番の疑問を聞く。


「そう言えば、何に乗って行くんだ?」


「あぁ、それは昨日の騒ぎの中心となったあれよ」


 そう答える優奈の返答に、清雅は嫌な予感がした。そして、入って来た方向とは反対側にくると、清花が指笛を吹く。その音が鳴り響くと、一度強い風が吹き、反射的に皆が目を閉じ、再び目を開けると、いつの間にか目の前に、黒い体毛の狼が現れる。その狼は、最初に見た時よりも小さく、ルーネより少し大きい位になっていた。


「こいつ、体格を変えられるのか?」


「えぇ、もちろん変えられます。まぁ、まだ人化は出来ませんけどね。そのルーネ?さんと違って。まぁ、その人の場合は清雅君の魔力を貰ってるのもあるんですけどね」


 その一言に、清花以外は動きをピタリと停止し、思わず


「え?」


と聞き返す。すると、清雅の影の中から方までの長さの銀髪に、微かに光を反射している銀色のワンピースを着ている、フィアより少し低い、頭に耳と、お尻のあたりから、銀色に輝く尻尾を生やした少女が出てくる。


「ありゃりゃ、気付かれてたの?」


「そりゃ、伊達に神様やってないですもの。まぁ、今ここにいるせいで他の事は分からないんですけどね」


 その時、清雅たちの考えていたことは、「実はこの人、意外と使える!?」という、神様発言を完全に嘘だと思っていたであろう考えだった。まぁそんな事は今までの清花への対応で分かるが。


「で?大陸渡るなら急いだ方が良いと思うんだけど?」


と、ルーネと思われる少女は言う。その一言で清雅たちは意識を取り戻し、現在の状況をもう一度考える。簡単に言うと、ルーネが人化しただけだが、それなりの衝撃があったか、全員頭を抱えている。そうやっている間に、清花は狼に話しかけ、巨大化してもらった後に、その背中に乗り、残りの人を風魔法を使い浮かせて狼の背中に乗せる。もちろんルーネは清雅の影の中に入っている。のだが、


「あれ?」


 何故か清雅に魔法を使おうとすると、途中で風が霧散してしまう。


「えぇ?なんで?」


と、清花が目を点にして首を傾げてる間に清雅が現状を飲み込み、とりあえず狼に乗ろうと考え、改めて狼を見て、先ほどとは違う想定外の高さに驚く。そして、どうやって乗ろうか少し考え、


「影の中って……通れるか?」


という考えに至り、狼の下まで行くと、影に向かって魔力を流す。すると、ゆっくりとだが、清雅の身体は影の中に沈む。そして、全身が影の中に入る。その影の中で清雅は、この影の中は完全な暗闇ではなく、分かりにくいが、明暗の差があることが分かる。そして、おそらく周りより明るい場所が、影の外なのだろうと思う。


「ん~、ここには重力が無いのか?さっきから浮遊感があるんだが……まぁ、動けない訳ではないから問題ないな」


 そう言うと、清雅はスイスイと上に上がって行き、おそらく清花の影であろう場所から出る。そんな事を知らない清花は、不意に消えた清雅を探してキョロキョロと辺りを見ていて、いきなり自分の影から出て来た清雅に驚く。


「ちょっ!清雅君、どっから出てきてるんですか!?」


「どこって、お前の影からだよ」


と、冷静に答える清雅に、


「そういえばこの人は、前からこんな感じでしたね……ははは」


「おい待て清花、前からって、それは転生前の事か?」


 清雅がそう言うと清花は目を逸らし、狼に進んでくれと言う。


 そして、一応立っている奴もいるのを配慮してか、ゆっくりと進みだす。


「さっきの人は誰だろう?まぁいいや、面白そうだからついて行ってみよう!」

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