ショータイム 3
秋葉原レイは、ジーン博士を一喝した。
「まさか、あなた勝手にヒーローズアカデミーのコンピューターにハッキングしていた?」
「そうです」
ジーン博士に、悪びれた様子はなかった。
「ヒーローズアカデミーの滝ふたばが、僕やカミーユのゾンビテクノロジーの情報を手に入れるために、僕らに接近したように、僕やカミーユは、ドレミヒーローの秘密を手に入れために、彼らのコンピューターに接近したのです」
秋葉原レイは、少年のジーン博士が自分らのスパイ行為を恥じていないのには呆れてしまった。
秋葉原レイは、スパイ行為についてジーン博士と論争しても意味がないのは分かった。
秋葉原レイには、なによりジャーナリストとしてジーン博士に聞くべきことがあった。
秋葉原レイは、ジーン博士に聞いた。
「ジーン博士、あなたは今度の闘いについて、すでに、ヒーローズアカデミー側の情報を手に入れ、カミーユのゾンビとドレミヒーローとの闘いについて様々な数値を持ちいて、この闘いにいろいろ計算を行い、この闘いの結末について自分の見解をお持ちと言うわけですね」
ジーン博士は、答えた。
「この闘いについての勝者が、どちらであるか、私は知っているつもりです」
秋葉原レイは、聞いた。
「そんなことは、私にだって分かります」
「ゾンビ菌に感染し、空腹で、メンタルのみならず、フィジカルな面でまで手ひどいダメージを負っているドレミヒーローは、カミーユが呼び出す新型ゾンビにはどう見ても勝てっこありません」
「だいいち、あんなに疲労困憊の様子のドレミヒーロー。どのようにして戦いに必要なパワーをパワースーツにまで供給することができるのでしょうか?」
「パワースーツが、いかに省エネ設定が進んでいるとはいえ、装着主ドレミヒーローの体内からパワースーツのエネルギーは供給されていたはずですよね? 今のドレミヒーローが、パワースーツを充分に駆使して闘うのは不可能なのです」
そして、秋葉原レイは、断言した。
「誰が見ても勝負は決まってます」
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秋葉原レイの断言に少し黙り込んでしまったジーン博士であったが、直ぐに意を決して秋葉原レイに答えた。
「秋葉原アナ、あなたは、根本のところで間違いを犯しています。あなたは、ドレミヒーローを過少評価しすぎています」
「誰も感染しないようなゾンビ菌に、最初に感染してしまう間抜け。年老いた弱々しいヒーロー。ヒーローとは呼べない存在なのにいつまでも、ヒーローにこだわる困った頑固者。このように、ドレミヒーローの世間の評判は、良くないのは確かです」
「しかし、ドレミヒーローは、私たちが手に入れたデータからは、戦士として非常に優れた存在であると断言できます。ドレミヒーローは、人類の運命を決する闘いにおいて、大いに頼りになる存在なのです」
「ドレミヒーローが、その真価を発揮すれば、どんな敵と闘おうとも負けることはありません」
秋葉原レイは、ジーン博士の話に納得できない。
「真価を発揮する? ドレミヒーローのお腹を空かせた顔、頼りなさげな足取り。今のドレミヒーローには真価を発揮するなどというのは無理な注文ではありません?」
ジーン博士は、秋葉原レイの主張に頷いて見せた。




