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三拾三

5月14日(月)4時35分


『そもそも俺たちは【神器】だなんて呼ばれちゃいるが、元々はただの武器だ。』


『うむ、長い年月を人間と共に存在したが故に、ただの武器であった我らに魂が宿り、そしてその存在を神の手で【神器】などと呼ばれる代物に昇華させられたのだ。』


『だから元は日本の八百万の神、つまりこの世のあらゆる物には神が宿るといった概念に近い存在なのよ、私たち。もちろん私たちは神じゃないけどね♪』


放課後また俺の家に集まることになり、俺の部屋に入って早々に鬼丸たちの説明が始まった。


ちなみに順序は鬼丸→トンちゃん→えっと、多節棍?だ。


いきなり【神器】についての説明が始まってしまい、ぎやまの【神器】の呼び名は聞きそびれてしまった。


『俺たちには歴代の経験と知識が刻まれている。俺たちを所有した者、つまりお前たちにその経験と知識を共有させるのが俺たちの使命ってわけだ。めんどくせぇ。』


『何故我らにそのような役目を与えられたのか。それは分からぬ。しかし闘いの中、所有者と共に戦場を駆け巡ることこそが我らの本懐。存在の意義なのだ。』


『まぁ簡単に言うなら、私たちは神によって闘うためだけに創られた、ただそれだけの存在ってことね。今までも何人か真意を探ってきたけど、結局は分からなかったみたいね。』


「ちょっといい?」


そこまで一気に進んだところでぎやまが質問した。みんなの視線が集まると、ぎやまは考えるように話し始めた。


「【神器】についても気になるけど、質問いいかな?とりあえず話はずれるけどさ。この闘いの意味って何なの?いきなり巻き込んどいて夢を叶えてやるとか意味わかんないよ。」


「ふっふっふ、若いの。闘いに意味も理由も必要ないのさ…。あるのはただ己の…「いや、別にいいからそういうの。」。」


俺はとりあえず脱線しないようつねのセリフを遮った。するとつねは渋い顔でベットに潜り込んでいじけてしまった。


俺はつねをベットから落として、改めて質問してみる。


「俺もそれは思ってたんだけどさ、なんか引っかかるんだよね。唐突すぎるっていうか、何ていうか。昨日カリヤ、だっけ?あの人が言ってたこともよく分からないし…。」


『ふむ、カリヤが言っていた【…お前たちの願いを少々叶えさせてもらった。…と言っても本当に望んだ願いではなく、日常的に存在する願望のほんの一端だけだが。…これから勝ち続けていけば、そういった願いはどんどん叶っていく。…もちろん一番強い願いだけは最後まで勝ち残らなければ叶わないが。】というやつかな?』


「そう、それ。てかそっくりだね。」


『あっちでの出来事はある程度記録できるからな。このくらいは朝飯前だ。』


「日常的に存在する願望を叶えたってどういうことなの?」


『ふむ、まずはそこから説明しなければならないようだの。』


『そこらへんって結構アバウトなのよね~。あやふやな所とかはスルーしてくれると嬉しいかな。』


『めんどくせぇ。そこいらは体に直接叩き込んだ方が早い。おい、お前ら。あれやるぞ。』


『ほぉ、あれか。』

『久しぶりね。ここ数年はやってなかったからなまってないといいけど。』


「ねぇ、あれって何?」


鬼丸たち【神器】がいきなりそう言い始めたのでとりあえずそう聞くと、


『その説明が面倒だ。お前ら、三人で向かい合うように座りな。』


そう言われてしまったので俺とぎやまとつねの三人は部屋の中央で向かい合って座った。


『よし、では次に三人で手を繋ぎなさい。ほら恥ずかしがらずに。』


「…それ必要なの?」

「ハァハァ阿部ちゃんの手…。」

『うむ、バラバラでは意味がないからのぉ。円で繋がっていることに意味がある。』

「ハァハァ!」


執拗に恋人繋ぎをしようとしてくるつねの手の甲を叩いてから、俺達は改めて手を繋いだ。


ちなみに俺から見て右手がぎやま、左手がつねだ。


『よし、じゃあ三人でタイミング合わせて《我夢と現の狭間にて神を堕とす者なり》って唱えてね♪』


「え?夢に行くんですか。」

「マジで?」

「ハァハァ!」

『そうよ。細かいことはあっちで説明するから、とりあえず唱えて?いくわよ、せーの!』


「「「わ、《我夢と現の狭間にて神を堕とす者なり》」」」


途端に目の前の俺の部屋から別の空間に切り替わった。


?月?日(?)?時??分


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