ショータイム 7
カミーユは、人格的には、年齢なりの幼児的な面が大いに見られる。
カミーユは、短気で、思い込みが強すぎな上、異常に嫉妬深い人物である。
カミーユは、この嫉妬深さが原因で、全人類を敵に回してしまいかねない事件を起こしてしまった。
しかし、カミーユは、人類にとっては有益な傑出した人物でもある。
これは否定できない。
ひとつに、カミーユは、カミーユが指導する死と生をつなぐ薬剤、世紀の薬剤、ベータミンの研究においては、ジーン博士とともに絶対に欠かすことできない人材である。
そのほかにも、カミーユは、人類の過去の歴史を書き換え、人類の未来を変えてしまう情報に通じている。
だから、今度の事件においては、カミーユを犯罪者としてはならない。
カミーユを世界から排除してはならない。
カミーユを失うことは、人類にとっては大きな損失である。
カミーユを失ったために、人類の歴史は暗黒時代を迎えるだろう。
それゆえに、カミーユが、引き起こした事件は、多くの人間を慌てさせた。
カミーユと付き合いのある人は、カミーユがこの事件を無傷で乗りきれるように祈っていた。
たとえば、コーヒーパーラー「ライフ」のマスターもその一人であった。
カミーユは、いわゆる「悪者」ではない。そんな単純なものではない。
しかし、カミーユが、「世界征服」を宣言してしまったのは、カミーユの将来に影を落とすことになるに違いない。カミーユに将来があるとすればの話だが。
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このカミーユが始めた闘いは、ドレミヒーローこと、ハロルド洸一の妻、ハロルド奈津が、平安クリーンスタッフの社長、塚原瑛太が、スノードームの中に入る少し前に終わってしまった。
というのも、エイリアン王国から岡寺のぶよの脳を経由して送り込まれ、カミーユとカミーユが操るゾンビたちと、ドレミヒーローとの闘いの背後で暗躍していたものによって使われていた膨大な蓄積のエネルギーが暴走して、スノードームの中の存在をすべて消し去ってしまったからである。
スノードームには誰もいなくなっていた。
スノードームの中に入った、塚原瑛太、岡寺のぶよ、エイリアンハーフのノエル君の前に広がるのは、スノードームのもぬけの殻の広大な空間だけである。
ただ、ドレミヒーローこと、ハロルド洸一死体以外を除いては。
ドレミヒーローこと、ハロルド洸一の死体は、影が薄くなり徐々に消えていくように思えた。
そして、驚いたことにはハロルド洸一の妻、ハロルド奈津までもが、ハロルド洸一の死体にしがみついたまま動かなくなってしまっていた。
平安クリーンスタッフの社長、塚原瑛太や、岡寺のぶよは、ハロルド洸一やハロルド奈津をスノードームから運びだそうとしたのだが、なぜか、ハロルド夫妻の死体は、どうにも動かすことができなかった。
エイリアンハーフのノエル君は、苦心する塚原瑛太や岡寺のぶよに、言った。
「二人をほっといてあげて下さい。訳は、あとで話します」
このようにして、塚原瑛太と岡寺のぶよとノエル君は、誰もいなくなり、消滅が始まろうとしているスノードームを立ち去ることにした。
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さて、この章の最後として、次回では、カミーユとカミーユが操るゾンビたちと、ドレミヒーローとの闘いをヒーローズアカデミーが送り込んだ「ワンワン司令」という二匹のロボット犬に残された映像などの記録を中心に振り返ってみることする。




