今宵は素敵なデスゲーム
彼はお金に困っていた。
毎日仕事を探すのにさまざまな所を東奔西走した。
「そこのお兄さん」
彼は少女に声をかけられてその足を止めた。
「日給100万のお仕事に興味ない?」
「ひゃ、100万だと!?」
「うん。『殺人狼から逃げられたら』っていう条件付きだけど」
「デスゲームってことか………」
しばらく考えた後、彼は少女からその仕事について詳細を聞いた。
「内容は至ってシンプルなんだ。追跡者から3時間逃げられたら賞金100万円あげるよ。捕まったらもちろん賞金無しだけどね。質問は?」
「特には」
「それじゃあ、開始時刻は申の刻からだからそれまでに準備しておいてくださいね〜」
そしてその時は訪れる。
『これより10分後、追跡者が現れます。それではゲームスタート』
「よし、何がなんでも生き残ってやる」
「生き残ったらみんなでぱーっとやろうぜ!」
「では、また後で!」
「はぁ……一旦休憩しよう……」
彼は木陰に座り込み、しばしの休憩を取る。その時、見えたのだ。
「ッ! まさかあれが『追跡者』か!? まさかマジの狼だってのか!!」
彼は追跡者から距離を取るために走り出す。途中で脱落者に出会った。
「お前は……」
「……奴は、すぐ近くに居る……きを……つ…け……」
そこで嫌な予感が湧き、周囲を見渡す。紅色の双眼が闇に浮かんでいるのが見えた!
「くそっ、バレたか!!」
彼は走って走って走り続けた。途中で小屋を見つけその中に置いてあった箱の中に身を隠す。
「……………」
(………くっ、入ってきやがった……くるな……頼む……!)
キィィ、ガチャ
「…………見つからなかった、のか?」
『ゲーム終了です。生き残っている人はスタート地点まで来てください』
「……ふぅ、良かった。とっとと賞金もらってトンズラ……」
ガチャ、ガチャガチャ
「………鍵が、かかってる」
「へぇ、そんなデスゲームがあるの」
「そうなんだよ! 捕まったら狼に喰い殺されるか引き裂かれるか! たまらないよなぁ!」
「にしても、どうしてその狼はそこの小屋に逃げ込むことを知っていたんだろう」
「当たり前だろ! 狼なんだから夜は独壇場さ!」
「そうか、目が良いもんね」
「ははっ!」
「それで、仮にその人間が逃げられたとしたら、賞金はちゃんとあげるつもりだったの?」
「…………そんなつもりないから殺したんじゃないか」




