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第五部
ちょうど春休みに入ったため、僕は直美のそばに極力いるようにした。直美の両親は快く受け入れてくれて、僕のためにご飯を用意してくれたりもした。僕の両親はやれることを精一杯やれと、後押ししてくれた。
「直美と一緒にいれる時間、たくさん増えたね。」
「そうだね、ありがとう、進。」
直美は大分落ち着きを取り戻した。死ぬのは怖いはずなのに、直美は笑っていた。僕が好きになった、あの笑顔で。
私は笑った。死ぬのは怖かった。でも、進や、家族がそばにいてくれたから、少しは楽だった。私に残された時間が少ないことはわかっていた。だから、こうしていられることが幸せだった。進がいるときは、ずっと手を握ってもらった。今は進の方が暖かかった。
「あったかいね、進の手…」
「直美の手、ちょっと冷たいね。」
二人して、笑った。