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第十二話

「「え?」」


と、同時に振り返ると、たしかに、丸テーブルの前に女性が三人座っている。ちなみに、こっちから顔が見えるように座っていて、髪の色は、右から赤、少し明るい茶色に、金色だ。さらに、真ん中の女性は、本を読んでいた。ここからだと、題名までは読めなかった。


「あれが勇者?とてもそんな風には見えないけどなぁ…」


と、清雅が呟くと、


「いや、そうでもないわよ?そもそも、こんなところにあんな装備をしている時点で珍しいし、それに、あの真ん中にいる人間、嫌な感じがするわ」


「嫌な感じって…」と、清雅は言いながら真ん中に座っている女性を見る。

と、清雅達が勇者を見ていると、後ろから、


「おい、あんたたち。これ、部屋の鍵な」


という店主の声と、カチャリ、という、金属の音が聞こえた。


その音に反応して、フィアが振り返った。すると、


「え?鍵が一つ?」


と、呟いたフィアの声につられて、振り返ると、確かに、どう見ても鍵は一つしかない。


「だって、あんたら、二部屋とは言ってないだろう?」


「そうだけど…」


「もう一部屋欲しいなら、銀貨を後2枚もらうが、いいのか?」


「む、むぐぅ…それなら諦めるわ」


 おぉぅ?フィアが負けたぞ?やっぱり、魔王もお金には勝てないらしいな。


 清雅はそう思いながら渋々部屋に行こうと階段へ向かった時に、ゾッと悪寒が走った。そして、反射的に勇者達の方を見ると、いつの間にか本を閉じて、清雅の事を睨む様に見ていた。その眼は、まるで獣が獲物を見つけた時のように鋭くなっていた。その時、


「セイガ?どうしたの?」


 前から聞こえてきたフィアの声で、清雅はハッ!と我に返り、自分が固まっていたことに気付く。


「あ、いや、なんでもねぇ」


「そう?まぁ、なんでもないならそれでいいんだけど……取りあえず、行くわよ?」


と言って、フィアはスタスタと階段を上がっていく。そして、清雅もその後に続いて上がっていくのだが、さっきの光景がしっかりと脳裏に焼き付いていて、部屋の前まで、恐怖で冷や汗が止まらなかった。




 さて、部屋の前に到着し、鍵を開けて入ったのだが……


「……ベッドが一つしかないのは…お約束って奴なんだろうか…」


 そう、ベッドが一つしかないのだ。しかも、なんか狭い様な感じがする。


「はぁ、まぁ、俺が床で寝ればいいんだしな。狼もいるからどうにかなんだろ」


「じゃあ、私はベッドの上ね」


「ん、りょーかい」


 と、寝る場所を決め、次に何をしようか……と、少し考えてから、


「で、何しようか?」


と聞いたら、


「そんなの私に聞かないでよ」


と返された。


「いや、そうなんだけどさぁ……俺、正直言って何をしようとか思いつかないんだよなぁ」


「そう?ん~、じゃあ私が決めてあげるわ。とにかくセイガはその目立つ服をどうにかしてきて」


「え、あ、うん。わかった」


 取りあえず、やることが決まったため――――ん?決められた。か?まぁ、どっちでもいいや――――で、出て行こうとした時に、


「それが終わったら帰って来なさい。武器をあげるから」


 そう声を掛けられ、思わず振り返り、

「え?くれるのか?」


と、期待を込めて聞くと、


「何?いらないの?」


「いや、めっちゃ欲しい」


「なら早く行ってきなさいよ」


 アイアイサー!と、元気良く返事をし、清雅は部屋を飛び出す。




 さて、部屋を飛び出し、階段の前まで来た時に、さっきの勇者の恐怖を思い出してしまい、


「……やべぇ……降りたくねぇ」


と呟き、頭を抱えた。


 そのまま数分葛藤していたのだが、さすがに降りない訳にはいかないので、腹を括って降りることにした。


「……奴らは…いるか?」


 そう呟いてる俺は、階段の最後の一段を降りずに、壁に隠れながら丸テーブルのある方をのぞく。


「よし、いない…な」


 確認したが見当たらなかったので(というか、不自然なほどに誰も居なかった)、ほっとして、最後の一段を降りる――――と同時に、


「誰がいないって?」


 心臓が止まるかと思い、焦って振り向くと、3~4段上に、さっき睨みつけてきた勇者だと言われてた女性が立っていた。


「…いつから俺の後ろにいたんだ?」


「いつからって、君が上で迷ってた辺りからかな?」


「……そんな前から見てたのか…考えただけ損だったな。うん」


 そう一人で納得し、改めて相手を見る。


「で?お前は何で俺に話しかけて来たんだ?」


「そんなの、君がよく分かってるでしょう?」


 たぶん、いや、確実にフィアの事だろう。だがここは一応とぼけておこう。まぁ、特に深い意味はないが。


「……何の事だかさっぱりだな」


「あくまでもとぼける気?君が魔王といたことくらい、さっき見ていたから知っているわよ?」


「……だからなんだ?それのどこに問題が?別に俺が誰といようと勝手だろう?」


「そうね。普通の人ならそれでいいかもしれないわ。でも、あいつは魔王なのよ?」


「それが?魔王といることのどこが問題なんだ?」


「それは、あいつら魔王軍が人間達に攻撃を仕掛けて、滅ぼそうとしたからよ」


「そうか。で?それを言って、俺に何をしてほしいんだ?」


「魔王の近くにいないでくれないかしら?」


「それは嫌だな」


「なんでよ?」


「だって、あいつは俺がここに来た時に最初に会った命の恩人に近い存在なんでな。出来るだけ守ってやりたいんだよ。まぁ、あいつにはいらないかもしれないけどな」


「……君も召喚されたの?」


「いや、俺の場合は転生だな」


「そう。まぁ、とにかく、君は私の敵になるのね?」


「そうだな、そういうことになる。だが、今ここで戦闘は始められないだろう?」


「そうね。今は無理ね」


「なら、また後で会おう」


 そう言い放ち清雅はその場を立ち去った。

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