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百四拾九

阿部が電話をかけているとき、宮崎は母校の中学校の駐輪場にいた。


門は閉まり鍵が掛かっていたため乗り越えている。


センサーやらなにやらの位置は把握しているため、宮崎が侵入しても辺りは静まり返っていた。


携帯はサイレントマナーにしているせいで、宮崎は着信に気づいていない。


いや、仮に気づいていても出られなかっただろう。


宮崎は今、気配を殺した刺客に狙われていた。


6月20日(水)22時01分


「…よし」


課題と予習は終わった。


事件については主婦の情報網で詳しく分かったが、テレビでは数分放送されただけだったので正確なところはまだ分からない。


だが犯人を特定するならおそらく【神を堕とす者】に参加している生徒だろう、と思う。


襲われた生徒の様子から考えてみるとそんな気がする。


それに男子生徒が言っていた¨鬼¨という単語…


これは改めてつねに詳しく聞いてみるしかないな。


何回かメールや通話を試してみたがまったく応答がない。


明日学校で直接聞くしかないか。


とりあえず今は¨夢¨で修行をしよう。


「《我夢と現の狭間にて…「…待って」うわ!?」


横になって言霊を唱えている途中いきなり声をかけられた。


目を開くと目と鼻の先にフードを被った人物が!


てか見た目や声的に…


「み、三日月さん!?」


三日月さん(一応鬼丸の知り合いみたいだし敬語に改めよう)が俺の顔を覗き込むように顔を近づけていた。


「どうやって家に…てかなんで¨現実¨に!?」


「普通に扉を開けて、だけど?」


「えぇ!?」


たぶん今の答えは最初のどうして家にいるのだという疑問に対してだろう。


それにしたって鍵が掛かっているはずだけど…


「正確には【無制限共有フィールド】経由で直接きた」


「【無制限共有フィールド】経由?」


淡々とした口調に若干押されながらも聞き返した。


いったいどういうことだ?


「そう。【無制限共有フィールド】の、この家の座標から、直接きた」


「えっと…」


それってどういう…


と、そこで妹が入り口から顔を覗かせた。


「大きな声出してどうしたの?」


ま、まずい!


部屋の中でこんなフードを被った不審者といるところを見られたら…!


「いや、違うんだ!この人は…!」


「この人?」


その時妹は首を傾げて部屋を見渡した。


「誰か来てるの?」


「は?」


何を言ってるんだこの妹は。


どうして俺のすぐそばにいる三日月さんが見えないと…


(ん?見えて、ない…?)


視線は何度か三日月さんを素通りしている。


しかし三日月さんのことを認識していない。


別にふざけてるわけじゃなさそうだ。


「ん、彼女には、私は見えていないはず」


「やっぱり?」


「¨現実¨での【神器】と同じ。¨欠片¨を込めるか、見せようとしないと、一般人には見えない」


「そうなんだ…」


確かに鬼丸もつねやぎやま達【神器】の所有者以外には見えない。


それと同じ?


「ねえ、さっきから何独り言言ってんの?」


そうか、こいつには見えてないから俺が独り言を言っているように見えるのか。


「なんでもねえよ、とりあえず出てって」


ちょっと強めに言っておいた。


邪魔はしてこないと思うが、変なことを親に言われても面倒だ。


妹はぶつぶつ言いながらも素直に行ってくれた。


「さて」


とりあえず、なんでここに三日月さんがいるのか、どういう目的で来たのかをはっきりさせよう。


6月20日(水)22時08分


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