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百八拾七

7月3日(火)?時??分


無制限共有フィールド


とある建築中のビルの屋上付近、まだ足場も組まれていない鉄骨の上でカリヤは煌々と存在感を放つ満月を見上げていた。


「カリヤ様」


背後の鉄骨に数珠丸が現れた。


「どうやら三日月の¨舞¨のようです。おそらく¨現実¨の稲穂学園で浄化をしているのでしょう。…如何にいたしましょう?」


命令とあらば即座に¨舞¨を中断させるべく、数珠丸の傍らにはすでに移動用の¨鏡¨が置かれている。


しかしカリヤはそれほど関心のない様子で月光を浴びている。


「…放っておけ」


カリヤの一言に頭を垂れる数珠丸。


「御意」


そのまま退室しようと数珠丸が立ち上がりかけたその時、


「カリヤ~!」(ガスッ)


唐突に数珠丸の真上に円形の鏡が現れ、そこから一人の少女が飛び出してきた。


デュランはちょうど足場あった数珠丸の頭を踏みつけ「が!!?」カリヤの横に着地する。


「カリヤカリヤ!めっちゃ満月じゃん!!月見しようぜ!!!」


テンション高くそう言うデュランに一瞥し、カリヤはどことなく不機嫌そうになる。


どうやら静かに風情を感じていたいらしい。


しかしそんな態度もデュランが肩にかけていた袋から中身を出すまでだった。


「大典太からもらった!食べようぜ!」


「…!」


おそらく月見をしようと大典太が即座に用意していた所に遭遇したのだろう。


作りたての団子が皿に並べられ、月見に理想的な雰囲気を醸し出している。


「デュラン…今度という今度は…ぐふっ!?」


怒りに震えながら立ち上がりかけていた数珠丸は団子をみるや高速で移動を開始したカリヤに弾き飛ばされた。


カリヤは地上50メートル近い高さから落下していった数珠丸には目もくれず、一息に屋上にまで上がる。


そこには急須から緑茶を注いでいる大典太の姿が。


「ふむ」


少年な見た目でありながら老獪な雰囲気を放つ大典太。


屋上に並べられた座布団を小さな手で指し示した。


「……。」


横に座り、カリヤは大典太の淹れた茶を手に取る。


遅れて飛び上がってきたデュランも参加し、いささか時期のズレた月見が始まった。


7月3日(火)0時10分


俺たちが近づいていくと、舞を終えた三日月はどこか無表情ながら満足げな様子でローブを羽織るところだった。


心なしか輝いているようだ。


「たぶん、これで呪いは解けた…かな?」


だからなんで疑問系?


「《鬼丸》…!」


とりあえず唱えると鬼丸が具現化した。


どうやら本当に呪いは解けたらしい。


「これでやっと傷が塞がるよ(‐ω‐)」


つねは手を開いたり握ったりしながらそう呟く。


呪いは解けたが傷が消えたわけではない。つねはまだしばらく入院だろうな。


ぎやまは早速舞霞にメールで詳細を送っている。


まあだいぶ心配してたからな。


何せ毎日数時間かけてお見舞いに来てたし。


つねが「もう結婚しちゃえ…(リア充爆発)」と呆れて呟いたくらいだ。


まぁこれで一つ心配事がなくなった。三日月には感謝しよう。


あとは…


「ねえ、ちょっといい?」


俺はここで二人に断罪について話しておくことにした。

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