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百六拾三

6月22日(金)17時??分


「…そこまで」


「くあっ…」


俺はとうとう一時間の制限時間をクリアすることができた。


「¨欠片¨が回復次第、次の修行を始める」


そう言い残して三日月は姿を消した。


一方俺は全身に力が入らず、地面に大の字に倒れたままだ。


「ぎやまたちはどんな修行してんだろ?」


そういえばつねは今日中に退院するんだっけ?


俺は汗を拭う力もなく横になっていた。


6月22日(金)17時45分


とある公園にて


徐々に日が延びてきているとはいえ、すでに辺りは闇に包まれつつあった。


寂れた公園には外灯の明かりも満足には行き渡らず、中途半端な闇を生み出している。


そんな闇の特に濃い公園の奥、大小ある鉄棒の所に人影があった。


近年様々な理由から撤廃されつつある遊具の中で、鉄棒はまだまだ現役でそこに居座り続けている。



「…64…65…66…」


一番高い鉄棒のさらに上、宮崎は上着を脱ぎ上半身裸の状態で逆立ちしていた。


服は脱いでも頭を覆ったガーゼのような黒い布は外していない。


ただ逆立ちしているだけでなく、その状態でさらに腕立てをしている。


「…67…68…69…70!」


まだ夏は始まっていないというのに全身から汗が噴き出し、腕は目に見えて痙攣している。


「…いいのか?」


一心不乱に腕立てを続ける宮崎に声をかける影があった。


鉄棒の近くのフェンスの横に駐車してある大型の漆黒のバイク。


それに腰掛けるバイク同様に黒いライダースーツに身を包んだ青年だ。


「…71…何が…72…?」


宮崎が腕立てを中断せずにそう質問を返すと、ライダースーツの青年は、


「…病み上がりだろ」


特に関心のなさそうにそう言った。


「…73…ああ、…74…まあね…75…でも…76…なまってる…77…から…78…」


「……。」


再び公園内に沈黙が戻ってきた。


宮崎の回数を数える呟きと遠くから届く喧騒のみがこの場に響く。


「…87…それにしても…88…集まったのは…90…レオンだけか…91…」


「…当然だろ。あれからもう二年以上経つ」


「…95…確かに…96…ね!…おれも…97…年を…98…とった…99…でも…」


「100」と呟いて宮崎が鉄棒から飛び降りる。


猫のようにしなやかに地面に着地すると、髪の毛をかきあげた。


「…まるっきり人望がなかったわけじゃ、ないみたいだよ?」


宮崎の目線の先には公園内に侵入してくる二つの人影があった。


「久しぶり、元気にしてた?」


宮崎がそう言うと、


「なあ、本気なのか?¨シャドウテイル¨を再結成するって」


片割れの今朝方レオンと共に宮崎の病室に訪れた少女が声を発した。


「ああ。士土しどにはもう見せて説明したよね?どうも最近おれの手に負えないやつらがいてね」


「確かに聞いたし実際に見て納得もした。でも私たちを巻き込むなんて今更だろ。私だって忙しいし」


「でも来てくれたってことは協力してくれるんだろ?ほんと士土はツンデレだな~(笑)」


「ふ・ざ・け・ん・な!今更¨シャドウテイル¨の面子を揃えるなんて無理に決まってんだろ!…私だってとっくに退団してるし」


「確かに初代メンバーはおれとレオンと士土、それとみやじのこの4人しか集まらなかった。でも十分。この4人がいれば大概のことはできる」


すると今まで黙っていた宮嶋が開口一番に


「本当ニこいつらヲあのゲームに関係させるのか?」


違和感のある口調でそう言った。


「おい、なんか口調おかしくね?」


士土の疑問に答えたのは宮崎だった。


「ああ、説明するよ。みやじもゲームの参加者なんだ。…たぶん半分くらい【神器】に乗っ取られてるのかな」


「おい待て、まだほとんど説明聞いてないのに固有名詞ばっか出すな。とりあえず協力するかは別として、一から説明してくれ」


「OK.でも今のおれは知っての通り制限されてるし、今ジミーは他に行ってるから口頭だけな」


宮崎はとりあえず今まであったことをおおざっぱに説明していった。


6月22日(金)?時??分


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