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八拾七

6月15日(金)?時??分


「あ、阿部君」


鏡を通り抜けたら、試練を受ける前とほぼ同じ体勢でぎやまが座っていた。


「あれ、つねは?」


挙動不審だったつねがどこにもいない。


「宮崎君なら試練を受けに鏡の中に入って行ったよ、ついさっき」


「そっか。そういえば俺が入ってからどれくらい経った?」


時間の流れが違うのなら、それを把握しておいて損はないはずだ。


「えっと、だいたい5分くらいかな?宮崎君は今から二分くらい前に入っていったし」


じゃあつねは俺が入ってすぐに試練を受けに鏡に入ったのか。


ほとんど俺と入れ違い。


それにしても5分か。


じゃあだいたいあっちでの5分がこっちでの一分?


でもそれだと第一の試練と時間の流れが合わない…


もしかしたら時間の流れる速さが変化してるとか?


いろんな考えが頭に浮かんできたが、今はとりあえず…


「まあいいや。先に第三の試練受けてくるよ」


「OK.じゃあオレは宮崎君が出てくるまで待ってるかな」


「ぎやまは試練受けないの?」


リタイアがない以上、いつかは試練をクリアするしかない。


ぎやまもそのことを理解できてるはずだけど…


「オレは宮崎君にこれ返してからにするよ。預かったまま入れ違いになって壊しても嫌だし」


そう言ってぎやまが取り出したのはつねがつけていたおかめの仮面。


しかしそれは黒く変色していた。


「うわ、何それ?墨?」


近づいて見てみるが、何かで染めてあるというよりは元の素材がこの色だったようだ。


だがそれはありえない。


「よく分かんないけど、宮崎君は感情に連動してるとか「呼んだ?」」


「「うわ!」」


そこでいきなりつねの声が聞こえて驚いた。


まったく気配が感じられなかった…


「阿部ちゃんも第二の試練クリアしたんだ。おめでとー。あ、ぎやま。仮面ありがとね」


つねはぎやまから仮面を受け取るとすぐにつけてしまった。


すると今まで黒かったのが嘘みたいに元の色に戻った。


「つね、それ「さ~て」」


俺が質問するよりも前につねが伸びをした。


「第三の試練に行く前に二人に見せておきたいものがあるんだよね~」


そう言ってつねが出現させたのは斬馬刀。


一体なにを…


「ジミー、起きて」


「「ジミー?」」


つねの一言にハモる俺とぎやま。


確かこの斬馬刀の持ち主はジミーだったけど…


『なんだよ、うるさいな。少しは休ませろよ…』


「「ジミー!?」」


つねの呼びかけに答えたように斬馬刀からジミーの声がする。


俺とぎやまが近づくと、つねが説明してくれた。


「なんか改めてジミーごと《喰らった》ら、ジミーの人格がこの【神器】に定着しちゃったんよ」


「え、どういうこと?」


ぎやまの質問はもっともだ。


「おれにもよく分かんないんだけど、一応【神器】だしまたゲットできるか試したら今度は中身がゲットできちゃったてきな(笑)」


そんな無茶苦茶な…


『ほんとよく分かんないよね、阿部ちゃん。おれもなんか気がついたらこんな感じでさ』


斬馬刀からはジミーの声でそんな声が聞こえてくるし、意外と何でもありなのかもしれない。


「へっへっへ、ジミーよ。これでお前はおれの思いのままだ!」


『はあ?ふざけんなよ。誰がお前なんかの言うこと聞いてたまるか』


「ほほう…。じゃあこの前撮ったお前の寝顔(変な髪型)をうPして…」


『ちょ、おま、止めろよ!それだけは勘弁!』


なんかつねは自然に話してるし、とりあえず調べるのはこの試練が終わってからでいいか。


「あ、そだ。ぎやまもさっさと第二の試練終わらせてきなよww多分ぎやまなら速攻だから(笑)」


「そうだよ、ぎやま。どうせ試練はクリアしないと終わらないし、やってきなよ」


ぎやまは俺たちに言われてやっと決心がついたようだ。


「OK.分かったよ。じゃあやってくる。別に待ってなくていいから」


そう言ってぎやまは鏡の中へ消えていった。


「んじゃ、おれらも続きやろうぜ~」


つねはジミー、いや斬馬刀をしまって鏡の中に躊躇なく消えていった。


俺も鏡の前に立ち、一回深呼吸してから一歩踏み出した。




第三の試練、深層の回想


6月15日(金)?時??分

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