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二拾五

?月?日(?)?時??分


俺は立ち上がろうとしたが指一本動かすことができなかった。


するとあいつは刀で肩を叩きながら俺を見下ろし、眠そうに目元を掻いた。


「今何を…」

『見えなかったろ?』


俺のセリフを遮ってそう言ってきた。圧倒的な実力を見せつけられたため、俺は素直に頷いた。


『もう一度試してみるか?』


そう聞いてきたが俺は唯一動く首を横に振った。


あんな漫画じみた、必殺技みたいなやつを何度もくらいたいとは思わなかった。


俺は起き上がろうともがくが、体は動いてくれなかった。痛みは全くないのでもしかしたら背骨を…?


『無理に動こうとしても無駄だ。今のお前にはパーツが足りねぇ。』


俺の様子を見かねたのかそう声をかけてきた。


…は?パーツが足りないって……


『流水散華は相手を戦闘不能にする技だ。仮に失敗しても当たりさえすれば相手の戦力を削ぐことができる。』


そう言ってそいつは何もない空間から姿見を取り出した。


「……は?」


俺は姿見を取り出したことよりもそれに写ったものに唖然とした。


そこには両腕と下半身がなくなった俺自身が写っていた。


?月?日(?)?時??分


「な、何だよこれ…?どうして、こんな…ッ!」


自分でも分かるくらいに声が裏返って震えている。俺は鏡に写った俺自身の姿が信じられなかった。


「う、うわあ『黙れ』」


俺の悲鳴はその一声にかき消された。そいつは気怠げに俺の様子を観察している。


『頭に響くから黙れ。少しは冷静になったらどうだ?』


そんなこと言われたってどうしようもない。再びパニックになりかける俺にそいつは歩み寄りながら言った。


『よく見ろ。断面から血は出てるか?それにこんな傷を負ったら普通は即死だ。』


そう言われて俺はやっと考える余裕ができた。確かにこんな致命傷、生きていられるわけがない。


『とりあえず今から俺が言うことを復唱してみな。《カルラの光よ、我が肉体の翳りを祓いたまえ》』


「か、《カルラの光よ、我が肉体の翳りを祓いたまえ》…?」


俺がなんとか復唱すると、驚くべきことに離れていた下半身と胴体の断面が淡く輝きだし、それがゆっくりとくっついていった。


離れた位置に転がっていた両腕も、見えない糸で釣られているかのように断面にとんできた。


くっいた断面からは熱のない山吹色の炎が溢れ出し、軽い火花を残して傷痕と共に消えた。


俺はくっいた両腕の指を動くか確かめたが、全く違和感のない感触だった。


(まるで魔法みたいだ…)


『言っておくが魔法じゃねぇぞ。』


そいつはまるで俺の心の中の呟きが聞こえたかのようにそう言った。


『お前も知っているだろうが、ここはお前の記憶と夢が混ざり合ってできた空間だ。夢でいくら切り刻もうと死にゃしねえ。』


そう言って軽く欠伸をすると、ついて来いというように剣道場の出口に向かって歩き出した。


?月?日(?)?時??分

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