8話 初めての仲間
バルトとの戦闘で勝利を収めたルードは困惑していた。
剣が衝突した時にバルトの剣をふたつにした時の感覚に違和感を覚えていた。衝突した瞬間に弾かれた感覚がなかった。まるで紙を切るような感覚だった。
ルードはそんなことを考えながら聖剣を納める。
「えっと…僕の勝ちでいい?」
ルードはバルトにぎこちない笑顔で聞いた。
「あぁ…剣を折られた…いや、斬られたのか…こんなの見せられたらお前の勝ちに文句はねぇよ」
バルトは斬られた剣とルードを交互に見ながら言った。そんな時、バルトは剣の斬られた断面を見て違和感を感じた。
「なぁ、ルード…お前の剣はなんなんだ。これは斬られたというより、溶けたって感じだ」
バルドはそう言って剣の断面を見せる。
「あはは……ほんとだね…」
ルードは乾いた笑いをして、気まずそうにしていた。
ルードとバルトは気まずいまま、沈黙していた。観客もそれを見て、静かになっている。
「まぁ…いいや、今は聞くのはやめといてやるよ」
バルトは剣を納めながら言った。
「あぁ、そうしてもらえると助かるよ」
ルードは安心したような顔で返す。
「そうだ、負けたから約束通り金を全部やらないとな」
バルトはそう言うと近くに置いてあったカバンの方へと歩いて行った。ルードはそんなバルトを見ながらその場で立ち尽くす。
少し経って、バルトがルードの元へ戻ってくる。
「ほいっ、約束の俺の金、全部だ」
バルトはあっさりと金の入った袋をルードに渡す。
ルードが受け取るとバルトは自分の荷物の元へと歩いて行った。
観客はそれを見て、「終わりかぁ」と残念がりながら散り散りになって去っていった。
観客がいなくなったその場には立ち尽くしているルードと荷物をまとめ終えて立ち去ろうとしているバルトだけになった。
ルードは少し考えてから、立ち去ろうとするバルトの元へ行く。
「なぁ、バルト…」
ルードはバルトの背中を軽く叩きながら呼び止める。
「…ん、なんだルード」
呼び止められたバルトは振り返りながら返す。
「お金はいらないからさ、僕の仲間になってくれないか?」
ルードは受け取った金の入った袋を押し付けながら言う。
「…えっ?」
バルトはルードの行動に理解が追いつかずに呆気にとられる。
「えっと…僕、王都を目指して旅をしているんだ。だから、一緒に来てくれないか?」
「………」
バルトはその言葉にルードを見つめながら考え込む。
「…ルードはなんで王都に行くんだ?」
沈黙の後、バルトはルードに問う。ルードはその問いに少し考えてから答える。
「僕は騎士になりたいんだ。小さい頃の夢でね、叶えられるか分からなくても挑戦したいんだ。そのために試験が受けられる王都を目指しているんだ…」
ルードはバルトを真っ直ぐに見つめて答える。そんな中、バルトは静かに、そして真剣に聴いていた。
しばらく、2人の間には沈黙が続いた。バルトは考えていた。ルードと共に行くか、1人の旅を続けるか。
「バルト…断ってくれてもいいよ」
ルードは考え込むバルトを見て、少し寂しそうに言った。
「…フフ…アハハハハハ」
バルトはルードのその表情を見て、小さく笑ったと思えば、すぐに大声で笑い始めた。ルードは大笑いするバルトを見て、困惑する。
「不安そうな顔すんな。安心しろルード…お前の夢に俺は着いて行く」
バルトは笑い終えるとルードの目を真っ直ぐに見て、力強く言う。
「えっ、いいの?」
ルードは驚いた声を出して、目を輝かせる。
「あぁ、騎士になるってのもありだと思ってな!」
「ほんと!一緒に騎士になろうね。バルト!」
ルードはバルトの言葉に喜びを全面に出しながら言った。バルトはそんなルードを見て、また、大きな声で笑う。
2人の間に和やかな雰囲気が流れる中、バルトが突然、「あっ!」と大きめな声を出す。
「……!?どっ…どうしたの?」
ルードは驚いて、バルトに負けないぐらいの大きな声で反応する。バルトはルードの声に驚きつつ、自身の剣を指差す。
「…あっ」
バルトが指差す方向を見た、ルードは自分が聖剣で斬った剣を思い出して、ハッとする。
「どうするかな、新しい剣を買うにも王都まで剣を売ってるような街もないからなぁ…」
バルトは腕を組みながら考える。ルードも周囲をキョロキョロしながら考える。そんな中、ルードは自身の腰に下げている2本の剣が目に映る。
フロウ森林で手にした火の聖剣と旅立ちのときに持ってきた鉄の剣。ルードは直ぐに鉄の剣を手に取る。
「バルト!この剣あげる」
ルードは手に取った剣をバルトに押しつけるように渡す。
「い…いいのか?」
ルードはバルトのその言葉に頷き、バルトは剣を受け取り、腰に帯びる。
「よし、行こう!ルード」
バルトは勢いのまま、王都に向けて歩き始める。ルードもバルトに付いて行こうと歩き始めた時にあることに気づいてバルトを止める。
「バルト!荷物、忘れてるよ」
「あっ!」
バルトはルードの言葉にすぐに戻ってきて、荷物を持つ。
「全部持ったな」
バルトがそう言って、2人は忘れ物がないか、しっかりと確認する。そして、忘れ物がないと確信した2人は肩を並べて、王都に向けて出発した。




