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5月11日8時20分


俺はつねが戻ってくるのを待ち、ぎやまを呼んで質問してみた。


「今朝妙な夢見なかった?」


「夢?」「なんで?」


2人とも首を傾げている。


そこに可愛らしさはない。


「夜に教室で座っている夢は?ここ1ヶ月以内で。」


「覚えてないなぁ。夢なんてみないし。」


ぎやまは覚えてないか…。


「ああ、そっちの夢ね。なら覚えてるよ。」


「覚えてる!?」


どうやら別の意味と間違えたみたいだ。相変わらず少しズレている。


「ああ。俺は特徴的な夢は携帯にメモってるんだ。おかげでいい小説のネタになってる。」


「それ見せてもらっていい?」


携帯を借りて見てみると確かにそれらしいことが書いてある。


「てか細かいな!よくこんなに書けるな…。」


ぎやまが驚いている。


携帯で小説を書いているのは知っていたが、たしかにこんなに書いてるとは思わなかった。未送信535件…。


「このやる気を勉強に向けなよ…。」


「やだね。勉強したら負けだと思ってるんだ。それに頭痛してくる。」


ぎやまの呆れた声に、何故かドヤ顔でそう返している。つねはたまに意味不明だ。


それはそうとして、携帯には4月17日、つねの出席番号から今日にいたるまでのメモがあった。


「(俺より詳しく書いてあるな…)。」


「ん、なんか言った?」


「いや、何でもない!」


メモには教室の様子や出席番号順に増えていく生徒、そのときのみんなのことがこと細かに記されていた。そして今朝の記述には放送の内容や様子が異常なまでに細かく書かれていた。


「つね、これは異常でしょ…。どうしてこんなに覚えていられるの?」


「んぁ?」


つねに疑問を投げかけてみると、少し考え込んでいる。


「どうしてって言われてもなぁ。俺にとっちゃこっちのが覚え辛いとしかなぁ。まぁ阿部ちゃんもいつか分かるさ。」


意味不明である。たまにつねの言葉を翻訳してくれる人を探したくなる。


「まぁいいや。つね、これメールで俺に送っていい?」


「いいよ~。でも小説のネタは勘弁な。これは俺が先に手をつけたからさ。」


「分かった。」


キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン


そこでチャイムが鳴ったため、続きは放課後に話すことにした。この学校の授業は総合選択制のため朝と帰りのSHRにしか合わないこともあるのだ。


5月11日15時32分


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