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六拾三

6月8日(金)19′54″13


つねが滝壺に消えてから5分ほど経った。


俺とぎやまは滝の下流にある岩場に腰を下ろして、滝の様子を見ていた。


滝の高さはだいたい20~25メートルほどだろうか?


もし落ちていたらただでは済まなかっただろう。




もちろんここで死んでも現実で目覚めるだけなので問題はないのだが。


しかし最近は¨欠片¨の総量が上がってきたためか、フィードバックがだいぶ強い。


現実で目を覚ましても数分はないはずの傷が痛んだりする。




滝壺を覗き込んでいると、少し離れた位置の水面が間欠泉のように吹き上がった。


「つね!」「宮崎君!」


「くはぁ、死ぬかと思った(≧д≦;)」


全身ぐちょぬれになりながらも、つねは外傷なくこちらに歩いてきた。


「いや~さすがに酸素とか生み出せないから死ぬかと思ったぜ☆≡」


晴れやかにつねはそう言って親指を立てた。


「代わりに半魚人みたいにエラをイメージしてみたら大・成・功♪さすが思春期男子の妄想は半端ないね(笑)」


いやいや、半魚人て…


普通無理でしょ、そんなの。


俺だって¨光¨を創り出すだけで精一杯なのに。


『おそらくあの小僧は肉体を変化させるイメージのほうが体に馴染むんだろうな。…前例がないわけじゃあねえ。中には鳥になって空を飛んだやつもいるくらいだ』


まじかよ…何でもありだな…


「よし、宮崎君も無事だったことだし、再開する?」


ぎやまは早くも戦闘体勢だ。


「いやいや!ちょっとは休ませてよwwこちとら軽く死にかけたんだし(汗)」


「そうだよ、ぎやま。さすがにそれは酷ってもんだ」


一応つねをフォローしておく。


まぁでもつねのことだから死にかけの状態でもいけそうだけど…


「そうだね。じゃあまだ時間もあるし、それぞれの修行について話そうよ」


「いいね」


学校やメールでそこそこ情報交換してはいるが、それでもあまり互いの状況は詳しくは知らない。


原因の一つに、学校ではあまりあっちでの出来事をおおっぴらに話せないということがある。


そしてもう一つ。


メールをすると多額の料金がかかってしまうのだ…


アイパッドを手に入れる際にパケホを止めてしまったため、あまりメールのやりとりができない…


彼女との通話などを優先しているので、あまり携帯は使えない。


…以前そんなことを説明したら二人から


「「リア充爆発しろ」」

と言われてしまったがしょうがない。


俺にとってあいつは何事よりも優先すべき大切な人なんだから。


…ゴホン


あー、今のは聞き流しておいてくれると嬉しい。


「オレは多節棍と鎖鎌を融合させて操る修行をしてるかな…」


ぎやまは三回戦以前の闘いでの出来事も踏まえていろいろ話してくれた。


鎖鎌を手に入れたときに妙な出来事があったらしいのだが、それはぎやま本人もよくわかってないらしい。


ともあれ修行の成果が出てきているのか、最近では半径30メートル以内なら好きなように操れるようになったそうだ。


次につねの修行だが、つねはさっきのように体を変化させる特訓をしているそうだ。


三回戦で俺が¨光¨をイメージから創り出したときの話を参考にしたらしい。


そして話の最後につねは興味深いことを教えてくれた。


「そうそう、前は【神器】っておれたち以外には見えなかったし触れなかったじゃん?でも今は意識すれば普通の人にも見えるようにできるみたいだよ」


「へえ」


それはおもしろいな。


「まぁ現実だとあっちとかここみたいにうまく具現化できないみたいだけどね」


「それでも悪用はできそうだよね」


ぎやまの一言に頷く。


刀や凶器を脅しに使ったり、万が一殺傷事件に発展しても証拠を簡単に消すことができる。


誰も犯罪に使用しなけりゃいいけど…


「まぁ今それは置いといて、阿部ちゃんはどんな修行してる?¨光¨?」


「ああ、それもあるけど…」


俺は一拍あけてから答えた。


「今俺は¨飛天御◯流¨の修行をしているよ」


6月8日(金)05′18″46

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