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第十八話 逮捕の裏側4 下見と作戦

車での移動は目立たないように自家用車で向かうことになった。


個別でそれぞれ向かうと自動車の台数が多くなって目立ってしまうので、士郎さんの車に課長が、俺の車にソフィアさんと歩さん椿先輩が乗車した。


俺の車は黒のエクステリアで乗車定員四名までだった。


士郎さんの車も車種は違えど乗車定員は同じだった。


「あの、なんで士郎さんの車に乗らなかったんですか?」


「だぁってぇ、課長と同じ車なんて居心地わるいじゃないのぉ」


助手席に乗っている歩さんが髪を弄びながら言った。


うちの部署の職場関係は良好な方だと思う。

でもたとえそうであったとしても上司と部下という関係である限り気が置けない、居心地が悪いと思ってしまうのは仕方がないことなんだろう。


「あと、加齢臭ダナ#/$€%」


「そーそー。この頃ちょっと臭ってくるのよねー」

 と後部座席に座る椿先輩とソフィアさんが言う。


うんうん、とソフィアさんに同意して二人が頷いた。


「歩さんはともかく、椿先輩は臭いわかるんですか?」


「なんか見た目デ臭ってそうな気がシタ#/$€%」



まさかの偏見⁉︎



でも、日々課長と接触しているソフィアさんと歩さんが言ってる時点で加齢臭は確定か。


「そうですか……」




この事実、課長本人に言うべきか否か。


結局、知らぬが仏ということわざを思い出し、言うのをやめた。





***





「ここが新しくできたプラネタリウムか……」


「オープンより先に入れるってなんか得した気分になりますよね」


俺はよくテレビ番組で新しくオープンするお店に有名人が先に入ってリポートするのを目にして、いいなぁと思っていた。


内装はもう終わっていて、外壁塗装の足場さえ無くなれば、オープンしても問題なさそうだなと思った。


因みに、椿先輩は車から降りてすぐ台車に乗ってそれを俺が押している状況だ。


着ぐるみは重さまでは考慮しておらず、立つのも大変らしい。



着ぐるみの必要性とはこれいかに。



プラネタリウムのドーム内径は四十メートル、星を映し出す投影機はほぼ真ん中に設置してあり、投影機を囲むように四百席設けられている。解説席は非常口付近に設置してあった。 


「ここに誘い出すのねぇ」


歩さんのその言葉を聞いて、ふと思い出した。


「そういえば、誘い出してからどうするんですか? 直ぐに逮捕とはいかないでしょうし」


「上手く煽って、能力を使ってもらう」


「では、その煽る役はどなたがされるんでしょうか?」


視線が一点に集中する。


俺に。


「あ、の?」



まさか……?



俺は味方を見つけるために椿先輩を見た。

「ワタシは引きこもり体質だからナ、あとコミュ障#/$€%」



そりゃそうだ。椿先輩はまだ若いしそんな危ないことはさせられない。



続いてソフィアさんを見た。

「ちょっと正人くん? 美女に身体を張るような仕事させる気ー?」



自分で美女って言うんですね……。

まぁ、その通りなんですが。

運動神経もよくないって言ってたしな。



歩さんに視線を移した。

「誘い出したヤツがこんなドギツイおかまだったら、犯人びっくりしちゃうわよぉ」

 


真顔で言われて「確かに」と納得してしまった。



そして藁にも縋る思いで俺は士郎さんと課長を見ると、

「「あ痛たたた! さっきソフィアにぶつけられたときのぎっくり腰がぁ……!」」

と両者膝と腰を曲げて片手で腰を押さえた。


俺の希望がばらばらと音を立て砕け散った。


「そ、そんなぁ……」



俺、ここに就職してからまだ三か月くらいしか経ってないのに……。そういえば課長はともかく、士郎さんは頭のたんこぶだけじゃありませんでしたっけ?



「と、いうことで頼むよ正人君」


ぽんっと課長が背後から俺の両肩に手を置いて、笑顔の圧力をかけてきた。





「マ、マジですか……?」


俺は冷や汗をだらだら垂れ流しながら顔を引きつらせたのだった。


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