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100円タッパーで悩む

作者: 孤独

「お前はもっとお金を稼ぐ努力をしろ!」

「残業はしてるんだがな……給与が低いのは認める」


兄が転職をするという話から、投資をするのはいいぞって言う話の続き。

……少し前にだが、投資をしている職場の先輩の話を書いたんだが。あれは深夜遅くまで勉強したりするなら、仕事をしろって感じであり、なんでそのために俺はあんたの仕事をやらなきゃいけんのだという愚痴になっている。

仕事をしている間ってのは、自動的に金が入るって考えときゃいいんだよ。


「俺は金でそんなに悩んでねぇよ」

「じゃあ、お前の最近の悩みはなんだよ!?例えば、欲しいモノで悩んだりしないのか!?」


仕事をしている以上。欲しいものは出て来るもんだ。……自分の場合、時間が欲しいんだけれど、誰もくれない。

とはいえ、欲しいモノがあったのは事実だ。


「買おうと思ってるのがあるんだ」


先に言うが、母親と兄の奥さんは笑ってくれた。父親は、あー分かるって感じで、……だが、兄だけは終始??顔で聞いていた。

確かに欲しいなって思っているもので、そんなことで悩むんかいっていうのは、……旦那あるあるというか、生活あるある。兄がそーいう、色んな人と住んでた生活を送っているからしょうがねぇけど。


「100円タッパーで悩んでるんだ」

「は?100円タッパー買えばいいじゃん」


金のある兄からすれば、その事になんも疑問はねぇだろう。


「そりゃそうなんだが、容器の形でちょっと悩んでて。ポテトとかナムルとかの惣菜をぶちこむのに適してる、今まで長方形タイプばっかり買ってたんだけど」

「100円なんだから、使えなかったら捨てりゃあいいだろ」


なにを悩んでいるんだという呆れ顔にもなっていた。

とはいえさすがの自分も、100円に躊躇しているわけじゃねぇんだよ。


「底が厚いタイプのタッパーを買おうかなって思ってるんだけど。レシピが少ねぇんだよ」

「は?」

「惣菜って扱いじゃなく、ご飯の御供みたいなのを作ろうって思ってるから、タッパー買うかなって話!」

「はぁ?」


温かいご飯で大体満足できるんだが、


「玉ねぎやニンジンをまとめ買いすると安いんだけど、食べきれないし調理もしきれないから、冷蔵庫の整理が大変なんだよ。だから、タッパーを買って、そーいうのを作ろうかなって。あんかけとか旨いなーって」


ご飯に小さな御供を用意する。一人暮らしをやっていると、ご飯の上に乗った、生卵と納豆は上手いし。お茶漬けなんかしたら贅沢をしてしまったなって、頬を緩めてしまう。

それとおかずの整理が間に合わず、特に腐りやすい夏場は慎重になる。

食材の余った部分を活かすなら、ご飯の御供を作ってみようって気になったのだが。


「はぁ?飯なんか食えればいいだろ!俺の昼はいつもコンビニだぞ」


……兄は、家事全般を嫁さんに任せているから、こーいう悩みを打ち明けても、その苦労がよく分かってくれない。


「コンビニ高いし、量が少ねぇじゃん……それは置いとくとして、料理をしてると冷蔵庫の中身と戦争してるんだよ。別の意味で頭を使う。別に節約する気はねぇけど、自然と節約される」


温かい料理の調理がどれだけ金が掛かっているか、よく分かった気がする。

飲食店の量や美味しさにケチをつけるお客様って、正直、嫌な気分になったよ。


「食えるもんを全部食うって大事だぞ」

「そんなんだから、お前は金を稼がないんだよ」

「だって、稼ぐ気ねぇもん」


……兄には嫁がいるから、カンケーないだろうが。

節約するなら家事からやれよって思う。

家事をしている間は、仕事と違うけれど、余計な金を使える状況にならない。ガスや光熱費とかが嵩むかもしれないが、それ以上に楽しいし、時間を潰せるし、やればやるほど自分の飯が上手くなるし、部屋が綺麗になる!

悩んでる時に家事をすると、なんか忘れるし。ストレスの発散になる。


「金を稼ぐより、俺は温かくして早めに寝る。……早く起きてもいいし、二度寝してもいい。金を使わずに幸せになれるぞ。愛とか金とか思ってるよりもな」

「そんなので幸せなのか~」

「”そんな”幸せでいいんだよ。俺みたいなのは」


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