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女神AIが勝手に依頼を受けてくるんだが!? 俺は田舎でのんびり暮らしたい  作者: 赤松勇輝


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17/17

17、今日ものんびりするために

 やはり、何事もなく平穏な日常を享受できるのは素晴らしい。のんびりと寝て、美味しいものを食べて、幸せな時間を過ごすことは最高だ。


「だから、俺の邪魔をすんな。まだ眠てえんだよ……」


 まだまだ眠っていたいのに、アリスが邪魔をしてくる。ニュースを大音量で流して、嬉しそうな声を上げている。


『見て見て橙綺くん! 咲椰神社が特集されているわよ! あら、田所ちゃんも映っているじゃない』


 数日前、田所の頼みとアリスの陰謀で俺は咲椰神社の神体のバグを修正した。参拝客が減ってしまい、子どものように癇癪を起こして暴走していた神体のバグを。


 だが、ニュースに映っている咲椰神社には、あの長たらしい階段を登って参拝する人の列が途絶えていない。


 どうやら、田所がしっかりと神体の気持ちを村の人に伝えられたのだろう。


 アナウンサーが田所にインタビューをしているが、田所はガチガチに緊張している様子だ。


「……ふーん、しっかりやってんじゃん」


 俺が起き上がって胡座をかいてニュースを見ていたからだろう、アリスが驚いた様子で口元に手を当てている。


『橙綺くんがすんなり起きるなんて!? 天候がおかしくなりそうだわ!』

「今日の天気は晴れだろ。決まった天候は変わらねえだろうが」


 全く、失礼にも程がある。俺だって、何事にも無関心というわけじゃない。自分の身に降りかかることは調べるさ。


「……これ以上、面倒なことが起きなくてよかったって思っただけだ」

『本当に素直じゃないわね』


 やれやれと言った様子でアリスは肩をすくめつつ、ニュース画面を指差した。映像は神社から切り替わり、引き続きアナウンサーがニュースを告げる。


『それにしても、バグが復旧したというのは前代未聞の事態ですね』

『そうですね。アカツキ村のバグがまるでなかったような状況です』


 基本的に、バグが侵食してしまったら応急処置はできるが根本的な解決はできない。軽微なバグであればバグったものを倒せば済むが、大規模なバグ——今回のような村全体を巻き込んだバグの解消はできない。


 だが、田所の助力を得ながら俺はアカツキ村のバグを修正した。まぁ、アリスの力がないとバグの固定化はできないんだけどな。


『うんうん、橙綺くんの功績も讃えてもらわないとね!』

「そんなのいらねえよ。俺はのんびりとこの村で過ごせればそれでいいんだ」


 そう言って俺は再び横になろうとしたが、アリスが布団をかっさらった。


「何すんだよ、もう済んだだろ? 俺は寝る」

『何を言ってんのよ! バグはまだまだこの世界に蔓延っているんだから。さぁ、村を救った勇者様、今日もバグ修正の旅に行くわよ』

「はっ? ……お前まさか」


 腕時計デバイスを見ると、依頼を一件受理中の文字が表示されている。


「また勝手に依頼を受けやがったな。俺は行かないぞ。今日は寝るんだ」

『そうも言ってられないのよねぇ。ダンジョン攻略の後から、一度も仕事してないでしょう?』

「……それがどうした?」

『貯金残高を見てみて』

「……なんだと」


 ニヤリと笑うアリスを尻目に、俺はデバイスを確認する。所持金はゼロ。食材の在庫も空欄だ。


 うなだれる俺に、アリスは笑いを堪えた様子で言う。


『お金がないと朝ご飯も作れないのよねぇ』


 そういえば、いつもは起こされた後でアリスの美味しい食事にありつけているのだが、今日はそれがない。いつものいい匂いがしない。


「あぁ、腹へった……」

『じゃあ、やるしかないでしょ?』


 今まで以上に集中して疲れた仕事だったから、しばらくのんびりと過ごしすぎた。もう少し、金の管理も上手くならないといけないようだ。


「はぁ、腹を満たすためにも、やるしかねえかぁ」

『そういうこと! 早く着替えて仕事に行くわよ』


 めんどくさいと思いながらも、美味しい食事にありつくためだと割り切って着替えた俺は、アリスと共に依頼場所へと向かった。


 今日ものんびりするために。

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