四拾五
5月22日(火)0時25分
闘う前に相手の特徴を挙げておくと、つけているのは鳥を模した木彫りの仮面。
身長は俺と同じくらいで、とくに筋肉質というわけではない。
右手に構えているのは切っ先が丸い、1メートルちょいくらいの剣。
『こんな序盤から当たるなんてね。久しぶり、鬼丸』
『…おう、久しぶりだな』
俺達がお互いの武器を出現させてすぐに、鬼丸と相手の剣が反応を示した。
「なんだよパティッサ、知り合いかよ」
「鬼丸…?」
俺達の問いかけに両者ともに応えず、二人だけで会話を始めた。
『君とはもっと後のほうで巡り合うと思っていたけど…』
『俺もそう思っていた。だがこれもまた宿命だ。今回は前のように不意をつかれたりはしねえぞ?』
『またまた、鬼丸ったら強がっちゃって。今のところ、158対165でこっちのほうが勝ち越してるってのに。変わらないなあ』
『はっ、毎回卑怯な手ばかり使ってくるお前に言われたかないな』
…なんとなく読めてきた。どうやら鬼丸とあの剣は宿敵と書いてライバル(?)の関係にあるみたいだ。
『まったく、口が悪いよ鬼丸。こういうときの決着はあれだろ?』
『ああ、そうだな』
ここで両者共に一拍間を置いて、次の瞬間同時に言葉を発した。
『『殺し合いだ!!』』
開始から30分近く。ようやく俺の闘いが始まろうとしていた。
5月22日(火)0時27分
『小僧、遠慮はいらねえ。細切れにしてやれ』
『油断はしないでいきましょう。粉々にしてやります』
鬼丸たちから伝わってくる並々ならぬ気迫に若干引きながらも、俺は慎重に刀を下段に構えた。
相手の方はやる気満々に剣を振り回している。
俺達の間には特に緊張した雰囲気はなく、まるでこれから一緒にゲームでもやるかのように緩んでいた。
「あ、ちょいたんま」
「?」
「これ邪魔だから取るな」
相手はそう言って鳥を模した仮面に手をかける。
仮面を取り外したその素顔は、そこそこワイルドなイケメンだった。
その顔に見覚えはないが、稲穂学園は生徒数が多すぎるため、知らなくても不思議はない。
てかそれよりも…
「え、仮面て外せたんだ。最初からついてたし、違和感ないから外せないのかと思ってたよ。てか素顔晒して大丈夫なの?一応現実では同じ学校なんだし…」
「別に構わねえよ。どうせお前の記憶はなくなるしな」
…どうやら自分が勝つと信じて疑っていないようだ。
「ふぅん。じゃあ俺も外そうかな。どうせ見られても君の記憶はなくなる訳だし」
俺も相手の挑発に乗る形で仮面に手をかける。てか改めて触れてみるとこれは仮面というよりお面かな?
ほとんど抵抗はなく、¨それ¨は外れた。
「こ、これって…!」
¨テ◯ガ¨…!
俺が今まで付けていたのは、三千万年前の地球を守った伝説の勇者。
元は闇の戦士だかなんだかで、とある巫女さんの言葉でワル仲間の力を吸収して光に変えた、あの!
異国の古語で聖なる数字の3を意味し、その名の通りマルチタイプ・スカイタイプ・パワータイプの三つの姿を持つ、あの!
光が極限まで高められると究極のグリッター◯ィガになり、これは世界中の人々の光か他のウルトラ男50体クラスの光が必要な、あの!
結構イケメン!
の、お面だった!!
俺は知らず知らずのうちに胸が熱くなった。
俺はウルトラ男の中でもティ◯が一番大好きだ。
俺は外しかけたテ◯ガのお面を再び装着する。
ふ、ダ◯ゴ、共に闘おう!
俺の頭の中で[輝きを継ぐもの]がBGMで流れ出す。
…負けらんない。俺は負けらんないんだ!地球のみんなのためにも!!
5月22日(火)0時18分




