世界征服 7
「ドレミヒーロー、ゾンビ菌の感染者が、パワースーツを装着して、別種ゾンビと闘う......」
秋葉原レイは、そこまで言うと突然黙り込んだ。
秋葉原レイとジーン博士との間には、沈黙の時間が流れた。
秋葉原レイは、気持ちの整理をつけて、再び話した。
「カミーユが操る新種ゾンビと、従来型ゾンビ菌感染者、ドレミヒーローとの闘いというのはおかしな構図の闘いと思ってました。結局は、ゾンビ対ゾンビの同士討ちの闘いということですからね」
「でも、実際には、このスノードームの闘いは、ゾンビ対パワースーツの闘いということなのですね」
秋葉原レイは、腑に落ちたような顔をした。
秋葉原レイの話に、ジーン博士が、おやっとした顔をした。
ジーン博士のおやっとした顔は、次に、ジーン博士が、秋葉原レイの話を理解するうちに、ある変化が見られた。
ジーン博士は、不審な顔付になり、動揺して見えた。
ジーン博士は、秋葉原レイの持っている台本を取り上げると、ページを捲り始めた。
ジーン博士は、厳しい顔つき最初のページから最後のページまで、読んでいった。
「台本が変わってしまったのかと思って、びっくりしてしまいました。突然、パワースーツの話がでるから。でも、台本を確認したら、パワースーツは、スノードームの闘いには、使われないのですよ。そういう風に、台本では、決まっているのですから」
今度は、秋葉原レイになにかピンとくるものがあった。
「ジーン博士、アナタはこれから起こる出来事がこの台本の中にすでに書かれているみたいな言い方をなさいますね。でも、ここで起こっていることは現実であって、ドラマみたいに台本通りには起こりません」
ジーン博士は、秋葉原レイの義憤を、レイの若さを、申しわけなさそうにたしなめた。
「秋葉原アナ、あなたのいる放送の世界では、現実が台本通りに進んでいってしまうなんてのは、普通にありますね」
「それと同じで、科学という学問の世界においても、未来を予言する台本というのが存在していて、そういう台本に則って、ものを考えたりする事が必要な場合は珍しくはありません」
秋葉原レイは、普段から、ジーン博士がやって見せたような物言いや、いろんな「裏事情」とかいうものには反発を覚えるタイプの人間であった。
また、ジーン博士の想定外のことが実際に起こっているので、秋葉原レイは、親切心からもあることをジーン博士に知らせた。
「ジーン博士、後ろを見て下さい。台本にはないことですが、ドレミヒーローがパワースーツを装着しています。滝ふたばや滝晴生が、ドレミヒーローにパワースーツを装着させるよう指示を出していましたよ」
秋葉原レイが、ジーン博士にものを教えたり、自分の考えの間違いを指摘したので、ジーン博士のプライドは、大いに傷ついた様子であった。
これは、後になって考えてみると、このときをきっかけとして、スノードームの闘いについて、ジーン博士が大いに語っことになったきっかけとなった。




