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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王に転生したので、順当に仕事を全うしようと思います。

作者: シャチ

頭空っぽ系短編です

魔王、それは魔族のリーダー、闇の支配者、ラスボス、etc。

まぁだいたいの目的は世界の支配とか、崩壊とかそんな感じ。

そして私、前世では日本で女子高生をしていた成田マオは、転生したらしいこの世界で魔王として君臨してしまった。


マオの転生先が魔王って捻りねぇな神よ。

ただ、ちゃんと人型の魔王である。白銀の長髪、すげー整った顔、すらりとした身長180cmぐらいあんだけど…そしてなぜかささやかな胸…前世のほうがデカかったぞオイ。

これだけだと、ほぼ人間なんだけど、ちょっと背中に黒い羽があったり、指先から破壊光線が出せたり、それが山を貫通して驚いたぐらいで、普通に生活している。

他にもいろいろ技が使えるらしいけれど、住んでるお城を壊しちゃいそうだからやめている。

しかし、排せつもしなくていいし、何なら寝る必要もない体になったのは暇で仕方がない。

「魔王様、お食事の時間です」

「うん、いまいくよ」

私を支えてくれるサキュバスのメイドがご飯の用意ができたと教えてくれる。

本当は食料を取る必要もないらしいのだけど、なんとなく用意させている。

味覚はちゃんとあるのだ。生肉美味しい。

それと、魔王だからかサキュバスを見ても何ともない。

魅惑もされなくてつまらなかった。

いっそ気持ちよくしてもらえたらよかったんだけど。

「この後は会議だけど、四天王はそろっている?」

「はい、すでに御集まりです」

「なんだ、じゃあご飯食べなくてもよかったわね。待たせて悪いわ」

そういいながら出されたものは食べるんだけど。

人間のころと味覚が変わってしまったのが玉に瑕ね。


「皆のモノ、よく集まってくれた。現状を報告してくれ」

マントを翻して上座の椅子に座る。

魔王の配下である四天王がすでに着席して待っていた。

「はっ、第一軍魔獣部隊は兵站の準備と各軍団の配備を終えました。戦闘継続能力としては海をまたがなければ大丈夫です」

獣人で狼男の第一軍団長が答えてくれる。

彼には近代戦に近しい補給体制の整備を要求し、前線部隊とは別に兵站をしっかりするように整えさせた。

とりあえず問題はないようだ。

「うん、では第二軍は?」

「はい、第二軍は現在各海域に展開、潜伏しております。ご命令があれば即時商船の破壊を始められます」

魚人である第二軍団長が説明してくれる。

彼はポセイドン族で海を担当している。

現在、各海域や大きな港の周辺にクラーケンを潜伏させており、商船破壊をしてもらう。

海上物流を破壊するためだ。

「では、第三軍はどう?」

「問題ありません。第一軍との連携に力を入れました。ワイバーン、ガーゴイル率いる空中部隊は爆撃、偵察の任務を理解しました」

鳥人でワシ族の第三軍団長が答えてくれる。

見た目的にはワシ頭のハーピーみたい。

彼らには制空権を取ってもらい、敵への偵察、爆撃を主にしてもらう。

なにせ人類側にはまだ航空戦力がない。

空対空戦闘は気にしなくてよい。

「素晴らしい、では第四軍」

「アンデット部隊は後方の増援体制、また工兵として塹壕の構築、獣列車用線路の敷設などにあたります。それぞれ専門の部隊としてネクロマンサーの教育は終わっております。敵の死体も使い早急な戦線構築が可能です」

死神である第四軍団長が答えてくれる。

彼らは前線に立っても物量で押す以外の攻撃力を持たない。

それに火に弱く、魔法があるこの世界では案外簡単に倒されてしまう。

なので、後方支援として工兵を担当してもらうのだ。

陸戦主力は第一軍である。

「よろしい!では世界を取りに行くぞー!」

「「「「おー!!!」」」」


「魔王様、報告です。第一軍が人類側の国サウス王国を掌握しました」

「ふむ、人類側は連携している?」

「いえ、サウス王国軍が逐次出てきて各個撃破されたそうです。現在イース帝国、ノース王国が国境線上に陣を引いているそうです」

「愚かだなぁ、こっちは大陸にある4か国を同時に攻め落とすだけの戦力を整えたのに…協力なく勝てるとでも思っているのかな?ましてや国境沿いに守るとは愚の骨頂だよ」

「申し訳ありません、魔王様。詳しく教えていただいても?」

メイドのサキュバスが聞いてくる。

折角なので近代戦っぽいこの戦略を教えてあげよう。

「じゃあ代わりに私を魅了してみて」

「無理じゃないですかねぇ?」

「えー」

まぁいいや。

陸軍である一軍と四軍は各師団に別れ戦線を構築している。

各地に塹壕を構築し、安全が確保されたところには基地を設置。

治療や休息が取れるようにしながら、戦力の薄いところをついて、後方へ回り人類側を包囲しながら各個撃破していく。

「戦争とはそうやるのですね…」

「今までの魔王軍は軍じゃないよねぇ四天王も個別に勇者なんかと戦ってたんでしょ?だめだよ持てる戦力を適正に投入しなくちゃ」

ベッドでサキュバスとイチャコラしながら会話をしていると、バンッと扉が開いた。

なんだよいいところだったのに…

「緊急信号です。勇者パーティーが現れました!」

「!!場所はわかる?」

「この座標です」

「よし、行ってくる!」

私は瞬間移動で勇者パーティーがいるという前線に飛ぶ。

本来であれば、勇者たちは統制の取れない魔物たちを各個撃破しながらレベルを上げてここまで来るのだろうが、現在はすべての魔物が四天王を中心に統制下にある。

つまり、勇者が”レベル上げ”をする機会はない。

低レベルの勇者をこの私が直接赴いて”プッチ”とすれば万事解決する。

何回出てこようとも無駄である。


「なっ魔王!?」

「こんにちはー!魔王だよ~君が勇者だねーじゃあ…死んでね♡」

五本の指先からビームを発射する。

パーティーメンバー全員の心臓を一突きである。

「あらら、死んでしまうとは情けない」

「魔王様、それは死んでしまうと思います」

前線で戦っていた隊長クラスの獣人が哀れなものを見るように見ていた。

「さて、勇者は倒したからここの前線は突破できるよね?」

「はっ!お任せください!!行くぞお前ら!!」

「「「「おー!!!」」」」


大陸は思ったよりも大きかった。

戦争終結までに3年もかかってしまった。

そして、思ったよりも勇者の出現は多かった。

人類も必死なんだね…合計で13回も私は出番があったのだ。

ただ、それ以外で前線に出張ることはなかった。

そして、大陸はすべて制圧され、この大陸における人類は滅びた。

他にも大陸があると思うが、まぁ良いだろう。

各部隊で優秀な成績を収めたもの達に土地と爵位を与え、私を中心とした統一国家が出来上がった。

しかし、剣と魔法のファンタジー世界の他の魔王たちは不甲斐ないのではないだろうか?

ちゃんとした戦争を考えての戦略を立てれば、どんな魔王でも世界を制圧できると思うんだよなぁ?なんで負けるまで勇者をきっちり育て上げちゃうのだろう?

強い奴と戦いたくなっちゃうのかな?

それで負ければ訳はないと思う。

後はこの魔物世界を維持することを考えよう。

サキュバスメイドとイチャコラしながら。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔王側ががっつり戦略を組んでくると、 勇者もなすすべがないですね…(それでも粘りましたが) 面白かったです。 [一言] いつも戦力を逐次投入してくれるゲームのラスボスに感謝!
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