六拾四
【流儀名:飛◯御剣流
「剣の速さ」「身のこなしの速さ」「相手の動きの先を読む速さ」という三つの速さを最大限に生かし、最小の動きで複数の相手を一瞬で仕留めることを極意とする一対多数の戦いを得意とした実戦本位の殺人剣。
「飛天」の名が示すとおり、その使い手は天空を飛翔するかのごとき跳躍力を持ち、体さばきや斬撃の速さは「神速」とされる。
その剣技は主に中国古来の龍の動きを模している。】
6月8日(金)05′18″46
「¨飛天御◯流¨ってたしか¨◯ろうに剣心¨だっけ?」
つねが確かめるようにそう言ってきた。
「うん。ウルト◯マンとどっちにしようか迷ったんだけどね」
実際闘う時の仮面(お面)はウルト◯マンだし、しかもタイマーフラッシュ(もどき)も使えるから本当に迷った。
でも日本刀と言えばやっぱりるろ剣でしょ!
「ん~、まあ阿部ちゃんらしくていいんじゃね?」
つねは顎髭を撫でながらそう言った。
どうでもいいことだが、最近つねの顎髭の伸びる早さが尋常じゃない気がする。
…本当にどうでもいいな。
「じゃあこれ使う?」
そういってつねが出現させたのは斬馬刀だった。
改めて目の前で見ると迫力がある。
「あれ、見た目少し変わった?」
最初つねが振り回していたときと若干形が違う。
これは…
「もしかして¨相良左◯介¨の斬馬刀!?」
驚いて聞くと、つねはニヤリとして斬馬刀を地面に突き刺す。
「正解( ̄∀ ̄)」
¨相◯左之介¨は¨◯ろうに剣心¨に出てくる斬馬刀の遣い手だ。
その斬馬刀は手入れを怠っていたせいで明らかに強度の劣る逆刃刀に折られてしまったが…
「イメージさえしてれば【神器】でも形状を変化させられるみたいだよ。まあぎやまほどじゃないけどね」
「え、オレ?」
突然名指しされてぎやまが素っ頓狂な声を上げる。
「あれ、ぎやまの多節棍も形状を変化させてるんだよね?普通に鎖伸ばしたり棍を分裂させたりしてるし」
「そういえば…」
どうやら無意識にそこらへんは調整していたらしい。
ぎやま、恐ろしい子…!
「まあそれはそれとして、いる?阿部ちゃん」
つねが斬馬刀の柄をこちらに差し出しながらそう言ってきた。
斬馬刀は見た目は相良左◯介のものと瓜二つだが、手入れは行き届いているようだ。
「…いや、いいよ。俺には¨鬼丸¨と¨椿姫¨があるし」
少し悩んだが、俺では身の丈ほどもある大きな斬馬刀は操れないし遠慮しておいた。
とはいえ多少未練があるのはたしかだが…
「そっか。まあこれジミーの形見だしね(笑)」
「「……。」」
形見って……。
「冗談はさておき(ぽい)。残り時間もあんまないし、一回仕切り直ししようぜ~」
確かにつねの言う通り、だいぶ話し込んでいたから残り時間も後わずかだ。
これはいったん目覚めておくべきだろう。
「そうだね。オレはともかく阿部君と宮崎君は結構消費したみたいだし、休憩しようか」
ぎやまはそう言って一足先に目覚めていった。
ぎやまの姿が陽炎のように揺らめいて消えたのを見て、俺も続こうとしたら突然つねに肩をたたかれた。
「…阿部ちゃん」
「え、何?」
いつになく真剣な目をしたつねを見て、また変なことをしようとしているのかと身構えそうになる。
すると、
「最近、ぎやまおかしくないか?」
「?どういう…」
いきなり何を言ってるんだ?
「ぎやまって前から運動とか苦手じゃん?なのに最近のぎやまは自分で進んで修行をしようとしてるし…何かあったのかな」
そう言われて俺も思い出した。
今回だけでもぎやまは何回も率先して闘おうとする意志を見せていた。
何かぎやまに心境の変化でもあったのだろうか?
「…おれはぎやまが心配だよ。あいつ何を焦ってるのか、死に急いでるみたいだ」
「それはいくらなんでも考えすぎでしょ」
その場はそう言ってお開きになったが、後々にこのつねの不安は的中することになる。
だがこの時、俺はそれほど深く考えることをしなかった。
もしかしたらすぐにでもぎやまに洗いざらい全てを話してもらい、あらゆる手を尽くしていれば結果は変わったのかもしれない。
そうすれば多少は未来が変わったのかもしれない。
いや、この時点ではもうどうにもならなかったし、それに未来の出来事が予知できるわけがない。
今はただ俺達のこの¨現実¨を楽しんでしまっている。
普通に考えればこんな¨現実¨はおかしいのに。
こんな漫画みたいな¨現実¨なんて本来なら有り得ないのに。
俺達はいつの間にやらこんな¨有り得ない日常¨が普通になっていたのだ。
この時は知るよしもなかった。
ぎやまの身にあんな悪夢が起きる、いや、起きていただなんて…
宮崎:いや、なんかシリアスな空気になってるけど、まだまだ普通に話は続くよ。
引き続き¨修行編¨をお楽しみ下さいノシ
6月8日(金)17時06分




