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ブラックな世界到来 7

高見沢治美は、ドレミヒーローこと、ハロルド洸一の住まいに向かっていた。


そして、河川敷にまでやってきた。



高見沢治美は、大柄の女で、やることなすことと、はなしっぷりはぶっきらぼうだった。


思ったことは、何でも口にするタイプで、その言い方も、鋭い観察眼と、役者らしい脚色が効いた物言いだったので、言われたほうはずしりと胸に応えた。


そういう濃い、人当たりの良くない面もある個性の女性ではあるのだが、高見沢治美は、驚くほどに顔が広かった。


岡寺のぶよという占い師は、高見沢治美には、愛想がよかった。


岡寺のぶよは、高見沢治美ななんとかとりいって、彼女のの広い人脈の一端でも紹介にあずかれないものかと、いつも思っていた。


また、高見沢治美ように、カミーユのことを呼び捨てに出来る人間は少ない。


他に誰がいるかというと、思いつかない。


一方、カミーユは、昔からの習慣で高見沢治美のことを『アネキ』と呼んでいた。


      #       #


話は、変わるが、高見沢治美は、ほんの数日前、この河川敷にいた。


その時は、カミーユや『仲間』の子供たちで賑わっていた河川敷である。


その時には、カミーユが、こんなゾンビ事件を起こしてしまうなんて想像もつかなかった。


カミーユは、回りの人たちには、非常に賢いが、やはり子供は子供、最後のところでは大人のいうことを聞いてくれる聞き分けの良い子供という印象を与えていた。


確かに!


しかし、考えて見るとカミーユたちは、監視されていた。


念のためということで、「ワンワン司令」というロボット犬が二頭、カミーユと『仲間』の子どもたちのところに派遣されていた。


「ワンワン司令」を派遣したのは、都のパワースーツ開発の責任者であり、ヒーローアカデミーの所長、滝ふたばであった。


「ワンワン司令」という二頭のロボットは、カミーユに対するスパイの役割も担って、カミーユや『仲間』の子どもたちと常に行動を共にしていた。


この「ワンワン司令」、数日前、高見沢治美が、河川敷にやってきた時にもカミーユや、『仲間』の子供たちと楽しそうに遊んでいた。


高見沢治美は、その時の牧歌的な景色が印象深かった。


しかし、今こちらの河川敷ではゾンビの発生は見られないものの、親も子も、家や避難所にこもっていた。


「困ったことになってしまった」


高見沢治美は、不安そうにつぶやいた。


高見沢治美の行く手に、ドレミヒーローと妻、ハロルド奈津が暮らすあばら屋が見えてきた。


      #       #

    

意志の強い、高見沢治美は、たいていのことは、思い通りになるが、彼女にもなかなか思い通りにならないことがあった。


ドレミヒーローとその妻、ハロルド奈津のことである。


高見沢治美は、ドレミヒーローこと、ハロルド洸一やその妻、ハロルド奈津ととても仲良しであった。


しかし、高見沢治美が、どんなに頑張っても、ドレミヒーローと妻ハロルド奈津は、彼らに取り憑いてしまった貧乏神との縁を切ってくれようどはしないのだ。


頑迷固陋がんめいころう


というか、本当にドレミヒーローと、妻、ハロルド奈津は、不幸まみれの生活からが、なかなか抜けようとはしてくれないのである。


高見沢治美が、これだけ応援しているのに!


高見沢治美が、貧乏と不幸から抜け出せるように、準備を整えてあげているのに!


高見沢治美は自分の力のなさを痛感していた。


高見沢治美は、コーヒーパーラー『ライフ』をでて、直行で、ハロルド洸一の住まいに向かったのだが、カミーユが、ゾンビで、町の人たちを恐怖に陥れてからもうすでに一時間程が過ぎようとしといた。


「ドレミヒーロー、出撃しちゃったかなぁ? 」


高見沢治美の心は、不安でいっぱいになっていた。


高見沢治美の大親友のドレミヒーロー、老いぼれた、時代遅れのヒーロー、ハロルド洸一が、迫り来るゾンビたちに立ち向かうために、東京のこの町を救うために、ゾンビたちに闘いをヒーローらしく挑むため、単身で無謀にも出撃したような、そんな不吉な予感が高見沢治美の心に生じて、なかなか消えようとしなかったからである。


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