第十二話 服部和毅の動向2 ※ R15 性的描写あり
※性的描写が御座います。
高良というバカな男が来てから三日が経過した金曜日。
「お帰りなさ~い!」
愛理がフリフリのエプロンで仕事帰りの俺を出迎えてくれた。
「ただいま」
ドアを閉めて直ぐ玄関で数度角度を変えながらお帰りのキスを交わす。
「んふふ」
頬を染め照れながら俺を見上げる愛理は可愛い。
俺はがばっと愛理の肩を抱きしめ顔を埋めた。
埋めた拍子に匂いを嗅げば、花に誘われた蜂のように鎖骨に吸いついていた。
白くて柔い肌に赤く色づいたのを確認すればこれは自分の物だという印のように思えて下肢がズクリと疼いた。
「あぁ~抱きてぇなぁー」
「も、もう! ごはんとお風呂が先でしょ!」
むくれながら俺の胸を押し愛理がすり抜けていった。
チッと小さく舌打ちすれば、「聞こえてるよ」とジト目で見られた。
勃っちまったもんは出すまでおさまんねーんだよなぁ。
「両方済ませたら抱かせてくれんの? ってか風呂で抱いちゃダメ?」
「……ベッドにして……」
お預けは回避出来てよかった。
さっさとメシと風呂済まして抱くか。
***
翌朝、目を覚ませば愛理の可愛らしい顔が目の前にあった。
女は愛嬌だなぁとつくづく思う。
結婚した妻とは、最初は上手くやっていた。
結婚一年目くらいは良かったと思うが、だんだん月日を重ねるごとに妻の束縛が強くなっていった。
束縛も当初はまだ可愛らしいと思えるくらいだったが、次第に会社の女性職員とどんな話をしているのかや仕事であっても携帯に連絡先を登録するな等、だんだんと仕事に支障が出てくるような要求をしてきた。
「それはできない」と妻に言えば、「私を愛してないのか」や「他に女がいるのか」と俺を怒鳴りつけたり問い詰めることが増えていき、妻に対する想いも冷めて女遊びも激しくなっていった。
歳は歳だが、年齢が容姿に現れにくいのか女には困らなかった。
女遊びは一夜限り女を抱いて終わりだった。
妻のこともあり、男女の関係は面倒だったからだ。
愛理もその一人だった。
愛理を抱いた夜のことを、今でも鮮明に思い出す。
挿入したとき違和感を覚えた。愛理は初めてだった。妙に中がキツイなと思ったらまさかの処女。
何故こんなことをしたのか、泣きながら処女を喪失した彼女は言った。
「一目惚れだった」と。
当時、俺は三十八歳のおじさんで彼女は二十三歳だった。十五も歳離れたおじさんの俺に一目惚れしたと聞き、俺も落ちるのはあっという間だった。
俺は愛理と男女の関係になった。
「う……ん?」
寝ぼけながら愛理が俺を見つめる。
「おはよ」
「おはよう」
あぁ、凄え幸せだなぁ。
神は俺に味方したのだとそう思った。
***
「あ、かずちゃん。昨日ね言い忘れてたんだけどなんか封筒届いてたよ?」
と愛理から茶封筒を手渡された。
「俺宛て?」
「うん」
住所変更もしてないのに、何で俺宛てのが届いてんだ? つい最近ここで寝泊まりしはじめたってのに……気色悪い。
茶封筒の宛先は愛理の家になってるが、宛名は俺になっている。
とりあえず封を開ければ紙が一枚入っていた。
開けてそれを読んだ俺は、手が震え紙を落とした。
広げた紙が三つ折りにされていたせいで床についた瞬間記載された内容を隠した。
心臓が不規則な音を立て始める。
"『こ』『ン』『月』『の』『ド』『曜』『ビ』『1』『六』『に』『チ』『午』『ご』『8』『ヂ』『ニ』『改』『そ』『ウ』『中』『の』『プ』『ら』『ね』『タ』『り』『ウ』『む』『で』『待』『ツ』『。』『来』『ナ』『け』『れ』『バ』『オ』『前』『が』『今』『回』『ノ』『犯』『に』『ン』『で』『超』『ノ』『ー』『リ』『ょ』『ク』『者』『だ』『ト』『ば』『ラ』『ス』『。』『オ』『前』『が』『ヤ』『っ』『た』『証』『コ』『も』『ア』『ル』"
"今月の土曜日十六日午後八時に改装中のプラネタリウムで待つ。来なければお前が今回の犯人で超能力者だとバラす。お前がやった証拠もある"
『〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23
チェリーブロッサムプラネタリウム』
新聞を切り抜き、文章化された脅迫文とともに、ご丁寧に集合場所の住所まで記載されていた。
誰だ? 誰の仕業だ?
証拠もあるってどういうことだ?
なんで超能力のこと知ってんだ?
いや、俺に恨み持ってるやつの嫌がらせだよな?
それに証拠なんてあるわけ───
でも本当にコイツが証拠もってたとしたら?
「かずちゃん、どうしたの? 顔色わるいよ?」
愛理が心配そうに俺の顔を覗き込む。
「あぁ、うん。愛理、今日って何日だっけ?」
「十六日の土曜日だよ」
「そっか、愛理、今日の夜ちょっと用事できた。帰ってくるの遅くなると思うから、先寝てて」
「お仕事?」
「うん」
俺は愛理をいつもより強く抱きしめた。
絶対、誰にも俺の幸せを邪魔させねぇ!
邪魔するヤツ全員ぶっ殺してやる‼︎
俺はそう決意し、瞳に強い覚悟を宿して夜を待った。




