六拾一
6月8日(金)16時45分
「そうだ、修行、しよう」
帰りのSHRが終わってすぐにつねがそう言った。
いやいや、「そうだ 京都 いこう」みたいなノリで言われても。
「お、いいね。ちょうど新技試してみたかったんだよね」
つねの提案にぎやまも賛成する。
「なんか一人で修行するの飽きちゃったんよね~ww三回戦ではまともに殺れなかったし、久々に緊迫した闘いがしたいのぅ…」
つねはなぜかクネクネと体を動かしながらそう言った。
ちなみにつねは6月に入ったあたりからメガネを外し、コンタクトになっている。
理由を聞いてみたところ、「いや、だって去年から伊達だし」という返事が返ってきて若干驚いたが、今はスルーしとこう。
そして髪型は長さが中途半端なため、前髪のくせっ毛を両サイドに分けた真ん中わけだ。
閑話休題
確かに最近同じような修行ばかりで飽きてきたところだし、いい気分転換になるかもしれない。
「でも場所はどうする?いくら時間の流れが遅いからってさすがに学校じゃまずいだろ」
俺がそう言うとつねがいい笑顔で親指を立ててきた。
「久しぶりにユーナちゃんに会いたいな!」
ちなみに結奈は俺の妹で、まだ小学校だ。
「阿部君、ひゃくとーばんって110であってたよね?」
「いや、この場合119の方だろ」
「いやいや、もう手遅れだって…」
「……。冗談だって…」
俺とぎやまのやりとりに結構本気で落ち込んでいる様子のつね。
いつものことだし、まぁいいか。
6月8日(金)17時05分
それでまぁ結局俺の家になったわけだ。
「ただいま」
「おじゃましま~す」
「ただいま~」
「いや、つねおかしいから」
そんなやりとりは流して、俺達は玄関に上がってすぐにある俺の部屋に三人で座った。
追記しておくのを忘れていたが、少し前から俺の部屋は二階から一階に引っ越してきている。
畳の敷き詰められた部屋には、まぁいろいろある。
怪しいものは断じてない。
断じて、ない。
ゴホンッ
まだ帰ってきてから数分しか経ってないが、俺達はさっそく円を描くように座って手を繋いだ。
興奮しているつねは無視だ。
ちなみに妹は帰ってきていなかった。
「「「《我夢と現の狭間にて神を堕とす者なり》」」」
景色が一転して、俺達は森の中にいた。
6月8日(金)?時??分
深い森の奥。そう形容するしかない空間に俺達三人は手を繋いだ状態で立っていた。
見渡す限り延々と森が続いている。
見覚えのない景色だ。
「あ、ここトンちゃんとよく修行してる場所だ」
どうやら今回はつねの記憶が色濃く反映された空間らしい。
「へぇ、いいとこだね。空気がなんか新鮮な感じだし」
ぎやまは思いきり伸びをしながらそう言った。
「ここってトンちゃんの前の所有者が修行してた所なんだってさ。少し歩けば滝もあるよ」
滝か、そいつは修行の定番だ。一回滝に打たれてみたいな。
「足場ないから滝壺に呑み込まれて何回か死んだな~(笑)やっぱり修行は命懸けだね!(b^ー°)」
前言撤回、滝打ちはいいや。
まぁともかく、
「いっちょやりますか!」
それぞれの【神器】を出現させ、俺達は戦闘を開始した。
6月8日(金)?時??分




