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第十五話

 宿に向かってると、勇者がこちらに一人で歩いて来て、


「む、魔王と……誰?」


と、清花を指差しながら聞いてきた。


「誰って……神?」


「なんで疑問形なんですか!!そこはちゃんと言い切ってくださいよ!」


と、後ろから文句が飛んでくる。


「いや、だって、どう見ても神様っぽくないだろ」


「そうね。どう見ても一般人ね」


「そんなに私威厳無いですか!?」


「「うん。そりゃもう全く」」


 そう言ったら、清花はちょっと泣きそうになっている。


「セイガ、女の人は泣かしたらダメでしょ?」


と、フィアが突っ込んでくる。


「むぐぐ…っつか、これは俺が悪いのか!?」


「「当たり前でしょ?」」


「クソ、何か理不尽だ……っつか、なんで勇者と意気投合してるんだよ。おかしいだろう?」


 そう突っ込むと、勇者とフィアは、ハッ!と声を上げお互いの顔を見て、改めて清雅の顔を見て一言


「「別に直接的な恨みは無いから問題ない」」


「そ、そうか」


 あれ?こいつ、城を破壊されてたよな?とか思ったが、本人が気にしてないッポイので特に何も言わないことにする。なんていうか、こいつらの仲間とかがかわいそうに感じる……まぁいいか。


「なぁ、いい加減宿屋に入らねぇか?」


「「「しょうがないわね。入ってあげるわ(あげますよ)」」」


 そう答える三人。完全に意気投合してるな。と、清雅は心の底から思い、皮肉を込めて、


「お前ら、仲がよろしい事で」


「「「まぁ、名前は知らないけどね(知りませんけどね)!」」」


 ……もう、宿に入ろう。うん、そうしよう。ドヤ顔でそういう三人に心折れた清雅は、トボトボと宿に向かうのだった。




「――――で?なんでお前たちもここにいるんだ?」


 そう言う清雅の前には、フィアだけではなく、勇者と清花がいる。


「魔王のいる所に勇者あり?」


「転生者のいる所に神様あり?」


「お前ら自由か!それと勇者!仲間置いて来てるけど良いのか!?」


「別にいつもこんな感じだから問題ないわ」


「いつもの事なのか…なんていうか…ご愁傷様だな」


 そう言いつつ、少し泣きそうになっている清雅だった。


「で?本当に何しに来たんだよお前ら」


「私は遊びに」


「私は行く所が無いからです」


 そうドヤ顔で言うアホ共。


「魔王と友達になりかけてる勇者に、一人寂しい神様……もう、どうしようもねぇ…」


「私はボッチじゃないですよ!?」


と反抗する神に向かって、


「でも、友達はいないんだろう?」


と聞くと、


「いますよ!さっきの狼さんとか、「あ、俺は含めるなよ?」………狼さんとか……狼さんとか?」


――――正直、清花が憐れすぎて真面目に泣きそうな清雅だった。


「で、自己紹介でもしようかと思うんだが、フィアよ、どう思う?」


と、フィアに話を振ってみる。フィアは一人でぽけ~っとしてたが、清雅の声で気付いたように彼の方を向くと、


「へ?あぁ、それもそうね」


と言い、二人に向き直る。


「えっと、じゃあ私から名乗るわね。私はフィア=マニュス。一応魔王と名乗ってるわ。まぁ、城が無くなっちゃったから、魔王って名乗っていいのか分からないけどね。取りあえず、元魔王って事にしといて」


「あはは、それはごめんね。防御結界が硬すぎて扉がなかなか開かなかったから、全力で押したらああなっちゃったんだよ」


と、軽い感じで言う勇者。


「(……こいつは…とんでもねぇ馬鹿力だな……)」


 清雅がそう考えてると、勇者は続けて、


「じゃ、次は私で良いかな?」


と聞いてくる。


「まぁ、良いんじゃないか?」


「じゃあ、名乗るわね。私は赤羽あかばね 優奈ゆうなよ。呼び方は任せるわね。一応、私を呼んだのは“アトランタル”って場所だけど、特別思い入れがある訳でもないし、問答無用で呼んだって点では、そんな好きではないって言うか、嫌いよ。正直滅ぶだなんだってのはあんまり興味はないわ。私は帰れないなら、楽しめる場所があれば良いし、仲間も、あっちの王国が連れてけってうるさいから連れてるだけだしね」


「じゃあ、あいつらはお前とはあんまり関係ないってことで良いのか?」


「まぁ、そういうことね」


「ふむ、なるほどな。つか、お前はその“アトランタル”って所に戻る途中なんだろ?ここで油売ってても良いのか?」


「へ?いや、たぶんあいつらは戻す方法は知らないと思うわよ?」


 そう言う優奈は、確信しているような顔をしている。


「は?なんで?」


「いや、あそこの人たちに戻る方法を聞いてみたりしたんだけど、目を逸らされることが多かったのよ。だから、たぶん知らないと思うのよ。まぁ、魔王を倒せばどうにかなるって言われたけど…まぁ、そんな事は無いと思うけどね。そうでしょ?フィアちゃん」


「ん~、まぁ、知らないわね。まぁ、知ってても、倒しちゃったら意味ないと思うけどね」


「あはは。だよね~」


と笑う優奈は、不意に頭を抱えると、


「あ~、やっぱり帰れないのか~」


と、心底残念そうに言う。


「まぁ良いんだけどさ、この後何しようか考えてるのよね~。たぶんあそこに戻るとロクなことにならなそうだし」


 その言葉に、ふ~ん。と言いながら俺はフィアを見る。


「だってさ」


「何が?」


「いや、何となく聞かなくちゃいけない気がしたからな」


「意味分からないわよ。はぁ…まぁ私は構わないけど…ユウナはどうなのよ?」


と、フィアが優奈に聞くと


「私は一緒に行きたいかなぁ。その方が面白そうだし」


「そう?じゃあ決まりね。というか、向かう先は同じなのよね」


「そうなの?まぁ、私にとって行先はそんな重要じゃないから良いわ」


と、何か仲間が増えたが、とにかく最後の一人だ。


「って事で、次はお前だぞ。神様(笑)よ」


「(笑)!?」


と叫ぶ清花。しょうがないだろ、どう見ても神様とは思えないんだから。と思い、やれやれ。といった感じでため息をつく清雅。


「はぅ…まったく、何で私は弄られ役なんですか…」


「だってお前はそういうキャラだろ?」


「むぅ、もういいです」


と言い、一回ため息をついてから、


「えっと、私は天川 清花です。一応神様なんですけど……誰も信じてませんよね……はい。分かってますよ。むぅ、仮にもこの世界の創造神なのに……まぁ良いです。ちなみに、私は現在行く所が無くて悲しい状況です。ヘルプです。誰か助けてください」


「お前……神様の威厳どこ行った?」


「そんなものは知りません。威厳なんかで生きていけないのです!絶対に無理なのです!というか、そもそも威厳があったらこんな所にいませんよ!」


「思いっきり開き直ったな……で?お前もついて来たいと?」


「もちろんです。頑張って役立ちますよ!」


「んで?どうすんの?リーダーフィアよ」


「その言い方はやめてよ…てか、いつから私はリーダーに?…まぁ、別について来ても良いんじゃない?」


と、若干鬱陶うっとうしそうに言ってくる。


「ダ、ソウデスヨ?神様?」


「良かった……断られたらあそこの森で暮らすことになってたと思うから、すごい安心した~」


「……それはそれで…ありか?」


「嘘ですよ!?冗談ですよ!?ジョークですよ!?」


「何だ、それは残念だな」


「残念って、ひどいですよ~!」


と清花と話してたら、隣から


「さて、次はセイガの番でしょ?」


とフィアに言われた。


「うぇ?俺もやるの?」


「当たり前でしょ?てか、なんで自分はやらないと思ったの?」


「うぐ…確かにそうだな……はぁ、しょうがない。あ~っと、俺の名前は白銀 清雅だ。お前らみたいに劇的な人生は送ってないから、もう喋る事が無いな…まぁ、よろしく頼む。ちなみに、狼が一匹いて、名前はルーネだ。まぁ、名前はさっき決めた」


「あ、名前決めたんだ」


「おう。頑張って考えたぞ」


「そう。まぁ、良いんじゃないの?」


「じゃあ、次に向かう所でも考えようよ」


と、勇者――――否、優奈の提案に賛成して、神様がなぜか持っていた地図を基に、ルートを考えていく。


そんな感じで時は過ぎていった――――こんなパーティーで大丈夫なんだろうか…不安しかねぇぞ…と、清雅は心の中で、先行きが不安になるのだった。

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