インタビュー：Kマンションから引っ越した元住人Mの話
――Kマンションについて、お話を伺いたいんですが。
元住人（以下M）：あそこですか？ うーん、特に私から話せること、ないですけど。
――住んでいたとき、妙な噂や、不思議な出来事を耳にしませんでしたか？
M：あそこはいつも変でしょ。毎日のように飛び降りしてるし。管理人さんがノイローゼになって、頻繁に変わってましたよ。
――あなたがマンションを引っ越したのも、それが原因で？
M：まあ、それもありますね。ゴミ出す度に、ゴミ捨て場に飛び降り死体が落ちてるの、さすがに夢に出ましたよ。家賃がやけに安いなとは思ってたけど、不動産屋さん何も言わないんだもんなあ。
――マンションに入居して、いつ頃から異変に気付きましたか？
M：もう初日から嫌な予感はしてましたよ。家具を入れ終わって、ベランダに出てみたら、鳩が死んでて。しかも二羽。うわ〜、縁起でもないなあって思ってたんですけど、どうもベランダの柵に触っただけで止まった鳥が死ぬみたいなんですよね。（苦笑しながら）……柵に毒でも塗ってんのかって思うくらい。
――でも、実際は毒じゃなかった？
M：いや、そこまでは分かんないです、確かめてないし。とりあえず怖いから洗濯物も干せなくて。
――他にあのマンションで良くない噂はありましたか？
M：そうだなあ……（しばらく考え込む）あ、でもマンションの怖い話とは関係ないかもしれないんですけど、深夜の3時とか4時に子供の走る音はしてたな。パタパタって、あれ部屋なのか廊下なのか分かんなかったですけど。親は何してるんだよと思いながら普通に寝てたな。
――Kマンションにはどのくらい？
M：（少し間を置いて）飛び降りを頻繁に見るようになって、一ヶ月くらいでもう逃げ出しましたよ。ホントはもっと早く出たくて、手配に時間がかかって一ヶ月だったんですけど、引越しのトラックの屋根にまで飛び降り死体がぶつかったときはもうヤダってなりました。
――あなたは何階に住んでいましたか？
M：四階だったかな。このままじゃ気が滅入って私まで飛び降りちゃうかも、って思ってトンズラして正解でしたよ。
――お話聞かせていただきありがとうございました。
【以下、ボールペンでメモ】
霊能者Rに霊視してもらったところ、Mさんには『灰色の子供』が憑いており、手遅れとのこと。
