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六拾七

【ダマスカスソード:全長70~110cm。重量1.2~2.4kg。インド(7~18世紀)。刀身に浮かぶ波模様が美しい剣。ダマスカス鋼というバナジウムなどを含有した特殊鋼を用いて作られ、切れ味が非常に鋭い。これはダマスカス鋼で作った剣の総称であり、形状的には決まった形はない。】



6月8日(金)26′12″43


開始早々に打ち合いを始め、すでに数分が経過している。


つねの太刀筋は素人らしくかなりざっくばらんなものだったが、俺とは比べものにならない瞬発力と野生の勘を持っているため迂闊に切り込めない。


今は互いに向かい合って相手の出方を窺っているが、まだまだ余裕がありそうだ。


「つねって剣道の授業以外で竹刀とか振ってたりしないよね?」


そう聞いてみるとつねは剣(全体的に黒に近い色に染まった綺麗な刀身だ)を軽く振りながら答えた。


「現実ではないかな~。でも¨夢¨では斬馬刀を振り回してるよ。あ、木刀とか鉄パイプは経験者」


「そっか」


なるほど、だからあんなに大振りなのか。


今はまだ重量の違いからか無駄な動きが多いが、慣れてきたらきわどいな。


ていうか木刀とか鉄パイプ…?


「それにしても阿部ちゃん、やっぱ速いな~。剣道の授業でもめちゃ速かったけど、こっちだと段違いだね」


「そんなことないって。つねも普段剣とか使わないのにだいぶ扱い慣れてるみたいだし」


「刃物の扱いは慣れてるよ?父親が大工だからね」


そういえば以前そう言ってたな。


「ほんじゃ、いっくよ~」


つねの一言でバトルは再開した。


瞬く間に距離を詰めてくるつね。


俺とは10m近く離れていたが、陸上人らしいスタートダッシュで真っ直ぐに向かってきた。


「はっ!」ヒュッ!

「…!」キィン!


つねは俺の目の前まで来ると急に加速し、俺の喉元に突きを放ってきた。


それをどうにか鬼丸で横にはじいて避ける。


するとつねは体勢を崩すのも構わずに蹴りを胴体に入れてきた。


「うっ!」


後ろに向かって数歩後退する。


無理な体勢からの蹴りだったため、あまり威力は出なかったようだ。


俺が体勢を立て直すと、ちょうどつねも起き上がるところだった。


蹴りの反動で転んだらしい。


しゃがんだ状態で後ろに跳んで俺との距離を開けてきた。


最初の攻防からこの繰り返しだ。


互いに攻撃を仕掛けては距離を取ってまた仕掛ける。


軽い模擬戦のようにも見えるかもしれない。


しかしこれは最初に取り決めがあったわけではなく、互いに必殺の一撃を入れるためのタイミング合わせだ。


どちらかが大きな隙を見せた瞬間決着がつくだろう。


転んだ姿からも誘いだと感じられるつねは空恐ろしい。


両者向かい合い、そして同時に飛び出した。


6月8日(金)17時20分


「それで結局どっちが勝ったの?」


今のつねとの闘いの詳細を語っていると、ぎやまが急かすように聞いてきた。


「おれの負け(笑)スタートダッシュで滑って転んで阿部ちゃんにドスンッ!ってやられちゃったよww」


「なんかの冗談かと思ったよ…」


正直とどめを刺す空気ではなかったが、なんかもうどうでもよくなった。


「それよりぎやまは大丈夫?」


ぎやまの体感ではまだ数分しか経っていない。


つねを殺したときのことがトラウマになってないといいが…


「おれは殺したって死なないから気にすることないよ(笑)」


「笑い事じゃないよ宮崎君…」


ぎやまはまだ少し複雑そうだったが、とりあえずは大丈夫そうだ。




今日のところはこれでお開きになった。


ぎやまのこともあるが、妹が帰ってきたので一応。


次の闘いまで一週間。


ぎやまはメンタル強化と新技の修行。


つねは体術と形態変化、他の武器の扱いと必殺技の修行。


俺は飛◯御剣流の修行と¨光¨をもっと多様化する修行。


何度か三人で試合みたいなことをするうちに、当日になった。


6月15日(金)0時00分

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