第十三話
ちょっと第十一話を改編したのでお金についての説明が変わっていますが、たぶん今回はそんなに響いてません。取りあえず、変わったことだけ注意してください。
さて、勇者と話して、気分的には逃げるように清雅は宿から出たのだが……
「とりあえずこの金貨でできるだけアイテムを揃えるか……まずはこの硬貨を入れられる袋と、この服を隠せる物かな…」
そう呟きながら、清雅は色々置いてあるであろう道具屋を探してキョロキョロしながら歩いていたら、ふと、何か違和感のようなものを感じた。文字を見るとその感覚があるのだが……なんなのだろうか…
「ん~……まぁ、いいか」
と、違和感を頭の隅に放り捨てた。ついでに道具屋も見つけたので、そちらへ向かって行く。
チリリン、という音を立てながらドアを開けると、中には見たことのある物や無い物まで様々な道具があった。清雅は並んでいる道具を見ながら、目的である袋を探す。
「あ、これくらいの袋なら大丈夫かな?」
と呟き、革製の袋を取った。それと、ついでにそれなりに大きい鞄も取り、それを入り口近くにあるレジのような所に持って行き、店員さんに会計をしてもらう。だが、まさか金額が銅貨43枚だった(ちなみに、金額の内訳は袋が13枚、鞄は30枚。価格には銅板表記はされないようで、銅貨や銀貨で表記されるらしい)。
で、次に清雅は服を隠せるような物――――フィアの着ているマントのようなものを探す。またキョロキョロしながら店を探している時に、清雅はさっきの違和感に気が付いた。それはもう、普通気が付くだろってレベルの事だ。それは――――文字が読めることだ。なぜ今まで気付けなかったのだろう……清雅は自問し、まぁ、さっきまで気が付かなかったし、読めたからな。と自答する。
なぜそれに気付けたか。それは、微かに文字が揺れてたから。清雅はそれが気になってしばらく文字を見ていたら、文字の奥に、日本語ともアルファベットとも違う、見たことのない文字があった。
と、清雅が違和感を解消できた所で、もう一つの目的であるマントを売っている場所を見つけたので、その店へ行く。
「……マントって、色々あるんだな」
そこには、様々な種類のマントがあった。それは、特殊な素材を使った属性耐性が付いている物から、何も付いていない、ただの布をマント風に加工した物まである。その中でも清雅は、何故か無駄に宝石などで装飾されている煌びやかなマントに目を引かれていた。欲しいというわけではなく、単なる興味の対象として、だが。
「……なんだ……これ?」
と、無意識に呟き、何となく値札を見てみると、
『金貨3枚』
…おおう、とてつもなく高いですね。ハイ。清雅は呆れつつそう思う。
と、そんな感じで、色々と気になるものがあったのだが、最終的には、真っ黒のマントを購入した。ちなみに、値段は銀貨一枚だ。まぁ、他のマントの金額と比べたら、安い方だろう。そして、とりあえず清雅はそのマントを早速着て、宿に戻った。
清雅が宿に戻り部屋に入ると、フィアがベッドの上で寝ていた。たぶん、暇だったのであろう。なんか、起こしたらいけないような気がしたので、起きるまで、座りながら狼の名前でも考えることにした。
「ん~、名前……名前…たぶんそんな深く考えなくても大丈夫だよな。ってか、よく考えたら、性別知らないな。ん~、ダメもとで聞いてみるか」
そう呟くと、すぐに狼に話しかける。
≪狼、起きてるか?≫
≪?何かあったの?≫
≪いや、そういえば、お前がオスなのかメスなのか知らないなって思ってな。それを聞こうと思っただけだ≫
≪……メスだけど、何か?≫
≪そうか。ありがとう≫
≪感謝されてる理由が分からないんだけど?≫
≪いや、特に意味はないぞ≫
≪そう?≫
≪そうだよ。本当に理由なんてないってば。まぁ、それだけだからな。じゃあな~≫
≪ん、じゃあね~≫
さて、性別が分かった所で、再び名前を考え始める。
「えっと、たしか、種族がフォッグウルフだったはずだから…ウルフのルを取ろう。で、それに何かを付ければ出来るかな…ん~、とりあえず伸ばしてみるかな……ルー、ルー…後一つくらい欲しいな…しょうがない、五十音を片っ端から合わせてみるかな…ルーア、ルーイ、ルー――――・・・ルーニ、ルーヌ、ルーネ……ルーネか、良いかもな…うん、これにするかな」
と、特に何も考えずに名前を決めた。え?もう少し真面目に考えろ?いやだよ、面倒くさい。誰へ言うでもないが、清雅はそう思う。
だが、一応暇つぶしが出来たから良しとしよう。清雅は最終的にそうまとめた。すると、
「ん…ん?あれ?セイガ、いつから居たの?」
と、今しがた起きたフィアが話しかけてきた。
「おう、おはよう。いつから居たか、って言われても分からんが、一応数分前から居たって言っておこうかな」
「そうなの?…ふぁ~…ん、とりあえずおはよう。で、ちゃんと買うものは買って来たのね」
「ん、ちゃんと買ってきたぞ。まぁ、マントを着てるだけだけどな」
「ふ~ん、まぁいいわ、服が隠せるなら良いのよ。で、さっきも言った通り、武器をあげようかと思うんだけど、どんなのが良い?」
「どんなのって言われても…まぁ、剣系で」
「じゃあ、これをあげましょう」
と言って、フィアはポーチの中から、70cmほどの刀身の黒い剣を取り出し、俺に投げてきた。慌ててそれを受け取ると、ずっしりとした重さに驚いた。
「えっと、これは?」
「それはね~、たしか魔剣のはずよ?」
「へ~、これが魔剣か~……」
…………ん?
「え?魔剣?」
「うん、魔剣。形状重量変化自在のね」
「は!?何でそんなもんを簡単に渡せるんだよ!?」
「え、それは、私が作った武器の方が性能強すぎて、正直いらないのよ」
「マジかよ……ちょっと見てみたいな…」
「またいつかね」
「そうか。ん、まぁ、ありがとな」
「え、あ、うん」
清雅がお礼を言うと、目を逸らされたのだが……気のせいということにする。
さて、もう特に何かすることもないんだが……どうするかな…そう思いつつ何となく窓を見ると、遠くに不思議な黒いシルエットが見えた。不思議に思った清雅は、外から悲鳴が聞こえて来る事に気付き、急いで窓を開け放った。そこには――――
炎のように揺らめく黒い体をし、燃えるような赤い眼をした狼のようなものがいた。
「なんだ……あれ…?…」




