第九話
清雅は食事が終わった後、ぼけ~っと、空を見上げていた。……あ、そうだ。
「そう言えば、フィア?」
「ん?なに?」
「この首輪をくれた時、飯を食わなくても良いって言ったけど、なんでだ?」
と、清雅は狼についている首輪を指差しながら言う。
「あぁ、それはあんたの魔力を代わりに摂取するからね」
「へ~、そうなのか」
「ちなみに、主(あるじ)の得意魔法によって、付けてる奴の魔法が強化されたりするわ。まぁ、その狼とかは特殊で、主の得意魔法によって色々変化するんだけどね」
「色々って?」
「色々は色々よ。火なら火への耐性と、主が火属性の魔法を使った時の効果の拡大とかね。まぁ、身体能力が上がるのもあるんだけど…いいや、もう何度も説明するのはめんどくさいから魔法のことを全部言うわよ?」
「あぁ。してくれるならお願いするぜ」
「じゃあ、まず、魔法の特性ね。まず、火属性は主に攻撃系に使う魔法で、広範囲に出来るんだけど、火属性は、一度放ったらコントロールが効かなくなるのが難点ね。首輪の変化はさっき言った通りよ。で、水属性は水を生成したり、水を操ったりできるのよ…で、この魔法は、魔力=操れる水の量なんだけど、想像力が弱いとほとんど何も出来ないのよ。後、血液を操ったり、増やしたりも出来るわ。ちなみに自分の血液は無制限に操れるわよ?ただ、使いすぎると死んじゃうけどね。後、清雅がやってた氷とかは、魔力消費が多すぎて、基本出来る人は少ないわ。首輪の変化は、水中での移動速度強化と、自然回復力が微妙に上昇するわ」
「(水魔法は増血も出来るのか…魔力によって同質の血液のようなモノを生み出すとかそんな感じかな?)」
「で、風属性は文字通り空気を操ったり出来るらしいけど、実は一番使い方が分からない属性ね。一応うまくすれば浮遊が出来るらしいんだけど、調節が難しすぎるらしいわ。首輪の変化は軽くなるのと、少し浮くわ。で、雷属性は雷を生み出して焼くんだけど…これもあんまり使える気がしないのよね~…遠くから攻撃しても、途中で風がふいてると、思いっきりぶれて当たらないみたいだし…まぁ、使えないって事よ。首輪の変化は移動速度の上昇よ。それ以外にないのが、残念な事この上ないんだけどね…」
「(風も雷も使い勝手が悪いのか。でも、至近距離なら使い方は色々あるかな)」
「で、次に、規格外で、異常な光属性と闇属性ね。光属性はほとんど攻撃系の使い方が出来なくて、代わりに回復系、傷の治癒、しかも傷跡が残らないレベルでの回復とか、エンチャント系、力とか移動速度の上昇とかが出来るわ。これは基本勇者とかが使えるんだけど…稀に使える人間……更に極稀に魔族も使えるわ。」
「え?魔族も使えるのがいるのか?」
「まぁ…ね。一応、そのことについては後で説明するわ」
「了解」
「で、闇属性は一番規格外よ。なんせ、攻撃力が全属性で最大で最強だからね。もう本当に、なんでこんな魔法に勇者は立ち向かって勝てるんだ!?って位にね。で、闇属性で使えるのは、空間操作、重力操作、幻術を使ったり、後、影を変形させて攻撃したり出来るわ。遠距離からの奇襲も、発見されても、瞬時に近づいて背後から襲うことも出来るから、暗殺や奇襲にとても向いてるのよね…こう考えると、本当になんで勇者は勝てるの?」
「いや、それが勇者補正じゃねぇのか?って、それよりも闇属性が異常なくらいつえぇな…よくそんな魔法使えるのに侵略しきれないな」
「そ、それは、歴代魔王が全員最後の方で油断してじわじわいたぶろうとするから、勇者を召喚されてやられちゃったのよ。全く、本当にアホらしいわよね」
「勇者が来たと同時に逃げ出した魔王にアホ呼ばわりされる歴代魔王達…残念だな…」
「う、うるさいわね!あれは私が悪いんじゃなくて、私の前の魔王が「我々は強いのだ~」的なことを言って他国に喧嘩売ったのが悪いわけで…つまり、私は悪くない!!」
「そ、そうですか…で?さっき言ってた、光属性を魔族が使えるってのはなんでだ?」
「あぁ、それね?それは、魔族は元々人間だからよ」
「は?どういうことだ?」
「まぁ、そうなんじゃないかなぁって思ったけど、やっぱり知らないのね…えっと、理由は遥か昔になるんだけど、元々この世界には知性のある生物は人間しかいなくて、更に魔力も存在しなかったのよ。で、五百年前位に突然魔力が出現したらしいの。で、今から三百年位に、とてつもない魔力を持った子が生まれたらしくてね?まぁ、それが初代魔王になるんだけど……で、その子が、自分の魔力を抑え切れずに暴走しちゃって、それが原因で人間に追われ襲われたのよね。で、逃げ続けてる間に、同じような境遇にいる人間を連れて、魔界を作り上げたのよ。その後、「なんで俺たちが追い出されなくちゃいけないんだ!」って人間相手に文句を言ったら、人間が逆切れして攻撃して来たから、返り討ちにしたら追い詰められた人間達が勇者を呼んだのよ。で、その勇者に、人間が色々吹き込んで、魔王が悪者っぽく仕立て上げられたのよ。で、それによって初代魔王様は退治されてしまったとさ。で、とりあえず、元は魔力のとても高い人間だから光属性も使えるって事。分かった?」
「なるほど…元が人間だから使えるのか…ん?じゃぁ、人間も闇属性が使えるんじゃねぇのか?」
「いや、闇属性は魔力をめちゃくちゃ使うから、魔力の少ない人間じゃすぐに魔力が尽きちゃうわ。というか、使えた時点でそいつはもう魔族よ」
「なるほどね~。ちなみに、獣人はどういう風に出来たの?」
と言ってから、俺は獣人がいるのか聞いてないことに気付き、もしいなかったらどういう言い訳をしよう…と思ったが
「あぁ、獣人は、魔力を持った獣の突然変異よ」
そんな事は杞憂だったようだ。まぁ、ファンタジーの定番とも言えるものな。
「ん、なるほど。説明ありがとなフィア」
「分かってくれたならいいわ。ふわぁ……むぅ、じゃあ、私はもう眠いから寝るわね。おやすみ~」
「おう。おやすみ」
そう言いながら、フィアは横になり、すぐに小さく寝息をたて始めた。
「さて、俺もそろそろ寝るかな」
そう言い、清雅はごく自然な流れで、横に寝ている狼の腹の上に頭を乗せ、寝た。
≪ぐ、ぐぅ…お、重い…≫




