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二拾八

5月14日(月)0時00分


俺は気がつくと稲穂学園の中庭に立っていた。紺の学ランを着て、腰には鬼丸が差してある。


周囲には俺と同じように辺りを見渡している人影が複数存在した。


「…なんだあれ?」


周囲にいるのが稲穂学生だというのは分かる。だが一人として知った顔を見つけることはできなかった。


何故なら全員揃って顔に奇妙な仮面を付けていたからだ。よく見ると一人一人違う仮面をつけているみたいだ。


近くでキョロキョロしている女子生徒は犬の仮面、その向こうの男子生徒は木彫りの仮面だ。


(俺はどんな仮面をつけてるんだ?)


俺が仮面に手を伸ばそうとした瞬間、一斉にスピーカーからノイズが走った。


【…ガガッ……あ~、テステス。聞こえる?…よっし、みんな!待ちに待った闘いが始まるよ~!これといったルールはないけど、質問とかは受け付けないから気になることがあれば自分たちのパートナーに聞いてね!】


放送を聞いてにわかに周囲が騒がしくなってきた。どうやら今の状況を自分の【神器】に聞いているようだ。


「鬼丸…」

『今は黙って放送を聞きな。聞き逃したら面倒だ。』


鬼丸はそう言って沈黙した。俺も放送に集中することにしよう。


(そういえばぎやまとかつねはどこにいるんだろう?)


【とりあえず言っておくことその1、制限時間は30分!その2、反則はなし!その3、最低でも一人は倒せ!以上!】


(えっと…、これルールなんじゃ…)


『やはり乱戦か。小僧、油断するなよ。』


「誰が小僧だ。名前で呼べよ。」


…ガガッ…ガッ…


【…倒す条件は相手を殺すか【神器】を破壊することだ。…倒す人数に制限は設けない…が、最低でも一人倒せば退場可能だ。…リタイアの場合は《我神の座を破棄し去らん》と唱えろ。…そうすれば全てを忘れ日常に戻ることができる。】


(《我神の座を破棄し去らん》か。覚え難いけど一応記憶しておこう。)


【それでは皆様お待たせ致しました!楽しい楽しいゲームを開始しちゃいましょう!それではスタート!】


5月14日(月)0時13分


俺は周囲に気を配りながら第1体育館の裏に身を隠していた。


稲穂学園は他の高校に比べても敷地面積が広い。


中庭を中心に周りを校舎が立ち並んでいて、1ハウスから6ハウス。職員棟、芸術棟、大体育館、第1から第3までの体育館だ。他にもいくつか建造物が存在する。


そして校舎から離れた位置にはラグビー場、野球場、ソフトボール場、テニスコート、サッカー場、400mトラック、50mプールなどがある。


生徒は学校の敷地全体にまんべんなく配置されたらしく、近くにはあまり人影はない。


しかし全校生徒が約2400人いる伊奈学園では無人になる場所なんてそうはないだろう。


5月14日(月)0時15分


開始から五分経った。中庭にある時計を見る限りでは普通に時間が流れているようだ。もちろん現実と同じかは分からないが。


「…それにしてもいきなりみんなやる気になるなんて思わなかった…。」


『そういうもんだ。だいたいのやつはゲーム感覚でやっているからな。望みが叶うかどうかなんて関係ない。』


俺たちは辺りを窺いながら話している。


開始早々に短剣で襲われてからは今のところ逃げ続けている。


『逃げてばかりいないで闘え。一人でも倒せば終わりだ。』


「そうは言ってもさ、本物の武器で闘うとか…」


『躊躇えばお前がやられる。それにお前の中には歴代の経験が入ってるから闘えないなんてことはない。』


「そういうことを言ってるんじゃ…」


その時こちらに向かって走ってくる生徒の姿が視界に映った。


「くそ!」


俺は鬼丸を抜くと下段に構えた。やるしかないか。


相手は男子生徒のようだ。プ○さんのお面をつけて長い棒を持っている。


俺は迫ってくる○ーさんお面の生徒が攻撃してくる前に飛び出して行った。


5月14日(月)0時16分


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