二拾三
?月?日(?)?時??分
「……ッ!」
呪文を唱え終えた次の瞬間、俺は部屋とは別の場所にいた。
「ここは…剣道場か?」
そこは高校一年生のときに所属していた剣道部の部室だった。
「えっと…、そういえば具体的に何をすればいいん…」
ヒュン!
俺が剣道場に一歩足を踏み出した次の瞬間、一瞬前まで俺の頭があった空間を高速で何かが通り過ぎていった。
「…うわっ!何だ!?」
背後を振り返ると剣道場の壁には竹刀が突き刺さっている。
未だに微震を続ける竹刀は壁に深々と刺さっており、全体の半分近くがめり込んでいる。
偶然当たらなかったから良かったものの、今のが直撃していたら即死していたかもしれない。
『……おい。前にも言ったが、俺の睡眠を邪魔すれば容赦しねぇぞ?』
「だ、誰だ!」
俺が剣道場の方に顔を戻すと、いつの間にか中央に青年が胡座を組んでいた。
というかそいつの顔はある意味一番見知った顔と言えた。
何故ならそいつの顔は俺と瓜二つだったからだ。
?月?日(?)?時??分
『なんだその鳩が散弾銃ぶっ放されたような顔は。何か驚くようなことでもあったか?』
胡座を組んだままそいつは気怠げにこちらを睨んできている。
「一つ質問なんだが、お前誰だ?何で俺と同じ顔をしているんだ。」
俺がそう言うと、そいつは眉をひそめてこちらを見た。まるで俺が不可解なことを口にしたかのように。
『何を言ってやがる。記憶喪失にでもなったか?そういえば最近お前みたいのが多くなってきたような…』
そいつはそう言って考え込んでいる様子だ。俺はそいつが言った記憶喪失という単語に反応した。
「そうだ、記憶喪失…に近いかもしれないけど、俺昨日の夢について全く覚えていないんだ。昨日俺に何があったか教えてくれないか?」
俺の問いにそいつは一旦ぶつぶつ言うのを中断してこっちを見た。
(お、説明してくれるのか)
だが俺の期待に反し、そいつは剣道場の床に寝そべってしまった。
『知らねえな、めんどくさい。んなこと自分で思い出しな。俺は寝る。』
そう言って寝息をたて始めてしまった。仕方なく俺はそいつに近づいいくと、肩に手を置いて揺すろうとした。
「なぁ頼むから教えて…」
しかし手が触れる直前にそいつの姿がかすみ、気がつくと俺は剣道場の壁に叩きつけられていた。
「……ッ!?」
『何度も言わせるな。俺の眠りを妨げれば容赦はしねぇ。』
俺は何が起こったのか理解出来ないままそいつを見つめた。
不思議とぶつけた背中に痛みはない。受け身も取れなかったはずだから相当な痛みがあるはずなのだが…。
(とりあえず今はこいつに話を聞くのが先だ。)
俺は起き上がるとまたそいつに近づいて行った。
体は痛みもなく普通に動いてくれたので安心する。あの勢いで叩きつけられてたのだから背骨が折れていてもおかしくない。
そいつは近づいていくと片目を開いて嘆息した。
『ったくめんどくせぇ…。しゃあねぇな、もう一度説明してやる。』
「本当か!?」
『ああ。だが条件がある。』
喜んだのもつかの間、そいつは立ち上がるとどこからともなく竹刀を取り出した。
『俺をもう一度納得させてみろ。』
そう言ってそいつは一直線に踏み込んできた。
?月?日(?)?時??分




