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五拾三

5月29日(火)0時00分


目を開くと今までとはまったく違う景色が視界に飛び込んできた。


「…は?ここって…遊園地?」


色とりどりにライトアップされた遊具の数々。辺りを見渡してみるとそれが途切れることなく続いている。


遊園地特有の騒々しさと音楽、マシンの稼動音によって相当派手に動き回らなければ足音もよく聞こえないだろう。


【…ガッ…ガガー…、あ~、テステス!ヤッホーみんな!三回戦は趣向を変えてみました!気に入ってくれたかな?それじゃあ早速ゲームの説明を始めるよ!みんな、胸に番号の書いたプレートが貼ってあるよね?】


「…0018番か」


確かに胸には数字が書かれたプレートが貼られている。


【その番号と同じプレートを貼った相手をこの遊園地から探し出そう!そして見つけた段階で即バトル!!ステージは一番近くにあるマシンに強制決定されるから注意してね!それじゃ後は頑張って!連絡事項はちょくちょく放送するからね~】


そう言って放送が止まる。


「あれ…鬼丸、今制限時間とか言ってたかな?」


『言ってなかったようだな。だが…』


鬼丸は少々考え込んでいる様子だ。


『通常よりも早いが…ここは共有されたステージである可能性が高い』


「え、どういうこと?」


『前にお前とあいつらの3人で同じ空間を共有したことがあっただろう。あれを数十倍から数百倍の規模でやったってことだ。同様にここでは時間の流れが限り無く遅い』


なるほど、そういうことか。確かにあそこでは時間がだいぶ緩やかだった。


数時間いても現実では数分しか経っておらず、ちょくちょく修行に使っていたくらいだ。


それで分かったのは、あの空間は共有する人数が多ければ多いほど時間が緩やかになるってこと。

少なくない量の¨欠片¨を消費するってこと。


最近では俺たちの¨欠片¨の総量が上がったためか、感覚が格段に鋭くなったことか。


ここもあそことほぼ同じような感じってことは…


「もしかして今回ダメージとかは現実とまったく同じように感じるのかな?」


俺の疑問を鬼丸は否定はしなかったが、肯定もしなかった。


『いや、まったく同じなんてことはない。それどころか現実とは比べものにもならんだろうよ』


「どういうこと?」


『ここは恐らく今までにリタイアしていった奴らの¨欠片¨を利用して創られている。つまり二千人超えの¨欠片¨だ。その総量は想像もできん』


えっと、つまり…


「痛みが何倍にもなるってこと?」


だとしたら誰も闘う何てことできなくなるだろう。


しかし鬼丸はそれを否定する。


『いや、そうはならねえはずだ。確かに通常通りの痛みは感じるだろうが…』


どうも歯切れの悪い感じだ。俺がさらに聞こうとしたら、ようやく鬼丸は答えた。


『小僧。恐らくだが、ここまで高密度な¨欠片¨は現実にも影響を与える可能性がある。ここで死んだからって現実で死ぬわけじゃあないだろうが、もしかすると何らかの形で影響が現れるかもしれねえ』


5月29日(火)0時??分

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