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百六拾一

6月22日(金)17時??分


とある廃工場


一旦帰宅した後、俺とぎやま、ジミーの3人で¨夢¨で修行することになった。


今回の師匠は三日月。


¨鬼¨、村正との闘い方と注意すべき点を教えてくれる。


本来ならもっと早く、それこそ三日月が味方になったその日にでも修行をお願いしたかったのだが、


「…私には、太陽の光は強すぎる」


と宣言してしばらくどこかに行ってしまっていたので仕方ない。


昨晩はつねのこともあり、やっと初の修行になる。


俺の家に集まり、揃って¨夢¨に来てみると、そこはどこか寂れた廃工場ばかり並ぶゴーストタウンだった。


月明かりに照らされた町並みは、虫の鳴き声すらせず工場の墓場みたいだ。




「…足元がお留守。(すっ)」


「うわっ!?」


三日月に向かって俺、ぎやま、ジミーの三人でかかっていっているというのに、先ほどから全くと言っていいほど攻撃が当たらない。


それどころか三日月は余裕で俺たちを素手で転ばしてくる。


俺が縮地で迫っても軽くいなされ、ぎやまの鎖も三日月のフードの端すら捕らえられない。


「はあぁ!!」


ジミーが斬馬刀を三日月の背後から振り下ろすが、まるで見えているようにそれをかわした。


「な、何で舞霞で捕まえられないんだよ…。亀の上では少なくとも何発か当てられたのに…」


開始から5分。


とりあえず実力を測るということで、10分以内に一撃入れてこいと言われた。


始めは簡単すぎるくらいだと高をくくっていた俺たちは、見事に三日月に遊ばれていた。


正直一撃どころかかすることもできるか怪しいところだ。


「当然。今の私には、制限がない。…それに今は一割くらいの実力しか出してない、けど満月に近いこの状況では、それでも強すぎるくらい」


月の満ち欠けで実力が変わるのか…!


一割でこれって…。満月に本気を出したらどれくらいになるんだ?


「《蜘蛛の繭》!」


ぎやまが三日月の背後から《蜘蛛の繭》を発動する。


多節棍を中心に全方位に鎖が伸び、古びた工場の窓枠や手すりに固定された。


「よし!」


360°舞霞に囲まれた三日月を見てジミーが声を上げる。


いくら実力に差があっても、パワーやスピードが段違いでもこれなら防ぎきれない!


三日月は辺りを見渡し、すぐさま上に跳ぶ。


どうやらつねみたいに舞霞の鎖を足場にして比較的鎖の少ない空に逃げる気らしい。


「舞い乱れろ、霞鎌!」


だがぎやまも逃がす気はないようで、すぐ舞霞に¨欠片¨を込めた。


《舞乱霞鎌》


かつて俺とつねを同時に戦闘不能にしたぎやまの必殺技が炸裂する!


鎖でできた蜘蛛の巣には一瞬で鎌が咲き乱れ、刃の繭と化す。


「どうだ!」


繭の中心からぎやまの声がして、すぐさま鋼鉄の繭は姿を消した。


「…え?」


しかしぎやまを中心とした繭の跡地には誰もいなかった。


「ど「…《月光閃》」…」


唐突に三日月がぎやまの背後に現れ、そしてまた消える。


見渡すと近くの廃工場の屋根に移動していた。


「え、ぎやま?」


ジミーの声に視線を戻すと、ちょうどぎやまの胴体が二つに分裂していくところだった。


「え?」


当の本人もいつ自分が斬られたのか分からなかったのか、呆然とした表情で淡い炎に包まれる。


「ぎやま!」


急いで駆け寄るもすでにぎやまの姿はどこにもない。


今頃¨現実¨で目を覚ましているだろう。


「…今の子は、とりあえず合格。まだ、伸びしろがある」


三日月はそう言って地面に飛び降りてきた。


俺はかろうじて先ほどの三日月の姿を目で追えていた。


三日月がぎやまの技を避けれたのは¨縮地¨で高速移動したから。


一瞬で鎖を足場に工場の屋根に移動し、技を解いた瞬間再び¨縮地¨でぎやまの背後に移動。


そして間を置かず抜刀した刀でぎやまの胴体を横なぎにした。


「…¨光剣¨?」


俺の目には三日月が抜刀した際に、刀身を淡い¨光¨が覆っているのが見えた。


あれは俺の使っている¨光剣¨と同じだった…!


「あと、3分」


三日月は別段構えを取るわけでもなく、淡々とそう呟いた。


「くそ!」


すぐさまジミーが三日月に向かって駆け出す。


間を置かずに俺も鬼丸を構えて飛び出した。


6月22日(金)17時??分



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