拾五
?月?日?時??分
「……ッ!」
目の前に現れた日本刀に一瞬目が奪われたが、気がつくと周りはさっきまでの白い空間ではなかった。
そこはなんて表現したらいいんだろうか、どこかの屋上に見える。そして懐かしい感じがした。
「……あっ!」
思い出すまでに少し時間がかかってしまったが、そこは昔通っていた小学校の屋上だった。屋上には俺以外の人影は見あたらない。
刀から目を離し、辺りを見渡していると突然声が聞こえた。
『おい、さっきからどこを見てる。阿呆面下げてキョロキョロしてんじゃねぇ。』
「誰だ!?」
誰もいないのを確認した矢先だったため、動転してつい声が裏返ってしまった。
しかし声がした方には日本刀しかない。
『誰だ、じゃねえよ。俺を無視して勝手に歩き回ってんじゃねえ。』
するとやはり刀のある辺りから声が聞こえてくる。俺は刀に近づきながら改めて人影を探してみた。
『だから無視すんじゃねえよ。俺は最初からここにいるだろうが。』
「うおっ!なんだ!?」
刀の一歩手前までくるとちょうど声が聞こえた。その声は日本刀から聞こえていた。
『何驚いてんだ?俺はさっきからお前に話しかけてるだろうが。』
やはり刀から直接声が発せられているようだ。俺は刀に触れないように観察してみた。
しかしマイクのようなものがついている様子はない。しかも声が発せられた瞬間、かすかに刀が震えていた気がする。
『何じろじろ見てんだ?まぁいい。さっさと俺に触れな。』
俺は刀から聞こえる声に眉をひそめた。
「どうなってんだ、これ?マイクとかは見当たらないし…、つか触れとか変態か!?」
とりあえず一旦刀から距離をおいた。
『そういう意味じゃねえよ。つか状況を把握しろ。そんなんじゃ生き抜くことなんてできねえぞ。』
刀から聞こえたせりふに、俺はやっと違和感に気がついた。
「そういえば何で俺はここにいるんだ?ついさっきまで寝てたはずなんだが…」
ここまで言ってやっと俺は夢での出来事を思い出した。そのまま日本刀に向かって質問してみる。
「ああ、夢か。たしかゲームとか言ってたけど…、これがそうなのか?でも3日後とか言ってなかったか?」
疑問に思ったことをぶつけてみると、日本刀からは溜め息が聞こえてきた。
『ハァ。今回の相棒は騒がしいやつだな。そんなに一気に聞かなくても順を追って説明してやる。だから大人しくしてな。』
「相棒?それに今回のって…」
『何度も言わせるな。説明してやるから大人しくしろ。とりあえず柄を掴みな。話はそれからだ。』
俺は一応警戒しながら刀に近づき、その柄を握った。
その途端、突然世界が一転した。
?月?日?時??分