その十九 関の明○勝は日本一(と思う)
第二章 めぐりあい?宇宙編
その十九 関の明○勝は日本一(と思う)
やあやあ、こんにちは。(こんばんは?)服部東司です。
皆さんはカレー好きですか?
えぇ、魚のカレイではなく、インド発祥?の日本人の国民食と言っても過言じゃない、あのカレーです。
私は大好きです。一ヶ月食べなかったら日本をインドにしてしまいたくなるくらい好きですね。
ん? 何でいきなりカレーの話?
それが聞いて下さいよ。実はケイロンに「宇宙壱番や!」というチェーン店がありまして、そこでまさかまさかのカレーを食べる事が出来たんですよ。
いやー嬉しかったなー・・・
聞くところによるとカレーは大昔、異世界から来た勇者が考案したと言われてる料理らしくて、こちらの世界でも結構ポピュラーだったりするらしいです。
多分俺と同じで、俺にカレーを食わせろ! と言う感じでクラチカ印度化計画を発動しちゃったんでしょうねぇ
いやー何か親近感が湧くなー・・・
あ、どうでもいい話ですけど「宇宙壱番や!」は宇宙に出る前は「ウチ壱番や!」だったらしく、しかも良く聞いてみると勇者のパーティーで料理作ってた人が元々の創業者なんだそうです。
てー事は、この名前も勇者がつけたんでしょうねー・・・
んん? 単にカレーが食えたのが嬉しかったから、そんな話してるのかって?
まあ、半分はそうですかねー
二度と食えないと思っていた好物を食べる事が出来たうれしさ・・・
いやーやっぱりカレーはうまいよなー・・・口舌に尽くしがたいモノがあります。
白いご飯と黄色いカレーの組み合わせ・・・ 白い究極と黄色い至高ですよね。親子喧嘩する必要はありません。手を取り合って更なる高味を目指せばいいのです。
フライングスパゲティーモンスターがいるとしたら、間違いなくカレースパ味ですし。
香川県はうどん県にするなら高松はカレー市にするべきだと思うのです。
ん?ああ、ごめんごめん。また話がそれましたね。
えーと・・・あっ、そうそう、もう半分の理由でしたね。
今ケンタウリの次の目的地、惑星タナトスの近くまで来てるんですが、機関士カレラの話だと、なんとここで勇者が残したもう一つの料理が食べられるんだそうです。
いやー楽しみですねー、早く食べたいですねー。
俺はそんな感じで、まだ見ぬ(食べぬ?)未知に心躍らせながら、そのうちスクリーンに映るであろうタナトスを心待ちにしていた。
「pi タナトス星ワープ停止距離に到達しました。ワープ停止いたします。静止軌道到着まであと十分です。タナトスの拡大映像をスクリーンに映し出しますか?」
コロナが気を使ってか、そんな事を言ってきたので俺はコロナの提案に乗った。
ブリッジのメインスクリーンに太陽の光を浴びて、茶色く輝かない星が映る。
・・・赤茶色い?・・・輝かない?・・・
「・・・あれ? これがタナトス?」
「pi はい。メインスクリーンに間違いなくタナトスを映しています」
えー?・・・岩山だらけで、明らかに居住できそうな感じじゃないんだけど・・・
「東司様、先ほども説明しましたが、この星は居住型惑星ではありません。元々は高性能魔導器の作成に必要なネセサリウムというレアメタルが取れる鉱脈が非常に豊富だった為に開発された星で、鉱山開発用のコロニーがあるだけです」
ロゼさんがちょっと呆れ顔で教えてくれる。
てーか、聞いてたっけか?・・・
「ただしコロニーとは言いましても、作業従事者と更にその家族や生活関連職種の人も含め計三万人以上が生活していますし、なんと言ってもここは水龍教団の自治星で資金源の一つです」
あー・・・そうそう、そんな事言ってたなー
カレラが言ってた料理の事で頭いっぱいで、すっかり忘れてたよ。
「なんだっけ・・・確か昔に信者の人が発見し開発した星を水龍様に奉納したんだっけ?」
「ええ、熱心な水龍信者の方で、『これぞ水龍様のご加護』と言われまして」
んー、見つけたのは鉱脈なんだし、どっちかというと岩竜の加護じゃないの? って思うんだけどな・・・
ロゼさんがそんな俺の考えをそれとなく察して説明してくれる。
「水龍教団は厳密には一般財団法人『水龍教団』と申しますが、元々は水龍教と言いまして、水龍様のお住まいになられる湖を発見した導師カンデが様々な人の手助けを得て、湖周りの山と土地を保護し始めたのが最初の始まりです。
ですがあの場所はジャングルの奥地ですので最初は活動費を得る為に飲料水として湖の水を販売していたのですが、百年ほどたった頃、湖の水を魔導器制作時に使用する純水の原料にすると魔力の馴染みが全然違う最高の品質の物になる事が分かり、それ以後、一般財団法人『水龍教団』として活動するようになったのです。
それ以後、水龍様は魔導器制作に恩恵を与えてくれる存在として、魔導器制作や関連する業種の人たちを中心に水龍教の信奉者が増え始め、今では新型魔導器や回路を作る前に水禅式、完成した後に浄水祭と言われる式を行うのが通例となったほどです。」
あー・・・だからロゼさん部長代理って役職なんだ・・・と、俺は妙なところを納得する。
「この船を造ったミズノも水龍教団の資金援助プログラムで起業された会社ですし、タナトスとタナトスの鉱脈を発見されたターナー・ダ・シルバ氏もまたしかりです」
あーなるほど、それなら岩竜じゃなくて水龍の加護って言うわな。
と、そんな話をしているとコロナが連絡を伝えてくる。
「pi 静止軌道に到着しました。タナトスコロニーより所定連絡が入っています。繋ぎますか?」
どうやら話している間に着いたようだ。
俺はタナトスの管理官とやりとりをしながら、今のロゼさんの説明を上の空で聞いていた時から夢想していた伝説の勇者料理「味噌カッツ」に思いを馳せるのだった。
俺が過去にこの世界に来た異世界人の勇者に親近感を持ってしまうのは、カレー好きだからだけでは決してない。
確かに俺はカレーは好きだ。大好きだ。PS愛してる。
なんと言っても大学生の頃、一週間オールカレー生活を送った次の週の学食でカレーを頼んだ程の強者だ。
だが、カレーは人気食。俺ほどカレーを愛していなくても、異世界で元の世界の食べ物で何が食べたい?って聞かれれば、高い確率でカレーの名前は挙がるだろうという物。
所詮、真のカレーの王子様たる我が輩から見れば、カレーと言うだけで親近感など持ちようもない・・・。
では何故親近感を感じたのか・・・
その答えが・・・味噌カツだ!
味噌カツは好きな人は好きだが、嫌いな人は嫌いな食べ物。
異世界人が嫌いな料理をわざわざこちらの世界で作るわけがない訳で、間違いなく同士! って感じでうまい酒が飲めそうな予感な訳ですよ。
しかも、昔カレラと知り合った時ここで働いていたゴンドさんの話では、少し甘辛い味噌タイプで、しかも意外とさっぱりとした味らしく、正に俺の好みにジャストフィット!
いやー勇者って東海三県の人じゃね? って感じで岐阜県出身の俺としては親近感が湧くのも当然な訳です。
そんな事を考えながら、俺は湯良さんと、機関士のワング夫妻の案内でお店に向かっていた。ロゼさんは残念ながらいつもの如く式典の準備で大忙しだ。
「あれから二十年経ってるってーのに、ここら辺も変わらないねー」
妖精族のカレラが旦那さんであるドワーフのゴンドの肩に乗って話しかけている。
「・・・ドワーフの多い町だからな。俺達は余り景観にはこだわらない・・・」
ゴンドは落ち着いた声で応える。
「ここで二人は知り合ったんじゃろ? どんな馴れ初めだったのかの?」
湯良さんがカレラに聞くと、カレラはゴンドの肩から湯良さんの肩に飛び移る。
「うちはねー、元々ミズノの技術者だったのよー、それで・・・」
二人で盛り上がってるが、どうにも俺には入り込みにくい話題というかノリだったので、俺はゴンドの隣で並んで歩きながらゴンドに話しかける。
「ゴンドはそのドーン・カッツって店はよく行ってたの?」
「・・・同僚と一緒に仕事帰りにな・・・」
俺はポロスワインの時にタイミングが悪くてすぐに買えなかった事を思い出し、念のために聞いてみる。
「そういえば、今日は店やってるのかな? なんやかやで結局食えないパターンだけは嫌だなー」
「・・・あそこは休日が定休日だ。今日はまず大j」
その時ゴンドの声を遮るように、後ろで騒ぎが起こった
まだ当分忙しい感じで更新遅めになります。