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世界征服 8

「ウゥゥゥゥーーン。ギャャャッ!」


ズドン!


「ウゥゥゥゥ、苦しい。何よ、この苦しみ。何が起こったの? 怒らないから、正直に話してくれない?」


床に四つん這いになっているのは、岡寺のぶよ。


岡寺のぶよの額から、頬から吹き出してくる汗や、鼻からしたたり落ちる鼻水のために顔のあちらこちらで崩れ始めた化粧の様子は人に恐怖を覚えさせる。


岡寺のぶよのふたつの目も一気に真っ赤に充血し、涙があふれ出る。


「ノエル君、聞いているの? 」


エイリアンハーフのノエル君は、突然の岡寺のぶよの異変に言葉を失ってしまった。




ここは、岡寺のぶよの住まい。下町のアパートの一室である。


ほんの少し前まで、すべては順調に進んでいるように思えた。


エイリアンと地球人の女性との間に生まれたハーフ、最近、母親を亡くし、ひとりぼっちで、地球に取り残されてしまったノエル君。


ノエル君は、宇宙の遠いところに居る父方のエイリアン同胞と連絡をとるためは、岡寺のぶよのテレパシー能力が必要であった。


ノエル君は、銀河系の果ての星にある父親の祖国のエイリアン王国へ戻る予定が、事情があって、出発できないでいた。


ノエル君は、自分のことを心配するエイリアン王国の人々のために、自分の近況を報告する必要があった。


ノエル君は、できるだけ早い時期に、エイリアン王国に帰ることも求められていた。


そのため最近では、エイリアン王国への旅についてもノエル君は、いろんな要望や準備について、エイリアン王国の旅行会社と連絡をとる必要があった。


ノエル君は、エイリアン王国との連絡が必要となると、自分のテレポート能力を用いて、岡寺のぶよの住まいである下町の簡素なアパートを訪問した。


「ノエル君は、占いは得意なエイリアンハーフなのに、テレパシー能力が全くダメというところが残念至極なところね」


岡寺のぶよは、ノエル君が訪問してくると、上から目線でイヤミなどを言ったりもするが、自分テレパシーを生かしてノエル君の通信機器として、結構な金を稼いでいるので、ノエル君の気分を害するようなことはそれ以上言えなかった。


そんな訳で、岡寺のぶよの下町のアパートで、ノエル君が岡寺のぶよのテレパシーを使い、祖国の星と連絡を取っているときであった。


突然、途方もないエネルギーが、岡寺のぶよの脳に送りつけられてきたのであった。


このエネルギーは、岡寺のぶよをターゲットとしたものではなかったので岡寺のぶよは、この途方もないエネルギーを耐えることができた。


この途方もないエネルギーは、テレパシー通信中の岡寺のぶよの脳を大いに刺激し、どこかに向かって通り過ぎて行った。


岡寺のぶよは、しばらくしてなんとか立ち上がると、それまで腰掛けていた椅子いすに座り、テーブルの上のコップに残っていたビールを一気に飲み干した。


岡寺のぶよの頭からは、湯気のような、煙りのようなものが立ち上っている。髪の毛のげた臭いが、岡寺のぶよの部屋に充満していた。


岡寺のぶよは、ノエル君やもろもろのことを呪いたい気分だ。


「ノエル君、あんたのお父さんの国のエイリアン王国って、私のことをなんだと思っているのかしら。戦争でも起こせるほどのエネルギーを私の頭に送り込んで来たわ。こんなことするなんて、契約書にちゃんと書いてあった? 書いてあったとすれば、とんだブラック契約ね」


そして、岡寺のぶよは、その一方て言いようもなく不安な気持ちになった。


「それより、あれだけのエネルギー、どこに送ったのかしら? そして、何に使ったのかしら、そっちの方が気になるわ」


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